[出前記者] 琉銀新人、新聞で会話弾む 本紙記者「速読」法を指南

 琉球銀行の新入行員向け新聞講座が23日、那覇市のりゅうぎん健保会館であった。グループワークでは記事の要約や自身の感想を伝え合い、互いの着眼点の違いや自分の考えを相手に伝える表現力の重要さを体感した。

選んだ記事の要約と意見を紹介し合う新入行員=23日、那覇市・りゅうぎん健保会館

 総合職の40人が参加する研修の一環。沖縄タイムス社編集局整理部の具志堅学記者が見出しを頼りに効率的に新聞を読む方法を伝えた。5分間で全ページの見出しだけを読むワークショップでは、環太平洋連携協定(TPP)交渉や労働時間制限の緩和など各自が気になった記事を選び、グループで意見交換した。
 比嘉雅海さん(22)は「みんな選ぶ記事が違っていて面白かった。同僚が記事の要点をつかんで説明しているのを聞いて、お客さまと話すときは表現力が大事だと思った」と話した。
 神里彩香さん(23)は「5分や10分で全部の見出しが読めるという目安が分かった。家では父が読む時間が長いので、時間を決めて貸してもらって読みたい」と話した。

新聞読み方 こつ学ぶ 嘉手納高 本紙記者が出前授業

 本紙記者によるNIE出前授業が3月13日、嘉手納高校(喜屋武尚子校長)であり、1年生22人が新聞の仕組みや読み方のこつを学んだ。

新聞から気になる記事を選び、意見交換する生徒=嘉手納高校

 NIE事業推進室の安里努記者、中部編集部の屋良朝輝記者が45分間の2こまにわたって受け持った。生徒は記事から大事と思う単語を抜き出したり、感想を20文字で書いたりするワークショップを体験した。
 受験に向けた小論文への応用について、屋良記者は「記事は取材した材料の全部ではなく、大事なことに絞り込んだもの。小論文でも多い材料から削る方が書きやすいのではないか」と説明した。
 事後のアンケートでは「新聞は難しいと思っていたけど、読んでみたら興味ある記事があった」「読むだけでなく感想も書いて小論文も意識して読みたい」などの感想があった。

[出前記者]島尻PTAが切り抜き新聞 情報量の多さ実感

 島尻地区高校PTA連合会(玉城強会長)が21日、糸満市立中央図書館で沖縄タイムス社会部の具志堅学記者を招いて開かれ、新聞づくりを学んだ。各校の広報誌担当者ら14人がグループごとにテーマを決めて集めた記事を切り抜いて新聞紙大の紙に張り付け、大きな新聞を作った。

各グループが作った切り抜き新聞を鑑賞し、感想や意見を書き込んだ付箋を貼り付ける参加者=21日、糸満市立中央図書館

 「沖縄の子どもたち」とタイトルを決めたグループは、高校生への無償給付金や認可外保育園などの記事を集めた。
 師走の話題や自然・環境の話題を集めたグループも。参加者は記事を通して和気あいあいと意見交換した。
 同じ21日付の紙面から多彩な作品が出来上がり、新聞に掲載される情報の豊富さを実感した様子だった。
 具志堅記者は新聞の仕組みを紹介しながら「見出しは記事の要点。1段落目には記事が要約されている」などと説明。全てのページの見出しをチェックした後、興味のある記事を読むことを勧めた。

[出前記者]切り抜き新聞 田場小で挑戦 5年生に授業

 新聞を教育に活用するNIEの出前授業が11日、うるま市立田場小学校(新里美成校長)であり、沖縄タイムスの記者4人が5年生147人に、切り抜き新聞の作り方を指導した。「かっこいい」「びっくり」など各グループでテーマを決め、話し合いながら作品を仕上げた。

各グループで話し合いながら切り抜き新聞を作った5年生=うるま市立田場小学校

 一人一人がテーマに沿って記事を選び切り抜いた。
 持ち寄った記事の中でどれがトップにふさわしいかなどを相談しながら新聞大の紙に記事を貼り付け、それぞれの記事にコメントを書き込んだ。
 「かっこいい」や「すごい」をテーマにしたいくつかのグループは、5日に亡くなったネルソン・マンデラ氏の話題を選んだ。
 1組のデイリー仁那(にいな)さん(11)は「いろんな人に読んでもらえるよう、いろいろ工夫して新聞を作っていることが分かってよかった」と話した。
 4組で講師を務めた整理部の玉寄興也記者は、見出しが記事の要点を表し、リードが記事を要約したものであることなどを説明し「見出しやリードを頼りに新聞を読んでいけばいい」と助言した。

新聞から深める交流 NIE月間特集

 

 新聞を教育に活用するNIEが小学生から社会人にまで広がってきた。那覇市の興南中学校では新聞部がスタートした。那覇市の施設では、記事を基に意見交換するワークショップをうつ病のケアに取り入れる試みも。新聞を通してコミュニケーションが深まる点が注目され始めている。県NIE推進協議会(山内彰会長)は30日午後1時から沖縄市与儀の県立総合教育センターで第7回県NIE実践フォーラムを開き、コザ小学校の公開授業などを行う。

【興南中新聞部】

表現する喜び つかむ

沖縄タイムス社の編集局を見学する興南中学新聞部のメンバー=那覇市久茂地のタイムスビル

  興南中学校に9月、「新聞部」が発足した。情報発信を通して、判断力やメディアリテラシーを育てようという取り組みで、部員は1、2年生約15人。校内行事を中心に取材を重ねており、見出しやレイアウトにもこだわっている。
 11月中旬、生徒たちは、合唱コンクールを詳報する紙面を作っていた。「2年生が珍しく優勝したってことが大事じゃない?」「3年生以外の優勝は何年ぶりだっけ?」。何をトップ記事にするか、どんな見出しをつけるかを、議論しながら決めていく。
 「コメントが足りない」と感じた部員は、教室を飛び出し、追加取材に。みんなに「デスク」と呼ばれる部長の呉屋翔真君(14)=2年=は「ワイワイ楽しんでやっているけど、結構真剣です」とほほ笑んだ。
 徳村佳恋さん(14)=同=は「記事を書くのは難しい。困ったときは、新聞で読んだ言葉を思い出して書いている」と説明する。金城勇希君(13)=同=は「見出しを考えるのが大変」と苦笑した。
 ただ、活動を通して、表現する喜びや、コミュニケーションの楽しさを感じている、と話す。
 安座間智輝君(13)=同=は「今は未熟だけど、力を付けて、卒業までには本物の新聞に近いものを作りたい」と意欲を見せた。
 発足から間もないが、顧問の石川美穂先生は、生徒たちの変化を実感している。「伝えるべきことを的確につかめるようになり、言葉の意味も真剣に考えるようになった。うれしい」とにっこり。今後は「校外、県外へと取材フィールドを広げて行ってほしい」と期待を寄せる。

【大学生に語る新聞との付き合い方】

社会が求める力 養う/多様な情報 見出しで一覧

 大阪経済大学教授・樋口克次さんに聞く

 大阪経済大学経営学部教授で名桜大学総合研究所客員研究員の樋口克次さんは長年、新聞を活用した講義に取り組んでいる。「沖縄の将来を支える人材をつくる意味で、学生には新聞を読んでもらいたい」と話す。
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大阪経済大 樋口克治教授

 見出しは長い本文の要点を表現している。ここに目を向けてほしい。
 学生には毎日、新聞を開き、できればすべてのページの見出しに目を通すことを勧めている。時間がなければ大きな見出しだけ、そうでなければトップの見出しだけを読むといい。それだけでも、いろいろなジャンルのニュースを頭に入れることができる。
 新聞を持ち歩き、一人きりの食事の時間や、授業の合間、自宅でならトイレの中で読む方法もある。持ち出せなければ、気になった記事を携帯電話やスマートフォンなどのカメラで撮影しておいて、拡大して読めばいい。ごみのようにわずかな時間でも読める。
 気になった記事の見出しを抜き出して一言コメントを付けることを日課にできればしめたものだ。
 新聞を活用することで「情報把握力」「考え抜く力」「発信力」など、社会が求める力を身に付けることができる。主体性や実行力を養うことにもつながっていく。
 就職活動に臨む前には、視野を広げておく必要がある。企業側は社員に創造性や課題を見つける力を求めている。ブラック企業や自分に合わない職に就いてしまうのを防ぐことにもなる。企業の出す情報を正確に読めるようになり、自分が何をやりたいか真剣に考えられるようになる。
 例えば11月1日付1面の「重粒子線がん治療施設」の記事を読んで「医療ツーリズムが盛んになる→アジア各国の富裕層がやって来る → レベルの高いおもてなしが必要になる → 語学が大事だ」と思考を深めることができれば、これから何が求められるかや就職先の選択や起業にもつながる。
 新聞を通して、自分の生き方が見えることがある。それは新聞が多様な情報を一覧できるメディアであるからだ。

【比屋根小の授業】

写真から創作 楽しい物語/「イメージ広げやすい」

新垣空海教諭の指導で新聞の写真を基にした物語を作る子どもたち=沖縄市立比屋根小学校

 沖縄市立比屋根小学校3年3組の子どもたちが21日、新聞の写真から物語を作っていた。高校野球の沖縄尚学の練習風景、茶色のパンダ、ヤンバルクイナなどの写真から、思い思いのドラマを考え、B3サイズの本に仕立てた。
 国語の単元に新聞活用を組み合わせた。担任の新垣空海(そらみ)先生は「新聞の写真を使えば、背景なども写っていて、イメージを膨らませやすい」と話す。
 座間味良悟君(9)は、村人の食べ物を食べてしまう、どろぼうネズミの物語を作った。村人に懲らしめられて反省し、仲直りする筋書き。ネズミや村人の絵も合わせて6ページに、びっしり書き込んだ。「写真を見て、どろぼうネズミの話を思いついた。作文を書くのは大変だったけど、面白かった」と話した。
 比屋根小は思考力、判断力、表現力を育てるため言語活動の充実を目指す。3年生はその一環で新聞活用に取り組んできた。廊下の壁には、記事のスクラップがぎっしり。5W1Hを抜き出し、使われている言葉の意味や感想や意見を書き込んでいた。
 「いい湯だな♪ 五右衛門風呂」(8月2日付本紙)を貼り付けた子のワークシートには「昔のやり方でがんばってお風呂を作ったりして楽しんだなんて、いいなとおもいました」と書かれていた。

【社会人への広がり】

切り抜き 社会人にも/記事見て増す対話

切り抜き新聞作りを楽しんだ社会人参加者。言葉を交わしながら作業を進めた=那覇市の若狭公民館

 沖縄タイムス社が記者を派遣する出前講座が盛況だ。派遣先が、小学校から大学、社会人にまで広がってきた。
 「今の仕事に関係する」「理想の仕事」「癒やされる」「問題意識に引っ掛かる」。20~30代の男女が四つのテーマから一つを選び、切り抜き新聞を作っていた。
 10月21日、若狭公民館であった出前講座は、参加者が和気あいあい言葉を交わしながら、作業を進めた。
 気になった記事を切り抜いて台紙に貼り、コメントを書き込んだ切り抜き新聞を完成させた。
 それぞれの作品を鑑賞し合い、短いコメントを書いた付箋を貼り付けた。参加者からは「大人でも十分に楽しめた。新聞にまとめることで、自分の考えを客観的に見ることができた」などの感想が寄せられた。
 7月には、うつ病で休職した人が職場復帰を目指す施設「BowL(ボウル)」で出前講座を開いた。代表取締役の荷川取佳樹さん(46)は「一番いいのは思いを吐き出すこと。新聞記事を基に話すと普段より発言が増えて、効果が高いと感じた」と手応えを感じていた。
 出前講座の問い合わせ先はNIE事業推進室。 問い合わせはこちらから

 

 

親子で気になる写真探そう 普天間第二小PTA NIE講座

 宜野湾市立普天間第二小学校の4年生と保護者ら215人が23日、切り抜き新聞作りなどを楽しんだ。NIEアドバイザーで県立総合教育センターの甲斐崇研究主事が気軽にできる新聞の活用方法を紹介した。沖縄タイムスと琉球新報両紙の記者も講師を務めた。

親と意見交換をしながら切り抜き新聞を作る子どもたち=宜野湾市立普天間第二小学校

 甲斐さんは「新聞とちょっと仲良くなろう」と子どもたちに声を掛け、お気に入りの写真を探すことから始めたらいいと助言した。
 切り抜き新聞作りではグループごとに「かっこいい」「おどろいた」「うれしい」などのテーマに沿って写真を集め、コメントを書き込んで作品を仕上げた。子どもたちと保護者が、楽しそうに意見交換する姿が見られた=写真。
 古波蔵浩人君(9)と新城夢飛(めいび)君(10)は「僕らの新しい時代」と題して、電子新聞や電気自動車、ITタグなどの話題を集めた。「いろいろな写真が載っていて新聞は面白い」と声をそろえた。

[出前記者]戦争と知る権利考える 興南中生、本紙記者授業で

 興南中学校で12日、本紙記者の出前授業があり、政経部の粟国雄一郎記者が沖縄戦報道について解説した。2年生約100人を前に、体験者が高齢化し、減り続けているため、直接話を聞いた「私たち世代」が、「緊張感と当事者意識を持って語り継がなければならない」と呼び掛けた。

粟国記者と意見交換しながら、戦争や平和について考えた興南中の2年生=12日、那覇市古島

 粟国記者は、沖縄戦を含む日本の十五年戦争に関して書いた記事を紹介し、「なぜ誰も戦争を止められなかったのだろうと考えながら記事を書いた」と振り返った。その背景には「当時の国民が情報を知らされず、声を国造りに生かす仕組みがなかったことがある」と指摘。「国民が暮らしや国の姿をつくる意思決定の素材を提供するのが私の仕事。知る権利に応えていきたい」とした。
 生徒たちに対し、「どんな暮らしをするか決める役割がある」と強調。「聞いたことや見たことを自分なりにかみ砕いて、どんな国になってほしいか意思表示してほしい。そうでないと、戦争が起こるかもしれない」と結んだ。
 儀間碧仁(あおと)君(14)は「自分も(沖縄戦について)伝えていかなければいけない」と実感した様子だった。これまでは恐怖心から戦争にきちんと向き合えなかったが、「おじいちゃんやおばあちゃんに体験を聞こうと思う。語れるようになりたい」と話した。