「議論の土俵 新聞で」 名古屋でNIE学会開幕

 日本NIE学会第10回愛知大会が23日、名古屋市で始まった。「真価問われるデジタル時代のNIE」と題したシンポジウムでは、社会を形作る議論の土俵の役割を新聞が果たし、学校で活用するという意義が語られた。

デジタル時代の新聞活用について議論したNIE学会のシンポジウム=名古屋市・名古屋中学校高等学校

 教職員や研究者、学生、新聞社員など250人余りが参加し、2日間にわたって研究発表や討議を行う。
 シンポジウムは、多くの情報源がある中で新聞の存在感が薄れているとの現状認識から今後の方向性を探った。
 ジャーナリストの大谷昭宏さんは「議論のある社会が強い社会。議論を起こすのが新聞の役割」と指摘。関連して、タレントの春香クリスティーンさんは出身地のスイスでは、大人も子どもも読んでいたと話し「授業で新聞を使うことはなかったが、休み時間に友達と共通のものを読んでディスカッションできた。日本でそんな場がまったくないのがさみしい」と話した。

上阪さんちのNIE(87)命守るのは 正確な情報

秘密保護法案 怖いんだ

過去の過ち 学ばないと

 国会で「特定秘密保護法案」の話し合いが進んでいます。上阪きらりさん(12)は父・雅英さん(45)と一緒に、法案の意味を考えました。

命守るのは 正確な情報

■2013年11月10日総合1面
 知る権利の侵害などを理由に、共同通信の世論調査に5割が反対する特定秘密保護法案が7日、国会で審議入りした。秘密と向き合ってきた人たちは、未来への影響をどう考えるのか。インタビューを通して考える。

 

 

雅英さん▶この見出しだけ見て何の記事か分かる?
きらりさん▶「命守る」って書いてあるから、東日本大震災のことじゃないかな?
雅英さん▶そうだね。震災の時、自分の判断で逃げて助かった中学生のことも書いてあるね。ただ、この記事で一番伝えようとしていることは、秘密保護法のことだよ。
きらりさん▶秘密保護? 分かった! アメリカがドイツのメルケル首相の携帯を盗聴したやつでしょ。
雅英さん▶盗聴したことが問題になる以上に、盗聴していると暴露した人が悪者になってしまったね。でも、これは日本の法案だよ。国会で通ったら、日本でも同じような問題が起こるかもしれない。
きらりさん▶悪い法案なの?
雅英さん▶ヒトラーの政策と似ている気がして、怖いんだ。学校で歴史を習うのは、過去の過ちを繰り返さないため。世界平和のためにも大事なんだよ。
きらりさん▶暗記して、いい点取ることだけが勉強じゃないんだね。

[出前記者]戦争と知る権利考える 興南中生、本紙記者授業で

 興南中学校で12日、本紙記者の出前授業があり、政経部の粟国雄一郎記者が沖縄戦報道について解説した。2年生約100人を前に、体験者が高齢化し、減り続けているため、直接話を聞いた「私たち世代」が、「緊張感と当事者意識を持って語り継がなければならない」と呼び掛けた。

粟国記者と意見交換しながら、戦争や平和について考えた興南中の2年生=12日、那覇市古島

 粟国記者は、沖縄戦を含む日本の十五年戦争に関して書いた記事を紹介し、「なぜ誰も戦争を止められなかったのだろうと考えながら記事を書いた」と振り返った。その背景には「当時の国民が情報を知らされず、声を国造りに生かす仕組みがなかったことがある」と指摘。「国民が暮らしや国の姿をつくる意思決定の素材を提供するのが私の仕事。知る権利に応えていきたい」とした。
 生徒たちに対し、「どんな暮らしをするか決める役割がある」と強調。「聞いたことや見たことを自分なりにかみ砕いて、どんな国になってほしいか意思表示してほしい。そうでないと、戦争が起こるかもしれない」と結んだ。
 儀間碧仁(あおと)君(14)は「自分も(沖縄戦について)伝えていかなければいけない」と実感した様子だった。これまでは恐怖心から戦争にきちんと向き合えなかったが、「おじいちゃんやおばあちゃんに体験を聞こうと思う。語れるようになりたい」と話した。

新聞レイアウト挑戦 大里中 テーマ決め切り抜き新聞制作

 南城市立大里中学校(諸見里勲校長)で13日、切り抜き新聞作りを通じて沖縄の課題を学ぶ社会科の授業があった。2年4組の36人がこれまでに集めた新聞記事の切り抜きからテーマを決めレイアウトを考えた。

話し合いながら切り抜き新聞のテーマを考える生徒ら=南城市立大里中学校

 各グループは、サンゴや海の環境、平和、基地問題などのテーマを設定し、話し合いながら作業した。指導した兼松力教諭は、オスプレイ問題を扱った2人に「インタビューや評論だけでなく、オスプレイそのものを扱った記事を目立たせた方がいい」と助言。主題に合った記事を使うことを強調した。
 「平和がテーマでしょ。これどう?」と他のグループに話し掛け、記事の切り抜きを交換し合う姿もあった。完成した作品の一部を12月の県中学総合文化祭で展示する。

スクラップコンテスト一次審査始めました

 第3回沖縄県新聞スクラップコンテストの一次審査を11日始めました。今回は2400点あまりの応募をいただきました。
 現時点の審査・表彰日程をお知らせします。

【最終審査】11月26日(翌日紙面で表彰式対象者を発表)
【表彰式】12月21日(土)午前 タイムスホール(那覇市久茂地2-2-2)
 ※表彰式の前1週間をめどに優秀作品の展示をタイムスビルで行う予定です。

幸地さんちのNIE(86)病のリスク 手軽に検査

手軽に体質検査できるよ

病気ならない生活しよう

 病気のリスクを手軽に調べられるサービスがあります。幸地功哲君(11)は記事を読みながら、母・富代さん(43)と健康について考えました。

病のリスク 手軽に検査

■2013年11月3日経済9面
 病院に行かずに、簡単な器具で病気のかかりやすさや体質を手軽に調べられるサービスが広がっている。綿棒で口の中の粘膜を採取して送ると、遺伝子情報を解析して病気のリスクを判定してくれたり、ドラッグストアで血液検査を受けられたりする。健康管理の一助として注目されている。

 

功哲君▶何か口に入れてる?!
富代さん▶長い綿棒だ。何の話題かな?
功哲君▶病気の予防とか?
富代さん▶あら、流し読みでも理解できたね。
功哲君▶病院に行かなくても、自分でできる検査って書いてある! 18歳以上しかできないんだ…残念。やってみたかったな。
富代さん▶少しお金はかかるけど、忙しい人にはいいね。手軽な検査で自分の体質が分かる。何に気をつければいいか分かるから、病気予防になるってことね。
功哲君▶ぼくはお父さんやお母さんの遺伝子を受け継いでいるから同じ病気になるかもしれないの?
富代さん▶必ずってわけじゃないけど、かかりやすい病気はあるのかな…。もちろん、悪い生活習慣なら、違う病気になるかもしれないよ。
功哲君▶よい遺伝子を自分の子どもにもつなげてあげたいから、病気にならない生活をしよう!
富代さん▶病気のリスクをクスリに頼らず減らせるね。

[出前記者]気になる記事で会話 うるま図書館 親子・中学生講座

 うるま市立中央図書館は読書週間の2日、親子向けと中学生向けの新聞講座を館内で開いた。親子23人、中学生15人が参加、新聞の読み方や楽しみ方を学んだ=写真。沖縄タイムスNIE事業推進室が講師を務めた。

それぞれの気になった記事を紹介し合う2組の親子=うるま市立中央図書館

 両講座とも紙面から気になる記事を紹介し合うワークショップから始まり、活発に意見交換。親子向けでは、写真にせりふを付けるなど年齢に応じたワークシートづくりを実践。中学生向けではワラビーのニュース記事から見出しになる言葉を探して記事の特徴を学んだ。
 美里中3年の金城慎希さんは、知る権利を奪わないでほしいと考え、特定秘密保護法案の記事を選択。「学校でも記事を紹介し合ったら、みんな仲良しになれそう。記事を読んでいたら大人とも話せると思った」と話した。
 同級生の照屋真生さんは「同じ新聞でも興味を持つ記事がこんなに違うのかと思った。記事を紹介するのは発表の練習になる」と手応えを感じた様子だった。