上阪さんちのNIE(79)はだしのゲン 醜さの中で輝く強さ

「ゲン」怖くて読み切れず

目そむけたらまた起こる

 原爆を描いた漫画「はだしのゲン」の閲覧制限問題が起きました。上阪主税君(13)、きらりさん(12)は、平和を見つめ直しました。

はだしのゲン 醜さの中で輝く強さ

■2013年8月31日付読書20面
 広島で被爆した少年がたくましく生きる姿を描いた漫画「はだしのゲン」。松江市教育委員会が「発達段階の子どもにとって、一部の表現が適切かどうか疑問」などとして、閲覧の制限を市立小中学校に求めていたと知り、約30年ぶりに読みたくなった。…

 

 

主税くん▶「はだしのゲン」読んだことあるか?
きらりさん▶4年生の時に学校で読んだよ。人間があまりにも簡単に死んでしまうので、とっても怖かった。
主税くん▶僕は怖くなって読むのを途中でやめてしまった。でも自由に読めないなんていわれると、もう1回読んでみたいと思うよ。
きらりさん▶こないだ、学校の平和学習で県平和祈念資料館に行ったよ。薄暗いガマの中に入ると、本当に恐ろしくて、生きた心地がしなくて涙が出そうになった。
主税くん▶日本兵から「集団自決」(強制集団死)を強いられたり、虐殺されたり、地獄のようだね。
きらりさん▶広島の原爆、沖縄の地上戦、戦争という事実から目をそらすとまた同じことが起きるよね。
主税くん▶オバマ米大統領がシリアを攻撃するかも?
きらりさん▶お願いだから、「はだしのゲン」がこれ以上増えませんように。

見出しになるほど 越来小で新聞教室

 日本新聞協会NIE実践指定校の沖縄市立越来小学校(高江洲実校長)で4日、4年生対象の新聞の授業があった。沖縄タイムス社会部の具志堅学記者が見出しとリード文を読むことで記事の大意が分かるなどとワークシートを使って伝えた。

記事の大事なところを探す子どもたち=沖縄市立越来小学校

 2クラス48人が参加。実際の紙面をコピーしたワークシートを使い、「見出し」「リード文(最初の段落)」などの用語と役割を記入した。具志堅記者は「見出しは記事の要点。記事は大事なことから先に書くので見出しとリード文を読めばニュースのほとんどが分かる」と話した。
 ワラビーの「ニュースアラカルト」の記事リード文から、大事な言葉を選ぶ実践では、児童が「はだしのゲン」「閉架」「制限」「取りやめ」などを選択。具志堅記者は「『ゲン』制限取りやめ」という紙面で掲載された見出しを示し、見出しは大事な言葉の組み合わせで作られると説明した。

記事読み 絵に描こう うるま・中原小デッサンクラブ

 うるま市立中原小学校(安里禮子校長)で2日、新聞記事を読んで絵として表現するクラブ活動があった。4~6年生の18人が記事の内容を絵で説明したり、想像したことを描いた。

上阪あゆみさん(右)の指導で新聞記事を読んで絵を描く子どもたち=うるま市立中原小学校

 活動は月に1回。保護者の上阪あゆみさん(37)が指導するデッサンクラブは、夏休み明け初めの活動で新聞を題材にした。
 上阪さんは「記事を読んで絵を描くと、記事の内容や読んだときの気持ちを忘れず、定着する。新聞は読むだけじゃなくて、工夫したら楽しいと伝えたかった」と狙いを話した。
 6年の上江洲海(かい)君は、奄美大島でマングースの駆除が進み、アマミノクロウサギの生息数が回復した記事を選択。ウサギが増えて列をつくる一方で、1匹のマングースが仲間の昇天を思い出している様子を描いた。
 「本物のように描こうと工夫した。最初は絵にできる記事が探せなかったけど、やってみたら思った以上に楽しかった」と新たな発見を喜んだ。

新規NIE実践校4校に認定書伝達 言語活動充実に校長ら期待

 日本新聞協会が本年度新たにNIE実践校に指定した県内の4校に認定書が手渡された。県NIE推進協議会の山内彰会長らが8月26日までに各校を回って伝達した。校長らは読解力向上など自校の課題を挙げながらNIEの成果に期待した。
 認定書を受けたのは名護市立真喜屋小学校(平良正栄校長)恩納村立喜瀬武原小中学校(西野朗校長)興南中学校(我喜屋優校長)県立陽明高校(盛山泰秀校長)の4校。
 真喜屋小は平良校長自らが児童の読む力を課題に掲げて実践校に応募した。喜瀬武原小中は併置校であることを生かして、小学校高学年から中学生までの異年齢集団で新聞を使った授業に取り組む。
 興南中の我喜屋校長は甲子園春夏連覇した高校野球部の選手が1分間スピーチで新聞を取り上げた例を話し「(有名になった)朝の散歩でも記者になったつもりで見聞きしなさいと言っていた」と振り返った。
 陽明高の盛山校長は進路指導の経験から「人とぶつかるのを嫌がる世代だが、新聞記事を間に挟んで意見交換するのは効果がある」とコミュニケーション力の向上に期待した。

名護市立真喜屋小学校

恩納村立喜瀬武原小中学校

興南中学校

陽明高等学校

那覇の活性化へ新聞活用法学ぶ NPOの異業種交流会

 地域づくりに取り組むNPO法人なはまちづくりネット(大城喜江子代表)は29日、繁多川公民館で開いた月例の異業種交流会に沖縄タイムスNIE事業推進室員を講師に招き、新聞活用法を学んだ。社会教育に携わる参加者が記事を通してコミュニケーションを深める実習を経験した。

気になった新聞記事を紹介し合う参加者=那覇市繁多川公民館

 気になる記事を紹介し合うワークショップを体験。写真にせりふを付け、記事へのコメントを五七調で表現するワークシートに書き込み発表し合った。若狭公民館職員の真喜屋志保さんは「新聞記事がコミュニケーションの道具として有効だと分かった」と感想を話した。

 

 

【サイト版追記】
 繁多川公民館のブログで紹介していただきました。

幸地さんちのNIE(78)砲撃後 呼吸困難に

国の中で戦争しているの?

多くの命奪われ悲しいね

 内戦が続くシリアで、化学兵器を使ったと思われる事件が起き、多くの犠牲者が出ました。幸地功哲君(11)、富代さん(43)親子は、心を痛めています。

砲撃後 呼吸困難に

■2013年8月23日国際6面
 本格的な内戦が2年目に入ったシリアで、化学兵器の使用が疑われる事件としては犠牲者数で過去最悪の恐れがある「虐殺」が起きた。反体制派はアサド政権の関与を主張するが、政権側は「でっち上げだ」と強く否定。

 

 

 

功哲君▶ねぇ…この国、戦争してるの?
富代さん▶シリアの内戦の記事だね。戦争はほかの国との戦いで…。
功哲君▶あ、そうか! 国内で起こるんだ。軍と市民の対決なんでしょ? お父さんが言ってた。意見が違ったり、軍のやり方に不満があるからけんかになったんだって。
富代さん▶一番つらいことだね…。市民は弱いから力でねじふせられてしまって言いたいことが言えなくなるし、正しいことでなくても通っていってしまうよね。罪のない人が犠牲になる…。
功哲君▶サリンって毒なの?
富代さん▶残念なことだけど、日本でも20年くらい前にサリンが人の命を奪ったことがあったよ。たくさん一般の人が巻きこまれた。今も苦しんでいる人がいる怖い薬。
功哲君▶日本も内戦あったの?
富代さん▶同じ国の人でも考え方を分かり合えないと、相手を困らせたり、大事にしてあげられないのかもしれないね。
功哲君▶平和が一番幸せだね。

挑戦 切り抜き新聞 小・中・高教員 応用へ手応え

 県NIE推進協議会(山内彰会長)の第3回おきなわNIEセミナーが22日、沖縄市の県立総合教育センターであり、小・中・高校の教員20人が、話し合いながら、切り抜き新聞を作った。

NIEアドバイザーの古波津聡教諭(中央)らの助言をもとに切り抜き新聞を作る参加者=沖縄市の県立総合教育センター

 小学校は「甲子園」などグループごとにテーマを設けて切り抜き新聞を作り、記事に対する意見や感想を書いた付箋を貼り付けた。講師の一人、NIEアドバイザーでコザ小の古波津聡教諭が「テーマに込めた思いが一番伝わる記事をトップに持ってきて」などと助言していた。
 中・高は道徳の教材を作った。世界陸上の記事で切り抜き新聞を作り、それぞれ「自己を見つめ直す」「協力し合うことの大切さ」などのねらいを設定。授業展開などを話し合った。石垣市立宮良小学校の新屋和樹教諭(34)は「子どもに読解力やコミュニケーション力が付くと思う。使い方しだいで、どの教科でも活用できそう」と手応えを話した。
 NIEアドバイザーの城北中若夏分校の仲程俊浩教諭、伊平屋小の佐久間洋教諭、県立総合教育センターの甲斐崇研究主事も講師を務めた。