沖縄キリスト教学院大学は、来春入学予定のAO(アドミッションズオフィス)試験合格者に対し、週2枚の新聞スクラップを課し、入学前に発表し合う取り組みを始めた。新聞記事を通して社会に目を向けることや、議論主体の大学の学習に慣れてもらうのが狙いだ。15日にあった最初の発表会では、オスプレイ配備や「英語漬け授業」など新聞の切り抜きを通して集めた情報を基に議論を深めた。(安里努)
大学で中心となって取り組む照屋信治准教授によると、近年の学生の特徴として、「学力の基礎となる活字を読む力の低下」が見られるという。
以前は課題図書を決めて読ませていたが「日々新しい情報に触れられる新聞の方が課題として適している」とし、来春入学者へ初めて導入を決めた。
AO試験は一般に、入学試験だけに頼らず小論文や面接などで受験生の能力や目的意識などを評価する制度。通常の受験より、早く合格が決まるため、入学前に課題を出す例は多い。同大学では合格者60人に11~3月までスクラップづくりを課し、入学前に2度の発表会を開くことで、継続して学ぶことを期待する。
15日の発表会では普天間高校の安座間彩希さん(17)が、オスプレイ配備に反対する大学生が活動する記事を選び、「私たちは基地問題にどう関わるべきか」と提起した。
参加した学生から「基地自体に反対ではなく運動に参加できない。でも年配の人がゲート前で活動しているのを見ると心が痛い」などの意見もあり、安座間さんは「自分が考えなかった意見が出て刺激があった。大学生は大人と子どもの間の存在。頑張れば自分の意見を伝えられる」と大学生活を見据えていた。
照屋准教授は「意見を交換して論文にまとめるのが大学。大学時代に新聞を集中して読んで、読み解けるようになってほしい」とアドバイスした。
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自身で選んだ新聞スクラップを見せ合う入学予定者たち=西原町・沖縄キリスト教学院大学