島袋さんちのNIE(5)読み聞かせ/TPP賛成38%反対36%

TPPの参加どう思う?

メリットはっきりしない

 TPP問題について話し合う島袋久仁人さん(48)、敦也君(13)親子。議論は7日、22日と日を空けて続いて…。

TPP賛成38%反対36%

■2011年11月7日付1面

 共同通信が5、6両日に実施した全国電話世論調査で、環太平洋連携協定(TPP)参加問題をめぐり「参加した方がよい」は38・7%、「参加しない方がよい」は36・1%と賛否(さんぴ)が拮抗していることが分かった。

久仁人さん▶敦也、話題になっているTPP問題だけど、交渉参加について、どう思う?
敦也君▶反対。今、日本が安定していないでしょ。
久仁人さん▶それは、震災の復興もまだなのにこの時期かという意味?
敦也君▶それもあるしー、アメリカとの関係でアメリカ寄りに動いていく気がする。メリット、デメリットもはっきりわからないし。


久仁人さん▶首相は、参加表明したけどメリットもデメリットもしっかり伝えていない。日本の製品が外国で売れなくなっても大変だし、国内で、農業を中心に影響を受けても大変。どうしたらいいんだろうなぁ。
敦也君▶どうせ同じ問題になるなら、交渉に参加して問題解決に向けてがんばった方がいいんじゃない。国は早く取り組まんと…。

 

島袋さんちのNIE(3)読み聞かせ/甦る元寇船 竜骨くっきり

元3度目なぜなかった?

攻めづらかったからかも

 毎朝の新聞読み聞かせに取り組むと島袋久仁人さん(48)と敦也君(13)親子。この日は元寇の話題で盛り上がって…

甦る元寇船 竜骨くっきり

■2011年10月25日付1・27面
 鎌倉時代に来襲した元寇の沈没船とみられる船体が長崎県松浦市の鷹島沖で見つかったと、調査した琉球大の池田栄史教授(考古学)が24日、長崎市で記者会見し、正式に発表した。

 

 

久仁人さん▶鎌倉時代に元という国が攻めてきたこと知ってる?
敦也君▶知ってるよ。2度攻めてきて2度とも暴風にやられて日本は助かったやつ。堤防を作って…。
久仁人さん▶石塁だね。
敦也君▶元軍は火薬を使ってたから、上陸されたら大変だった。でも、元軍の航海術は大したことなかったのかなぁ。暴風をさけて来ることはできたと思うんだけど。
久仁人さん▶すごい! 学校で習ったの?
敦也君▶小6の社会でね。
久仁人さん▶なぜ3度目の来襲をしなかったのかな?
敦也君▶海を渡らなければならないし島が多いし攻めづらかったんじゃないかなぁ。
久仁人さん▶暴風にやられたなんて元の人には信じられなかったはず。すごい武器をもっているとか、暴風をあやつれる、とか思ったかも。
敦也君▶船が引き揚げられて、復元されたらすごいね。

島袋さんちのNIE(1)読み聞かせ/雪男「生息可能性95%」

イェティって知ってる?

何それ?初めて聞いた

 島袋久仁人さん、敦也君親子=西原町=は、新聞の読み聞かせを朝食時の日課にしています。

雪男「生息可能性95%」

■2011年10月11日付国際面
【ウラジオストク共同】世界各地の雪男に関する情報を交換しようとロシア西シベリアのケメロボ州で開かれた国際会議は10日までに、「これまでに見つかったさまざまな証拠から、ケメロボ州で雪男が生息している可能性は95%」との内容を盛り込んだ総括宣言を採択し、閉幕した。

 

久仁人さん▶雪男について話し合う会議がロシアであったってよ。
敦也君▶ふーん。
久仁人さん▶そこの偉い人は「いるかいないかは重要ではない、観光客が満足してくれればいい」って言ってるってさ。目撃情報で観光客がとても増えたらしいよ。
敦也君▶へー。
久仁人さん▶でも雪男が見つかったらかわいそうだよな、神秘的なところは残したほうがいい。
敦也君▶正体を知りたいという気持ちはあるけど、静かに生きられなくなるし、確(たし)かにかわいそうかも。複雑…。ところでイェティって知ってる?
久仁人さん▶何それ? 初めて聞いた
敦也君▶ヒマラヤに住むっていわれている未確認動物のことだよ。

島袋さんちのNIE(プロローグ)読み聞かせが親子に刺激

読み聞かせが親子に刺激

 島袋久仁人さん(48)=沖縄タイムス社社員、西原町=一家の朝は、久仁人さんが新聞記事を読み上げる声から始まる。

 「米韓FTA(自由貿易協定)が発効すれば…日本が、韓国との輸出競争で不利になる…」(10月14日付本紙)。午前6時すぎ、朝ご飯を食べる長男の敦也君(13)のそばで、その日起床してすぐに選んでおいた記事1、2本を、優しく軽快な口調で紹介していく。

 父の声に、相づちを打ったり、質問したりする敦也君。バスケットボールの早朝練習に向かうまでのわずか10分足らずのやりとり。しかし朝から夜まで部活動に打ち込む中学1年生を持つ親にとって、新聞を通した触れ合いは、とても大事で貴重な時間だ。

 きっかけは、「『ビールはお酒』ロシアが認定」(9月6日付)の記事。「話題にしたら息子が『ええっ? 何で酒とされてなかったの』と反応してくれた。それで記事を読んで聞かせた」

 「何で子どもは酒を飲んだら駄目なんだろう」(久仁人さん)
 「成長が遅れるからかなぁ」(敦也君)
 1本の記事を通した問い掛けから会話が生まれた。それ以来、読み聞かせは日課になった。

 息子に読み聞かせる題材を探すために、新聞の隅々にまで目を通すようになった。毎朝6時には起きて紙面を開く。動植物、宇宙、発明…興味を持ちそうなものを選んでは読み聞かせた。盛り上がると、登校する道すがらの車中でも会話が続いた。
 敦也君は「最初は、面倒くさいと思ったけど、興味を引く話題もあって、面白いと思うようになった」と話す。

 記事の背景の説明、難しい用語の説明などは、もちろん父が担うが、ゲーム機などの話題になれば主役は交代。息子の話に父が聞き入る場面もあるという。

 将来を考えると、息子に新聞を読む習慣を付けて社会に関心を広げてもらいたかった。一方で、小言を言っても効果がないことも感じていた。たどり着いたのは、率先して新聞を読む姿を見せることだった。

 朝のやりとりを見守る妻の恵美さん(38)は「父と子のコミュニケーションの時間です。とても貴重だと思う」とほほ笑む。

 敦也君は「新しいことを知ると、得した感じがしてうれしい」。話題を拾うために新聞を読む父について「よく毎日、続けられるよなぁと思う。ちょっと尊敬できる。以前より会話が増えたし」と話す。

 息子の知的好奇心を刺激した上に、少し株を上げた父親。朝読んだ新聞記事を切り抜き、スクラップ帳に貼り付けるという夜の作業も日課に加えた。

 ただ敦也君は、まだスクラップ帳を開いたことがない。それでも久仁人さんは読むことを押し付けようとしない。「いつかスクラップ帳を開いてくれればいい。いつか新聞を読む習慣が身に付いてくれればいい」と、のんびり構えてカッターナイフを握る。

「声出して読む」がいい

 豊見城中学校教員でNIEアドバイザーの仲程俊浩さんの話 親が声に出して読むという発想がいいと思いました。漢字や言葉の意味を説明しながら行っているところもいいと思います。社会への関心が広がるし、親子関係も深まる一石二鳥の取り組みですね。