沖縄市立越来小学校5年1・2組(2011年度)は、学習に新聞を活用するNIE活動に継続的に取り組んだ。タッグを組んで指導にあたった古波津聡教諭(現コザ小)、米須奈々教諭(現天願小)は「新聞を活用することで子どもがやる気を出してくれた」と手応えを感じていた。2教諭と子どもたちの1年間を振り返った。
「もっと新聞ないの」「もっと時間がほしい」。見出しを読むことさえ、ままならなかった子どもたちが、積極的に取り組むようになった。2教諭は「自分なりの考えを持つことができ、表現力を高めるきっかけになった」と成果を実感している。
■記事を探す
古波津教諭はNIEに取り組んで2年目だった。初年度は「義務感で」取り組んだ。戸惑いは続いたが、児童が生き生きと学習する姿に励まされた。10年度は、総合的な学習の大半を使い、1・2組合同で取り組んだ。
まず、新聞の仕組みを子どもに解説することから始めた。文字を読むのが苦手でテレビ欄、スポーツ面にしか目が行かない子が大部分。「どこに購読料が書かれている? 探してごらん」と新聞をめくらせて、いろいろな分野の記事が載っていること、単行本1冊分の情報が詰まっていることを実感させた。
4月の東日本大震災関連の授業では「私たちに何ができるか」を考える材料に新聞を使った。読みこなすことが難しい児童もいて、見出し、写真を手がかりに記事を探してもらった。
■学びの蓄積
6月は、慰霊の日関連の報道を地元紙と全国紙で比べ、記事の量が違う理由などを考えさせた。古波津教諭は「講話を聞く、戦跡を見学するなどのこれまでの平和学習は受け身になりがちだった。今回は、子どもが主体的に学ぶことができた」という。
この時期から見出しや写真の内容を理解できる子どもが増えた。家庭学習で新聞スクラップに取り組む例も出てきた。NIEに初めて取り組んだ米須教諭は「新聞を使うことに慣れれば、子どもは進んで取り組むようになる」と試行錯誤の中で手応えを感じるようになった。
米須教諭は「活字を読むことに対する苦手意識が解消された。子どもたちが新聞に掲載された出来事を話題にすることも増えた」。古波津教諭は「知識を得る喜びを感じてもらえたのではないか。自ら読み込んだものは蓄積されていくと思う」と振り返った。
両教諭は新年度、それぞれ他の小学校に赴任した。新しい場所でもNIEの可能性を追求するつもりだ。
次の記事:[実践わたしの活用術](1)新聞記事から四季を感じる(小学1年・生活)