新聞を教育に活用するNIEが、小学校の現場で広がりをみせている。新聞の活用が指導要領に明記されてから2年。教員向けの校内研修会のテーマに取り上げる学校が増え、授業でも児童が生き生き取り組む姿が目立つ。新聞協会が認定したNIEアドバイザーの甲斐崇教諭(北谷町立浜川小)は「読解力、表現力、社会性など幅広い力を育てる事ができる」と強調している。(具志堅学)
「県内にまた大型店舗ができたんだ」「このブドウおいしそうだね」。6日、沖縄市立コザ小学校(平田光秀校長)の校内研で教員たちは、新聞記事を題材に意見交換を行った。5分間で新聞のすべてのページの見出しだけを読み、気になった記事を紹介する実践。教員は意見交換を通じ、他者がどんなことに興味を持っているか分かることなどを体感した。
講師を務めた甲斐教諭は7月だけで5校の校内研に招かれた。現場の関心は高まっていると言えそうだ。
NIEは情報収集力、判断力、表現力などを重視し、明確な正解を要求する課題は少ない。島袋美保子教諭は「子どもが自由に楽しめ、どの子(の頑張り)も認めてあげられる」と手応えを感じた様子だった。
甲斐教諭は「楽しくなければNIEじゃない」と言う。浜川小に限らず、多くの授業で子どもが生き生きと取り組む姿がある。「新聞をめくれば、さまざまな出来事に出合える。それが子どもに興味や関心を持たせるのだろう」
学校やPTAから本紙の記者が講師を務める出前授業の要請も増え、新聞スクラップの講習会も盛況だ。
長年、NIEに取り組んできた兼松力教諭(南城市立大里中)は「沖縄の実践例は九州でもトップレベルにある。他府県のように行政との連携が進めば、もっと盛んになる」と話した。
NIE実践指定校
県内は5校認定
日本新聞協会は11日、教育現場で新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の2012年度実践指定校として、全国554校を決定した。このうち、先進的な取り組みをしている学校などを「奨励枠」とし、県内の那覇市立小禄南小学校、沖縄市立越来小学校を含む20都道府県51校を認定した。
県内の実践校は奨励枠2校のほかに、沖縄市立コザ小学校、うるま市立中原小学校、沖縄アミークスインターナショナル(うるま市)の3校。
全国の実践校の内訳は、小学校228校、中学校186校、高校97校、小中併設3校、小中一貫8校、中高一貫25校、特別支援5校、高専2校となった。
沖縄タイムス、琉球新報の2紙が独自に指定する県指定校には、南城市立大里中学校、豊見城市立豊見城中学校、北谷町立浜川小学校、伊平屋村立伊平屋小学校、石垣市立伊野田小学校の5校が決定している。
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