[実践 わたしの活用術](21)投書から人物の思い想像(中学1年・道徳)

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困っている人 どう対応 見出し隠し 意図考える

投書から人物の思い想像

美東中学校 松田美奈子先生

対象 中学1年生
教科 道徳
指導時間 1時間

【授業の様子】
 沖縄市立美東中学校の1年6組で新聞の投書を使った道徳の授業が10月23日あった。
 担任の松田美奈子先生が選んだのは本紙8月23日掲載の投書で、那覇市で帰りのバスが分からず困っていた高齢の女性を、通りかかった男子高校生3人が助けたという内容。高校生は本人たちが乗る必要のない北部行きのバスに同乗したとも書いてある。
 投書を配り、印象に残った部分を挙げさせた後、自分ならどうするだろうと問い掛けた。「同乗まではできない」「バスが来るのを一緒に待つ」「申し訳ない気持ちで避ける」など。松田先生は復唱したり、共感を表したりしながら、生徒の言葉を集めていく。
 投書に書かれた女性の「感動」の中身、お礼として渡した300円にこめた気持ちなど、登場人物の心情を想像させる問いが続く。「言葉で表せないくらい大きな感謝」「まるで長い付き合いのような親しさ」など、投書の表現にはない答えもあった。最後は、配布した記事で隠した見出しを考えることで、筆者の意図にも思いをめぐらせた。
 松田先生は「残り半年、皆さんはいろいろな行事を通してお互いに関わって感動も出てくるでしょう」と、仲間を意識させるようにまとめた。

【授業の手順】
(1)体験を振り返る
 「人にやさしくされて、うれしくなったとき」「人に親切にしたとき」を問い掛け、体験を発表させる。
(2)投書を読む
 投書を読ませ、印象に残った部分に線を引かせ、発表させる。
(3)自分に置き換える
 投書と同じように、困っている人と出会ったら自分ならどうするかを考えさせ、発表させる。
(4)投書を読み取る
 グループになり、投書の登場人物の気持ちを考えてみる。グループで出た意見を発表させる。
(5)投書に見出しをつける
 配布した紙面で隠した見出しを考え発表させる。投書の書き手の意図を考えるため。

【ねらいとポイント】

美東中学校 松田美奈子先生

■ねらい
 日ごろ生徒同士の関わりが薄く、「ありがとう」と言えなかったり、思いはあっても行動に移せないと感じていました。世代の近い高校生の行動なので、自分のことに置き換えられると考えました。
■ポイント
 新聞の投書は教科書や副読本よりも書いた人の気持ちが伝わり、リアル感があります。また近い地域であった実話でもあるので、自分の生活に結びつきやすくもあります。

 

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

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