NIE実践例 教員学ぶ 大里南小で30人研修

 日本新聞協会指定のNIE実践指定校、南城市立大里南小学校(宮城末義校長)で15日、県立教育センターから講師を招いたNIE研修があり、教員約30人が意義と実践例を学んだ。

選んだ記事について意見交換する教員ら=15日、南城市立大里南小学校

 NIEアドバイザーでもある甲斐崇研究主事が講師。好きな写真を選んで吹き出しにせりふを付ける実践で45分かかった経験を話し「写真を選ぶのに時間がかかる。たくさんの情報から選ぶことは実は難易度が高い。興味関心が薄い子には特に視点を持たせる言葉掛けが必要」と呼び掛けた。
 受講した教員からは「難しそうと思っていたが、早く子どもたちとやってみたいと思った」などの声が上がった。

写真を使い 実践例学ぶ 宜野座村松田小学校教師

 県立総合教育センターのNIE出前講座が13日、宜野座村立松田小学校(伊波和子校長)で開かれ、教員9人が写真を使った実践など具体例やNIEの意義を学んだ。

気になった記事を選び、紹介し合う教員ら=宜野座村立松田小学校

 同校は来年度、新聞を使った授業を展開したいと考え、担当の甲斐崇研究主事を招いた。伊波校長は「まずは写真を使うなどいろいろなアイデアが学べた。こんな人になりたいという記事を集めて夢を広げるなどキャリア教育にもつなげていきたい」と抱負を話した。
 センターの出前講座は来年度分の受け付けを開始。校内研修のほか、児童生徒への授業、研究授業の支援などに活用できる。

 教育センターのホームページはこちらから(別窓が開きます)。

継続活用 表現力増す NIE実践指定校 報告会

 NIE実践指定校の報告会(主催・県NIE推進協議会)が4日、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれた。日本新聞協会指定と県推進協指定の計12校が発表、2校が紙面報告した。新聞を授業や朝の活動で継続的に使うことで読解力や意見などの表現力が高まっていることなどが紹介されたほか、教科内容に組み入れた例などが報告された。

知識を吸収し消化 新垣和哉教諭(喜瀬武原小中学校)
 NIEの効果を数字で図るのは難しいが、児童・生徒が変容していくのを体感できる。知識を吸収し、消化し、はき出せるようになる。引っ込み思案な子どもたちが、自分の考えをまとめ発信する機会をつくりたい。
 当校は小学生30人、中学生14人。規模の小ささを生かし、小中合同で取り組んでいるのが特徴だ。関連性のある記事を選ぶ作業をさせると、たとえば小学生は水族館の入場者数と釣りの記事を結びつけることもある。その発想が面白い。逆に中学生のやり方や考え方を見て小学生が学ぶことも多い。
 取り組み内容の掲示は、事務員や図書館司書が大いに動いてくれた。みんなを巻き込むことで、学校全体のNIE理解が深まる。

 

続けるうちに変化 當銘直美教諭(真喜屋小学校)

 3~5年生を中心に、新聞を活用している。3年生では「私が○○と思った写真」をテーマに、新聞から写真を選んでもらう授業をした。最初は「すごいと思ったもの」ばかりだったが、続けるうちに「心配だと思った写真」としてヤンバルクイナの事故記事を切り取ってきたり、「危ないと思ったもの」としてオスプレイが民家上空を飛行しているものを選んだりと、視点が変わってきた。
 1こまずつ切り離した4こま漫画を基に、意見を出し合う授業にも取り組んだ。子どもから、新聞でこんなに面白いことができると思わなかったとの声が出た。
 新聞を身近に感じる児童が増えてきたが、NIEを日常化するため活用法の研究と具体化が不可欠と感じている。

 

学びと社会つながる 宮城良子教諭(右)高良真弓教諭(陽明高校)
 新聞記事を活用することで、教科書で学んでいる単元と、社会とのつながりに気付いてもらうことができた。世界、沖縄の政治や経済を身近に感じ、自分なりの意見を持つこともできた。
 政治経済の授業では、単元ごとに関連する記事を取り入れている。新聞から質問を出したプリントを作成し、意見も書いてもらう。定期試験でも、必ず新聞から出題。切り抜いた記事を基に、生徒それぞれが選ぶ「十大ニュース」も発表してもらった。
 保健体育の授業でも、健康や環境などの分野で興味のある記事を選んでもらった。グループ内で発表し、友人同士で情報を教え合っている。今後は情報が偏らないよう、さまざまな記事を提供していきたい。

意見交換が活発化 石川美穂教諭(興南中学校)
 全学年の国語で、「新聞リレー」に取り組んだ。気になる記事とともになぜその記事を選んだかや、気付いてほしい点を書き、次の生徒がそれに答えていくというもの。生徒間の意見交換が活発になり、想像以上の効果があった。
 毎日の宿題として、四季や伝統行事などへの理解を深める、コラムを使ったワークシートも取り入れた。
 東京五輪の開催が決まった時には、各社が出した号外を読み比べ。見出しの違いを見ながら、読み手に伝わる印象の違いを考えた。
 NIEを始めて、生徒たちの国語力は伸びてきている。一定の成果があるが、今後はさらに効果を見据えた取り組みが必要。NIEを広げる上でも、欠かせないことだと思う。

 

きらりアイデア(ほかの実践校の事例)

小禄南小学校…児童の作品を保管し、異動してきた教師と共有。
伊野田小学校…地域の人も利用できる新聞コーナーを設置。
浜川小学校…全学年で週1回朝のNIEタイム。読み聞かせなど。
中原小学校…3年生が同じ部首の漢字探し。教科書では文字が少ない。
越来小学校…毎週末親子でスクラップ。会話弾む(4年生)。
沖縄アミークスインターナショナル…4こま漫画を壁一面に掲示。まず関心を高める。
宮良小学校…見出しだけ切り抜き。「短くても伝わる」(5年)。
コザ小学校…委員会活動を取材し、伝えたいことを見出しに(5年)。
伊平屋小学校…1年生も授業参観日に親子で切り抜き新聞作り。
沖縄工業高校…琉球・沖縄史を記事で学ぶ。資料集には記述少ない。

新聞の活用例 教員らが紹介 NIE実践報告会

 2013年度県NIE実践報告会(主催・県NIE推進協議会)が4日、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれ=写真、日本新聞協会指定実践校9校と県指定校3校が、新聞の活用事例を発表した。(7日付教育面で詳報)

各校の取り組みに耳を傾ける教諭ら=4日、那覇市久茂地・タイムスホール

 全学年で授業などに新聞を取り入れている沖縄市立コザ小学校は、記事を基に話し合いをしたり、4こま漫画のせりふを考えたりと、無理なく継続できる実践をしている-と紹介。神山英教諭は「新聞は学び合いに適切な教材。子どもたちにさまざまな見方、考え方が広がっている」と手応えを語った。
 石垣市立伊野田小学校は、児童だけでなく、地域の人も自由に新聞を閲覧できるコーナーを設けている。授業参観日にはNIEの授業を実践。保護者の関心も高まってきた-という。
 石田美喜子教諭は新聞に親しむ環境を整えたことで、これから読み書きを学ぶ幼稚園児も新聞を見ることがあるとし、「子どもたちは興味のある情報や必要な情報を探すことができるようになった」と話した。