沖縄アミークスに実践指定校認定書を伝達

山内会長(左端)から認定書を受け取る仲筋校長(左から2人目)

 沖縄県NIE推進協議会の山内彰会長と地元紙2社の担当者が9月10日、沖縄アミークスインターナショナル(うるま市栄野比)を訪ね、日本新聞協会からの実践指定校認定書を仲筋一夫校長に伝達しました。

 山内会長は「教科書から一歩飛び込んで、新聞を通して社会とのつながりをつくってほしい」と激励しました。仲筋校長は「指定に応えられるような内容をつくっていきたい」と抱負を述べていました。
 同校は指定を受ける前から、上江洲ジョアナかおる教諭が積極的に新聞を授業に活用しています。上江洲教諭が受け持つ5年生の教室の壁には複数の子ども新聞が張り出され、子どもたちが新聞に親しめる環境づくりが印象的でした。

新聞が張り出された5年生の教室

幸地さんちのNIE(40)スクラップ/「命守る」最優先に

南海トラフ地震どうする?

「命を守る」のが一番だよね

 大きな被害が想定される南海トラフ地震。幸地功哲君(10)、富代さん(42)親子は、災害に備えることの大切さを話し合いました。

「命守る」最優先に

■2012年8月30日総合面

 約1万9千人の死者・行方不明者をもたらした東日本大震災を教訓に、「南海トラフ」巨大地震の被害想定は、考えられる限り最大の規模が明記された。その結果、最悪ケースの死者数は32万3千人。発生確率は極めて低く、過度に心配することは問題だが、命を守ることを最優先に一人一人が想定を直視し、「正しく恐れる」必要がある。


富代さん▶心配していた台風15号が去ったと思ったら、今度は地震の予想だ。南海トラフって。
功哲君▶そう! 近所のおばさんが、おばあちゃん家近いんじゃないって心配してた。
富代さん▶愛知県は、最悪の想定だからね。台風と同じ、来てみないと分からない。最大瞬間風速70メートルの最大級って予報されたけど…。
功哲君▶実際は大したことなかったけど、僕の誕生日だけが吹っ飛んだ(笑)。
富代さん▶地震も昔の記録をもとに調べているようだけど…。未来を占うように予知するのは簡単ではないよね。一つ言えるのは「備えあれば憂いなし」ってことかな。
功哲君▶「命を守る」のが一番ってことだよね。
富代さん▶その通り! 避難訓練とか、普段から防災の意識が大切。命があれば誕生日はいつでも祝えるさ~。
功哲君▶楽しみにしてたのに…。台風よりひどーい。

問題提起にやりがい 曙小6年生に本紙記者 出前授業

山城響記者(右)の話を聞く6年生児童=那覇市立曙小学校

 職業教育の一環として新聞記者の仕事について聞く授業が4日、曙小学校であった。6年生約60人を前に沖縄タイムス社会部の山城響記者(28)が、警察や那覇市政担当として体験した取材の例を話し「記事を書くことで物事が動いたり、問題提起ができたりしたときにやりがいを感じる」と話した。
 初めに120人余りいる沖縄タイムス記者の分担を説明。記事を書く以外にもレイアウトや校正を担当する記者がいることなどを伝えた。
 現在、那覇市政を担当する山城記者は、久茂地小学校の統合について教育委員会とPTAや地域の人たちの話し合いが深夜まで続いたことを伝え「両方の考えを伝え、問題を提起する役割が新聞にはある。話し合いの過程を報告していきたい」と話した。
 比嘉乃智(だいち)君は「那覇市は事件や事故の通報が多いことが分かった。記者は取材する人以外にまとめる人もいると初めて知った」と印象に残った点を話した。

城北中の3人が職場体験

 夏休みが明けた9月は中学生が職場体験する時期でもあります。
 那覇市立城北中学校2年生の3人が9月5日から7日まで沖縄タイムス社の広告局、読者局、編集局で仕事を学びました。

編集局で記事をパソコンで見る(左から)金城美晴さん、松浦蒼 さん、比嘉良仁君

 金城美晴さんは「たくさんの人が協力して新聞を作っているんだな」と実感したと言います。編集局では「機械がいっぱいで面白い」と興奮した様子で、「将来新聞社で働けたら」と笑顔を見せてくれました。
 比嘉良仁君は、文字や文章の誤りを見つける校閲(こうえつ)作業を何度もしていると知り「すごいと思いました」。松浦蒼さんは「新聞を細かく読んで、生活に生かせるようにしようと思います」と話していました。

「お気に入り見つけた」 新聞から写真探す 中原小でNIE授業

 エイサー、プロ野球、プードル犬…。好きな写真はなあに? うるま市立中原小(安里禮子校長)の2年4組で6日、新聞からお気に入りの写真を見つける授業が行われた。1~3組も5日までに同じ授業に取り組んだ。
 アイドルグループAKB48メンバーの写真を選んだ稲福瑠獅(りゅうし)君(7)は「(篠田)麻里子の写真くださーい」とクラスメートに呼び掛けて18枚を集めた。「新聞には、いろいろな写真が載っているから楽しかった。あしたから新聞を開いてAKBの写真を探したい」と笑顔で話した。
 終盤には、教室の床いっぱいに新聞を広げ、談笑しながら紙面を眺めていた=写真。

中原小学校

社内見学:豊崎小学校5年生のみなさん

 学校からの社内見学シーズンが始まりました。9月6日は、豊見城市立豊崎小学校5年生約100人が訪れました。
 沖縄タイムスができるまでの流れを説明する映像資料を見たり、紙面制作現場に行って画面上で新聞をつくるデモンストレーションを見たりしました。

toyosaki

号外制作を体験をする豊崎小学校の5年生

 5年生は授業で新聞について学ぶ学年で、社内見学の申し込みも5年生が中心です。制作現場で「リードはどんなもの?」と説明役の社員が逆質問すると「記事のあらすじをまとめたもの」という答えが返ってきました。さすがです。
 見学中の写真を撮ってその場で社内見学号外をつくります。操作の一部をやってみたり、出来上がった新聞1ページ大の号外を手にすると、歓声が上がっていました。
 事前に集めてもらった質問項目は38項目にも上りました。今後、見学の様子を個人で新聞にする授業も行われる予定です。

新聞活用 行政も本腰 関心高まる現場に活気

 新聞を教育に活用するNIEに、県教育庁も本腰を入れ始めた。所管する県総合教育センターで教員向けの研修講座を実施し、NIE全国大会にも教育庁職員2人を派遣。どちらも初めての取り組みだ。一方、現場では、この夏休みに小中高合わせて15校がNIEアドバイザーや新聞記者を講師に招き校内で研修している。関心が高まる現場を行政が後押しする格好で、今後、NIE活動に弾みがつきそうだ。(具志堅学)

NIEアドバイザーの佐久間洋・伊平屋小教諭(右から4人目)の指導で新聞を活用した実践に取り組む小学校の教員=7月27日、沖縄市与儀の県立総合教育センター

 県教育庁の総合教育センターは7月末に小学校、8月初めに中学・高校の教員向けの講習会を開いた。それぞれ40人、24人が参加した。新聞記事に見出しを付けたり、切り離した記事を再構成する作業などを実践し、言語活動を重視するNIEの実践を体感。記事をもとに、にぎやかに意見交換する場面もあった。
 参加者から「子どもに新聞に親しんでもらう方法が分かった」「楽しんで取り組むことができた」などの意見が寄せられた。
 福井県で7月に開かれたNIE全国大会には最多の1780人が参加した。学校教育課の真栄田義光指導主事は「生徒の思考力・判断力を育むために新聞をうまく使っている。高校現場で取り組んできたことの教育効果も確認できた」と評価。生涯学習振興課は田畑武正班長を派遣し、ともに全国レベルの盛り上がりを体感したようだった。
 中頭教育事務所は来年度、採用10年目の教員研修に取り入れたい考えで対象は70~80人を想定。学校現場に指導・助言する指導主事の研修に取り入れることも検討している。北谷町教委も研修を検討している。
 一方、現場の取り組みも広がりを見せている。NIEアドバイザーは10校、本紙記者は5校の校内研にそれぞれ招かれた。本紙読者局・販売店が進める新聞スクラップ教室の参加者は、親子合わせて千人近くに上った。
 大城浩教育長は、高校の教員として新聞を活用してきた自身の体験を踏まえ「子どもの社会性・感性を育むための最良の教材。学校・家庭・地域と連携して協力に取り組みたい」と新聞活用の効果を重視する。
 行政主導で進められてきた全国と異なり、沖縄ではこれまで、教員が先行して取り組み、それに新聞社が協力する形だった。それだけに県教育庁などの動きは現場に活気を与えそうだ。