遊び場から政治に導く 地元の戦後復興たどる
記事の読み解き 写真から
コザ小学校 神山英先生
対象 小学6年生
教科 社会
指導時間 1時間
【授業の様子】
「英語の看板が多い」「車が右側」。6年2組の子どもたちが、配られた写真を読み取っていた。「ここはどこ?」。神山英(すぐる)先生が問いかける。「アメリカ。違うな…」「あっ、沖縄」「復帰前みたい」。写真に映し出された情報を分析していく。
ある子が英語の看板の下にあった岩に気付いた。「この石、今もある!」「あ、そうだ。あるよこれ」「この写真は八重島?」「そうなの?」。教室が沸いた。子どもの関心が一気に高まっていく。
政治と暮らしのかかわりを学ぶ授業。子どもたちが遊び場にしている八重島公園をテーマに据え、身近なところから関心を引き出すねらいだ。
次に配られたのが1974年の「基地の落とし子 八重島を訪ねる」という本紙のルポ。廃れた歓楽街の様子と再開発に期待する住民の声を紹介している。
「なんでアメリカ人がいっぱいいるの?」「戦争で負けて占領されたから」「記事に載ってた人は何を期待しているのかな?」「新しい街づくり!」。教員と子どもとの活発なやりとりが続いた。
神山先生は「沖縄市は基地の街。それだけに政治の役割を戦後の復興とつなげて考えてもらいたい」と授業の意図を説明した。
【授業の手順】
(1)目当てを確認する
「写真や新聞記事から○○○の当時の様子や住民の願いを調べよう」という目当てを確認。地名は伏せておく。
(2)写真を読み取る
史料写真を一人一人に配布。4、5人で話し合ってもらいながら写真から当時の様子を考えさせる。グループごとに黒板に書き出させる。
(3)記事を読む
新聞記事を配る。見出しを読み上げ、どんな記事か想像させる。記事を自由に読んでもらい、気になるところに印を付けさせる。末尾の住民の声を記した部分を読み上げ、住民の願いを知る。
(4)学校周辺の写真を見せる
過去の学校周辺の航空写真を見せ、学校に隣接した農業試験場の場所に現在何があるかを考えさせる。
【ねらいとポイント】
■ねらい
子どもたちが遊び場にしている八重島公園をテーマにすることで「政治と暮らし」という単元への関心を持たせようと工夫しました。
直前に終えた日本の戦後復興を学ぶ単元とのつながりを持たせました。戦後の地域の歩みを通じて政治の役割を考えてもらいます。次回の授業で、八重島公園や沖縄市民会館に触れます。
■ポイント
記事を読ませる前に史料写真を見せて想像をふくらませてもらいました。記事が長いルポ形式で文字も小さかったため、子どもには難しいと思ったのですが、それなりに内容を読み取っていました。
記事に登場する住民の談話は単元の中心部分だったので、抜粋・拡大して配布すれば良かったと思います。新聞記事の提供は、新聞社に協力してもらいました。
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