新聞スクラップ入賞作など展示 3日から10日読谷村役場

 「第3回県新聞スクラップコンテスト作品展INよみたん」が3日から、読谷村役場1階ロビーで開かれる。10日まで。主催は沖縄タイムス中部支社と沖縄タイムス嘉手納・読谷販売店会、共催は村と村教育委員会。
 入賞した22作品を含む、村内小中学生の作品180点を展示。生徒が興味を持って選んだ記事の感想をつづった作品などが並ぶ。古堅中学校3年生が社会科の授業で取り組んだ作品も併せて紹介する。
 楚辺販売店の上地めぐみ店主(39)は「子どもが何に関心を持っているのか分かるので、ぜひ見に来てほしい」と来場を呼び掛けた。

テーマ別に記事再構成 切り抜き新聞で授業 読谷・古堅中

 読谷村立古堅中学校で29日、新聞記事をテーマごとに集めて再構成する切り抜き新聞の授業があった。社会科を受け持つ宮城美律教諭が夏休みに中頭教育事務所で行われた10年経験者研修で新聞活用を学び、現場で生かした。宮城教諭は「新聞を読んだことがない生徒が多かったが、取り組むと記事を読むこと自体が楽しそうだった」と半年間の取り組みを振り返った。

宮城美律教諭の助言を得ながら切り抜き新聞をつくる3年生=読谷村立古堅中学校

 3年3組の社会科公民の授業。5、6人のグループに分かれ、名護市長選挙の結果を報じた1月20日付の紙面を使い、グループに与えられた「喜」「怒」「哀」「楽」のテーマで記事を集め、訴えたいことを見出しにした。生徒たちは授業で学んだ地方自治と関連させて「地方の声形に」、「命が大事 市民喜ぶ」などとまとめて発表した。
 宮城教諭は月に1度、司法や自治など授業で学んだ事柄と関連する記事を生徒に探させ、意見を書く取り組みを続けている。その経験を土台に切り抜き新聞を3度作成した。宮城教諭は「月1度の取り組みで、なぜそう考えるかを書けるようになってきた。同じ日の紙面でも喜怒哀楽で選ぶと違った視点で読める」と新聞活用授業の手応えを話した。
 中頭教育事務所の10年研修は、日本新聞協会公認のNIEアドバイザー兼松力教諭、佐久間洋教諭の2人が講師を務めた。

[実践 わたしの活用術](14)記事を使って壁新聞(中学2年・社会)

テーマ設定 思考力養う 切り口分かるまで辛抱

記事を使って壁新聞

大里中学校 兼松力先生

対象 中学2年生
教科 社会
指導時間 5時間

【授業の様子】
 大里中の2年生が壁新聞のテーマ設定やレイアウトに取り組んでいた。兼松力先生に助言を求めたり、記事とにらめっこしながら仲間と話し合ったりするなどテーマを決めることに四苦八苦していた。
 男子二人組は米軍の新型輸送機オスプレイをテーマに選んだ。新聞2ページ分ほどの大きさの台紙には、社説やインタビューなどが並ぶ。「どこかにオスプレイ(そのものが中心になった)の記事が必要じゃないか」と兼松先生が言う。
 生徒は「オスプレイって(見出しに)大きく書かれている記事を探そう」「なるほど」と会話を交わし、記事のチェックを始めた。どのグループも活発に話し合いながら作業していた。
 同校には、沖縄戦体験を語る体験者と体験を受け継ごうとする子どもたちの取り組みを対比させたものや各地の綱引きを題材にした作品など壁新聞作りを通して地域を学んだ成果が張り出されている。

【授業の手順】
(1)夏休み 記事を集める
 興味を持った記事の切り抜きを30枚以上、集めてもらう。
(2)1時間目 記事の整理
 持ち寄った記事の数が同じくらいになるよう2、3人のグループを作る。ジャンルごとに分類させて壁新聞のテーマを考えさせる。
(3)2時間目 テーマ決め
 集めた記事を読ませてテーマを決める。
(4)3・4時間目 記事選び
 テーマに沿った記事を読み、どの記事を使うか考えさせる。記事の形を整えたり配置を考えたりする。
(5)5時間目 意見を書く
 記事の意見感想を書き込む。見栄えがよくなるように、色を付けたりする。
(6)放課後・家庭 仕上げ
 放課後や家庭学習の時間を使って仕上げさせる。

 

【ねらいとポイント】

大里中学校 兼松力先生

■ねらい
 「身近な地域の調査」の単元で壁新聞を作りました。新聞を素材に選んだのは、ある程度信頼できて使いやすいからです。
 記事を分類しテーマを設定することで、深い読解力や論理的思考力を養います。グループの作業でコミュニケーション力、協調性、責任感も求められるなど多角的な力を付けることができます。
■ポイント
 グループを3人までとしたのは、全員に役割を与えたいからです。テーマごとに記事を集めるだけではなく、そこから何を訴えるのか考えさせることが大切です。生徒なりの切り口を見つけるまで教員は辛抱強く見守る必要があります。難しそうなら少しずつヒントを与えます。

各地で行われた綱引きの話題を集めた作品

沖縄戦を語る体験者とそれを受け継ごうとする子どもの取り組みを対比させた作品

沖縄の伝統芸能に世界各地の人が取り組んでいる話題を集めた作品

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。