第4回おきなわNIEセミナー(主催・県NIE推進協議会)が18日、那覇市の琉球新報社であり、伊平屋村立伊平屋小学校(堀越泉校長)6年生18人が公開授業で、友達の選んだ記事にコメントを寄せる「新聞ツイッター」を披露した。「今の世の中で大切だと思うことは?」「記事を同じジャンルでまとめてみようよ」。それぞれが選んだ記事について、活発に意見を交わした。児童が、積極的に発言する姿は、新聞を通じて考える力や表現力がついたことを示した。
新聞ツイッターに取り組む伊平屋小6年生。指導する佐久間洋教諭が後ろから様子を見ながら声をかける=18日、那覇市の琉球新報社
新聞ツイッターは、グループごとに切り抜き新聞を作り、それに他のグループが感想や意見を書いた付箋を貼り付ける。
「世の中の出来事に関心を持とう」がテーマ。各自が切り抜いた記事はアフリカの難民支援や成人式の話題、海自輸送艦と釣り船の衝突など広範囲にわたる。どの記事を一番目立たせるかなどをグループで話し合い切り抜き新聞を仕上げた。
出来上がった他のグループの切り抜き新聞を見て回った児童は、興味を持った記事にコメントを書いた付箋を貼り付けた。15分ほどで200~300字を書き上げる児童が何人もいた。
最後の意見発表では、名護市辺野古への基地移設が争点になった名護市長選を取り上げ「この選挙は沖縄を左右する重要な問題」、新成人が逮捕されたニュースに「大人としての責任感を持ってほしい」などの指摘があった。
上江洲清龍君(12)は「いつも通り、みんなと活発な意見交換ができて楽しかった。友達の選んだ記事に積極的に質問できた。4月から取り組みを始めて、ニュースが分かるようになってきた。新聞を通して世の中のことを知り、将来に役立てたい」と語った。
公開授業を参観した宜野湾小の比嘉一貴教諭(26)は「教師が大枠だけ決めれば、子どもたちが次に何をするのか自主的に考えて行動していたので驚いた。発言内容も深く、意欲的に取り組んでいるのが印象的だ」と感心していた。
「相手の意見 知る機会に」 り抜き新聞 教員もワークショップで挑戦
切り抜き新聞を見てコメントを貼り付ける教員
セミナーに参加した教員も切り抜き新聞を作り、意見を付箋に書いて貼り付けた。気に入った記事を選び、和気あいあいと意見交換をしながら作品を仕上げた。「阪神大震災から19年」を1位に挙げたグループの作品には「忘れてはいけないとあらためて実感する」「東日本大震災もそうだが(これで)日本人の心が一つになった。基地問題でも日本人の心が一つになってほしい」などのコメントが寄せられた。
名護市立真喜屋小の當銘直美教諭は「3年生くらいだと、自分の意見を言うだけで満足しがち。これなら相手の意見を知る機会になりそう」と手応えを感じた様子だった。
恩納村立喜瀬武原中の新垣和哉教諭は「自分が選んだ記事にコメントが付くとうれしい。子どもの気持ちが分かる気がする」と笑った。
回を重ね 考える力アップ 朝・休み時間活用 「中・高の土台に」
伊平屋小は、NIEアドバイザーで6年生の担任の佐久間洋教諭を中心に全校で新聞を活用している。毎週木曜日の朝のNIEタイムでは記事の読み聞かせ、気に入った記事を紹介する1分間スピーチ、仲間の選んだ記事にコメントする新聞ツイッターなどをしている。
佐久間教諭はセミナーで「まず教員が記事の内容を紹介してやると、子どもが(ニュースに)興味を示すようになる」と、朝の時間や休み時間などを使えば授業の進度を気にせず気軽に取り組めることを強調した。
6年生は初め、ツイッターのコメントを一言、二言しか書けなかったが、回を重ねるうちに15分で200~400字を書けるほど力をつけた。3年担任の馬場弘光教諭は、切り抜いた記事をA2サイズの紙に貼って読み聞かせ、コメントを貼り付けさせている。「的を射たコメントが増えてきた。考える力がついてきている」と笑顔で話した。
堀越泉校長は「恥ずかしがり屋で自分の意見を表現できない子が多かったが、NIEを通じて話す力や書く力が付いてきた。中学、高校への土台ができてきた」と成果を実感している。