各地の新聞で意見交換 沖縄・奈良・熊本 テレビ通じて授業

 沖縄と奈良と熊本をつなぎ、各地の新聞に掲載されたハッピーニュースを紹介し合う遠隔地間の交流授業が26日、うるま市立中原小学校であった。テレビ会議システムを通じて各校の子どもが選出されたニュースについて意見を交換した。

遠隔地交流授業で意見交換する児童=うるま市・中原小学校

 中原小6年の仲里怜馬君(11)は、離島フェアでハイビスカスから造ったリキュールの記事を紹介。奈良県の高校生からは「社員の笑顔が印象的で、いい会社だと思う。こんな会社ならこれからもっといい商品を開発することができると思う」という感想が出た。また「新聞は記事だけではなく、写真からも読み取れることがあることを知ってほしい」というアドバイスに児童がうなずく場面もあった。
 中原小学校のほか、熊本県立桜木東小学校、奈良女子大学附属中等教育学校の生徒と、県立総合教育センターの甲斐崇研究主事が参加。スクリーンには四つの現場が映し出された。
 中原小の島袋彩音さん(12)は「鹿の話やくまモンの話題、興味深いニュースがいっぱい聞けて面白かった。もっと他の県ともやってみたい」と話した。
 甲斐研究主事は「今後はこの3校で一緒に新聞を作る取り組みを検討している。生徒たちが楽しんでいる様子を見て、手応えを感じた」と語った。

スクラップコンテスト表彰式対象者の発表

 第3回沖縄県新聞スクラップコンテストは26日に最終審査を行いました。
  ひとまず、12月21日(土)の表彰式(11時から、タイムスホール)の出席対象となる県知事賞、県教育長賞、沖縄タイムス社賞の計36人を紙面掲載しました。記事はこちらから
 全入賞者は氏名確認の後、このサイトと特集紙面で掲載します。
 表彰式のご案内は受賞者に直接お送りします。問い合わせはこちらのフォームからお送りください。

牧野さんと冨着さん 2年連続の知事賞 県スクラップコンテスト

 第3回県新聞スクラップコンテスト(主催・沖縄タイムス社)の審査が26日、那覇市久茂地のタイムスビルであった。1位相当の県知事賞は、那覇市立宇栄原小4年の牧野ともかさんら12人が受賞した。応募作品は、2402点だった。

児童・生徒が応募した作品を採点する審査員=26日午後、那覇市久茂地・沖縄タイムス社

 牧野さんと、恩納村立仲泊中3年の冨着梨里花さんは、2年連続で県知事賞に輝いた。牧野さんは「私の知らない沖縄」と題して、各地の行事やニュースをイラストや地図、感想とともに紹介する切り抜き新聞を作成。冨着さんは、改憲と日本の今後について知ってほしいと、関連する記事と自分の考えをまとめたノート作品を仕上げた。
 表彰式は12月21日午前11時から、タイムスホールで開く。県知事賞、県教育長賞、沖縄タイムス社賞の受賞作品36点は、16日からタイムスビル1階に展示する。
 全入賞者は後日、NIEサイト、http://nie.okinawatimes.co.jp/nie/に掲載する。
 県知事賞、県教育長賞、沖縄タイムス社賞の受賞者は次の通り。(敬称略)
 【県知事賞】〈ノート部門〉小学校低学年・大城樹ノ介(当山)▽高学年・牧野なつみ(宇栄原)▽中学校・冨着梨里花(仲泊)▽高校・兼次美帆(名護)〈切り抜き新聞部門〉小学校低学年・仲本七梛(垣花)▽高学年・牧野ともか(宇栄原)▽中学校・根波咲黄子(興南)▽高校・比嘉沙羅(未来)〈新聞感想文部門〉小学校低学年・新垣光将(小禄南)▽高学年・前里周子(小禄南)▽中学校・豊島由佳(西原東)▽高校・本村航太(西原)
 【県教育長賞】〈ノート部門〉小学校低学年・福地隆矢(普天間第二)▽高学年・諸見江理花(伊平屋)▽中学校・比嘉笑(読谷)▽高校・糸数笑(糸満)〈切り抜き新聞部門〉小学校低学年・仲村紅姫(志真志)▽高学年・宮平千優(中城南)▽中学校・金城辰徳(興南)▽高校・高良愛(名護)〈新聞感想文部門〉小学校低学年・新垣侑依(真和志)▽高学年・仲地沙恵(諸見)▽中学校・山城美穂(寄宮)▽高校・新垣聖花(南部商業)
 【沖縄タイムス社賞】〈ノート部門〉小学校低学年・仲宗根泰向(西原東)▽高学年・大城音弥(美里)▽中学校・名嘉眞花梨(小禄)▽高校・新里日向子(普天間)〈切り抜き新聞部門〉小学校低学年・松田愛美(比屋根)▽高学年・伊礼迪(伊平屋)▽中学校・池上のの子(興南)▽高校・當眞なつみ(名護)〈新聞感想文部門〉小学校低学年・照屋陽樹(玉城)▽高学年・上原未来(小禄南)▽中学校・村山亜衣(寄宮)▽高校・諸見里美咲(西原)

新聞から深める交流 NIE月間特集

 

 新聞を教育に活用するNIEが小学生から社会人にまで広がってきた。那覇市の興南中学校では新聞部がスタートした。那覇市の施設では、記事を基に意見交換するワークショップをうつ病のケアに取り入れる試みも。新聞を通してコミュニケーションが深まる点が注目され始めている。県NIE推進協議会(山内彰会長)は30日午後1時から沖縄市与儀の県立総合教育センターで第7回県NIE実践フォーラムを開き、コザ小学校の公開授業などを行う。

【興南中新聞部】

表現する喜び つかむ

沖縄タイムス社の編集局を見学する興南中学新聞部のメンバー=那覇市久茂地のタイムスビル

  興南中学校に9月、「新聞部」が発足した。情報発信を通して、判断力やメディアリテラシーを育てようという取り組みで、部員は1、2年生約15人。校内行事を中心に取材を重ねており、見出しやレイアウトにもこだわっている。
 11月中旬、生徒たちは、合唱コンクールを詳報する紙面を作っていた。「2年生が珍しく優勝したってことが大事じゃない?」「3年生以外の優勝は何年ぶりだっけ?」。何をトップ記事にするか、どんな見出しをつけるかを、議論しながら決めていく。
 「コメントが足りない」と感じた部員は、教室を飛び出し、追加取材に。みんなに「デスク」と呼ばれる部長の呉屋翔真君(14)=2年=は「ワイワイ楽しんでやっているけど、結構真剣です」とほほ笑んだ。
 徳村佳恋さん(14)=同=は「記事を書くのは難しい。困ったときは、新聞で読んだ言葉を思い出して書いている」と説明する。金城勇希君(13)=同=は「見出しを考えるのが大変」と苦笑した。
 ただ、活動を通して、表現する喜びや、コミュニケーションの楽しさを感じている、と話す。
 安座間智輝君(13)=同=は「今は未熟だけど、力を付けて、卒業までには本物の新聞に近いものを作りたい」と意欲を見せた。
 発足から間もないが、顧問の石川美穂先生は、生徒たちの変化を実感している。「伝えるべきことを的確につかめるようになり、言葉の意味も真剣に考えるようになった。うれしい」とにっこり。今後は「校外、県外へと取材フィールドを広げて行ってほしい」と期待を寄せる。

【大学生に語る新聞との付き合い方】

社会が求める力 養う/多様な情報 見出しで一覧

 大阪経済大学教授・樋口克次さんに聞く

 大阪経済大学経営学部教授で名桜大学総合研究所客員研究員の樋口克次さんは長年、新聞を活用した講義に取り組んでいる。「沖縄の将来を支える人材をつくる意味で、学生には新聞を読んでもらいたい」と話す。
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大阪経済大 樋口克治教授

 見出しは長い本文の要点を表現している。ここに目を向けてほしい。
 学生には毎日、新聞を開き、できればすべてのページの見出しに目を通すことを勧めている。時間がなければ大きな見出しだけ、そうでなければトップの見出しだけを読むといい。それだけでも、いろいろなジャンルのニュースを頭に入れることができる。
 新聞を持ち歩き、一人きりの食事の時間や、授業の合間、自宅でならトイレの中で読む方法もある。持ち出せなければ、気になった記事を携帯電話やスマートフォンなどのカメラで撮影しておいて、拡大して読めばいい。ごみのようにわずかな時間でも読める。
 気になった記事の見出しを抜き出して一言コメントを付けることを日課にできればしめたものだ。
 新聞を活用することで「情報把握力」「考え抜く力」「発信力」など、社会が求める力を身に付けることができる。主体性や実行力を養うことにもつながっていく。
 就職活動に臨む前には、視野を広げておく必要がある。企業側は社員に創造性や課題を見つける力を求めている。ブラック企業や自分に合わない職に就いてしまうのを防ぐことにもなる。企業の出す情報を正確に読めるようになり、自分が何をやりたいか真剣に考えられるようになる。
 例えば11月1日付1面の「重粒子線がん治療施設」の記事を読んで「医療ツーリズムが盛んになる→アジア各国の富裕層がやって来る → レベルの高いおもてなしが必要になる → 語学が大事だ」と思考を深めることができれば、これから何が求められるかや就職先の選択や起業にもつながる。
 新聞を通して、自分の生き方が見えることがある。それは新聞が多様な情報を一覧できるメディアであるからだ。

【比屋根小の授業】

写真から創作 楽しい物語/「イメージ広げやすい」

新垣空海教諭の指導で新聞の写真を基にした物語を作る子どもたち=沖縄市立比屋根小学校

 沖縄市立比屋根小学校3年3組の子どもたちが21日、新聞の写真から物語を作っていた。高校野球の沖縄尚学の練習風景、茶色のパンダ、ヤンバルクイナなどの写真から、思い思いのドラマを考え、B3サイズの本に仕立てた。
 国語の単元に新聞活用を組み合わせた。担任の新垣空海(そらみ)先生は「新聞の写真を使えば、背景なども写っていて、イメージを膨らませやすい」と話す。
 座間味良悟君(9)は、村人の食べ物を食べてしまう、どろぼうネズミの物語を作った。村人に懲らしめられて反省し、仲直りする筋書き。ネズミや村人の絵も合わせて6ページに、びっしり書き込んだ。「写真を見て、どろぼうネズミの話を思いついた。作文を書くのは大変だったけど、面白かった」と話した。
 比屋根小は思考力、判断力、表現力を育てるため言語活動の充実を目指す。3年生はその一環で新聞活用に取り組んできた。廊下の壁には、記事のスクラップがぎっしり。5W1Hを抜き出し、使われている言葉の意味や感想や意見を書き込んでいた。
 「いい湯だな♪ 五右衛門風呂」(8月2日付本紙)を貼り付けた子のワークシートには「昔のやり方でがんばってお風呂を作ったりして楽しんだなんて、いいなとおもいました」と書かれていた。

【社会人への広がり】

切り抜き 社会人にも/記事見て増す対話

切り抜き新聞作りを楽しんだ社会人参加者。言葉を交わしながら作業を進めた=那覇市の若狭公民館

 沖縄タイムス社が記者を派遣する出前講座が盛況だ。派遣先が、小学校から大学、社会人にまで広がってきた。
 「今の仕事に関係する」「理想の仕事」「癒やされる」「問題意識に引っ掛かる」。20~30代の男女が四つのテーマから一つを選び、切り抜き新聞を作っていた。
 10月21日、若狭公民館であった出前講座は、参加者が和気あいあい言葉を交わしながら、作業を進めた。
 気になった記事を切り抜いて台紙に貼り、コメントを書き込んだ切り抜き新聞を完成させた。
 それぞれの作品を鑑賞し合い、短いコメントを書いた付箋を貼り付けた。参加者からは「大人でも十分に楽しめた。新聞にまとめることで、自分の考えを客観的に見ることができた」などの感想が寄せられた。
 7月には、うつ病で休職した人が職場復帰を目指す施設「BowL(ボウル)」で出前講座を開いた。代表取締役の荷川取佳樹さん(46)は「一番いいのは思いを吐き出すこと。新聞記事を基に話すと普段より発言が増えて、効果が高いと感じた」と手応えを感じていた。
 出前講座の問い合わせ先はNIE事業推進室。 問い合わせはこちらから

 

 

[実践 わたしの活用術](13)自分と社会のつながり探す(小学4年・国語)

沖縄ではどうなるの? 生活との関わり気づく

自分と社会のつながり探す

コザ小学校 知念佳奈子先生

対象 小学4年生
教科 国語
指導時間 2時間

【授業の様子】
 なぜ新聞を読むのか。コザ小学校4年2組の子どもが意見発表を通して考えた。
 中国の大気汚染の記事を選び、発表したグループがあった。「PM2・5が(黄砂と一緒に)沖縄にきたら大変になるんじゃない」
 宮古島に地対艦ミサイルが配備された記事については「沖縄(本島)にも来たら、ミサイルが爆発するかもしれない」
 普段から新聞を読んでいない子、記事に書かれていることが自分に関わりがないと思っている子が大多数を占めていた。しかし、仲間の発表を通じて、自分の生活との関わりを見つけていった。
 「どんなところが自分に関係あるの」という知念佳奈子先生の問い掛けに次々と手が挙がり、にぎやかな意見交換の場に。新聞を通じて社会に触れることの大切さを感じていたようだった。

【授業の手順】
(1)目当てを確かめる
 「普段新聞を読んでいるか」「新聞に書いてあることは、自分たちに関係があるか」と問い掛け、記事を読む目的意識を高める。
(2)記事を選ぶ
 各グループに新聞2紙を1部ずつ配る。見出しから自分たちに関わりがありそうな記事を一つ選んで切り抜く。
(3)記事を読み込む
 記事を読ませる。選んだ理由と要約を書かせ、スクラップを作る。教員は各グループを回って、内容をより理解できるよう手助けをする。
(4)発表
 各グループごとに発表させる。教員は、聞いている子どもに問い掛けて発言を引き出し意見交流させる。

 

【ねらいとポイント】

コザ小学校 知念佳奈子先生

■ねらい
 積極的に新聞を使っています。子どもたちは長い文章を読めるようになり、辞書を使って語句を調べる習慣が身に付きました。意見交換もできるようになりました。
 しかし、普段から新聞を読んでいる子は少数です。もっと新聞を身近なものとして捉えてもらおうと考えて取り組みました。子どもに興味と関心を広げてもらいたいからです。
■ポイント
 「選んだ理由」「要約」「感想」の内容は、グループで話し合って決めるよう強調しました。文章を要約するときは、まず「誰が」「何をした」ということを考えさせるように呼び掛けました。

 

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

タブレットで新聞づくり 興南中で研究大会

 第19回県マルチメディア教育実践研究大会が24日、那覇市古島の興南中学校で開かれた。公開授業で同校1年1組の石川美穂教諭がタブレット型端末を活用し、動画や写真を取り込むなどの工夫を凝らした新聞作りを報告した。

タブレットを使って新聞作りに取り組む生徒ら=24日、興南中学校

 国語科で「沖縄の未来新聞を作ろう」をテーマに、これまでに「教育」「経済」「基地」「医療」など、7班に分かれ、記事を書き、見出しを付けてきた。
 公開授業では記事や見出しの良い点、改善点を全員で意見を出し合い、タブレットを使って修正した。
 「どんどん進む温暖化」の見出しで、日本の二酸化炭素削減に向けた取り組みやサンゴの白化現象からの回復を書いた「自然」班は、「記事では前向きな対策を書いているのに、見出しが合わない」と指摘を受け、「帰ってきたサンゴの色」と書き換えた。
 参加した浅野昌也君(13)は「紙に手書きすると簡単に消すことはできない。タブレットだと、より良い表現に何度でも書き換えることができる」と評価。
 山田みのりさん(12)は「写真や動画を取り入れるなど、工夫すればどんどん分かりやすい新聞を作ることができる」と話した。

親子で気になる写真探そう 普天間第二小PTA NIE講座

 宜野湾市立普天間第二小学校の4年生と保護者ら215人が23日、切り抜き新聞作りなどを楽しんだ。NIEアドバイザーで県立総合教育センターの甲斐崇研究主事が気軽にできる新聞の活用方法を紹介した。沖縄タイムスと琉球新報両紙の記者も講師を務めた。

親と意見交換をしながら切り抜き新聞を作る子どもたち=宜野湾市立普天間第二小学校

 甲斐さんは「新聞とちょっと仲良くなろう」と子どもたちに声を掛け、お気に入りの写真を探すことから始めたらいいと助言した。
 切り抜き新聞作りではグループごとに「かっこいい」「おどろいた」「うれしい」などのテーマに沿って写真を集め、コメントを書き込んで作品を仕上げた。子どもたちと保護者が、楽しそうに意見交換する姿が見られた=写真。
 古波蔵浩人君(9)と新城夢飛(めいび)君(10)は「僕らの新しい時代」と題して、電子新聞や電気自動車、ITタグなどの話題を集めた。「いろいろな写真が載っていて新聞は面白い」と声をそろえた。