新聞めくり教材探し 大山小でNIE研修 教師らが実践例学ぶ 「児童の段階に合わせ活用」

 宜野湾市立大山小学校(高森新一校長)で25日、校内研修の一環として、教師を対象にしたNIEワークショップが開かれた。県NIEアドバイザーの甲斐崇教諭(浜川小)が新聞を活用した実践例を紹介した。参加した教師から、カタカナを探したり、身近なニュースを道徳の教材として使う活用案が挙がった。

 甲斐教諭は授業づくりのヒントとして「難しく考えず、これだったら使えそうだというイメージでいい」とし、新聞のすべてのページをめくって、使えそうな記事を探してみるようアドバイス。その上で「児童らの発達段階に合わせて、どのように活用するか考えることが必要だ」と強調した。
 教師らは実際に、その日の新聞全体に目を通して見出しを読み、気になった記事をチェック。ペアになって自分の読んだ記事を紹介し合い、意見交換した。
 新聞を使った授業イメージとして、低学年向けには、紙面からカタカナや知っている漢字を探させたり、ラジオ・テレビ欄で時間と時刻を知る作業などが提案された。
 高学年向けには、国語の単元に合わせて実際に新聞を作らせたり、テーマに分けて事前に集めた記事を、必要な状況や場面に応じて読み聞かせる案が挙がった。
 3年生担当の宮里秀太郎教諭(27)は、地域ボランティアを取材した記事に注目。「学校でも読み聞かせなど多くの人に支えられていることを、この記事で伝えることができるのではないか」と提案した。
 甲斐教諭は「興味を引かれる分野や最新のデータ、社会状況を伝えるツールとして新聞を活用することで、いろんな見方や考え方に触れさせることができる」と積極的な活用に期待した。

教師らが新聞を使った授業のイメージを出し合った校内研修=宜野湾市立大山小学校

 

先生も学ぶ新聞活用術 佐久間教諭、伊平屋で指導 思考力・書く力向上期待

授業に新聞を取り入れる方法などを紹介する伊平屋小学校佐久間洋教諭

NIE教育について楽しみながら研修する伊平屋小、野甫小の教諭ら

 【伊平屋】伊平屋小学校と野甫小学校教職員14人が7月25日、伊平屋小学校でNIE教育について校内研修を行った。伊平屋小教諭でNIEアドバイザーの佐久間洋教諭が講師となり、NIEの歴史や新聞の読み方、信頼性などの新聞の優位性について説明。教職員は実践を通して新聞の活用法などを学んだ。
 実践では新聞の見出しや写真だけを5分間見て、気になった記事について隣の人と意見を交換した。見出しや写真だけでも記事の内容が把握できることや意見交換から会話が生まれ、話す力や思考力などが身につくことを学んだ。
 気になった写真を選び、その写真を選んだ理由や吹き出しを利用し、写真の人物・動物が何を言っているかなどを書くという低学年向けのワークショップでは、想像力や言語力、書く力などの能力も高まることなどが説明された。
 実際に新聞を教材として活用している伊平屋小学校6年生では、3カ月間余りで書く力や話す力、社会性、表現力など大きく成長した姿が見られると紹介された。
 佐久間教諭は「子どもたちを新聞に親しませること。そして、教師が新聞に関心を持ち、どのような記事が授業に取り入れやすいか考え、楽しみながら使うことが大切」と話した。(國吉由美通信員)

[NIE・出前記者]新聞活用 教員へ紹介 本紙記者、赤道小で

 教育に新聞を活用するNIEの出前授業が24日、うるま市立赤道小学校(佐久本実校長)であり、本紙の具志堅学記者が、教員ら28人に実践例を紹介した。ワークショップを通して「新聞を授業で気軽に使って子どもの社会への関心を広げてほしい」と強調した。
 同校の校内研修会の一環。新学習指導要領では、新聞を活用し、子どもたちが情報を集めて選択、解釈し、表現する力を求めている。具志堅記者は「最初は写真や漫画を使う実践で、子どもに慣れ親しんでもらうといい」と助言した。
 授業の実践例では、グループ内で気になった記事について意見を交換したり、写真と記事を切り抜いて、被写体となった人物が言いたいセリフを考えた。
 昨年からNIEに取り組んでいる嘉陽哲子(のりこ)教諭(43)は「4年生以下の学年で、どう新聞を使うかが課題だったが、写真の活用法が分かった」とヒントを得た様子だった。

新聞の活用方法を探る出前授業で、記事を基に意見交換する教員=うるま市立赤道小学校

学校で新聞活用広がる 教員向け研修会活況 記者の出前授業も増

 新聞を教育に活用するNIEが、小学校の現場で広がりをみせている。新聞の活用が指導要領に明記されてから2年。教員向けの校内研修会のテーマに取り上げる学校が増え、授業でも児童が生き生き取り組む姿が目立つ。新聞協会が認定したNIEアドバイザーの甲斐崇教諭(北谷町立浜川小)は「読解力、表現力、社会性など幅広い力を育てる事ができる」と強調している。(具志堅学)

学校での新聞の活用法を紹介する浜川小の甲斐崇教諭(左から2人目)=沖縄市・コザ小学校

 「県内にまた大型店舗ができたんだ」「このブドウおいしそうだね」。6日、沖縄市立コザ小学校(平田光秀校長)の校内研で教員たちは、新聞記事を題材に意見交換を行った。5分間で新聞のすべてのページの見出しだけを読み、気になった記事を紹介する実践。教員は意見交換を通じ、他者がどんなことに興味を持っているか分かることなどを体感した。
 講師を務めた甲斐教諭は7月だけで5校の校内研に招かれた。現場の関心は高まっていると言えそうだ。
 NIEは情報収集力、判断力、表現力などを重視し、明確な正解を要求する課題は少ない。島袋美保子教諭は「子どもが自由に楽しめ、どの子(の頑張り)も認めてあげられる」と手応えを感じた様子だった。
 甲斐教諭は「楽しくなければNIEじゃない」と言う。浜川小に限らず、多くの授業で子どもが生き生きと取り組む姿がある。「新聞をめくれば、さまざまな出来事に出合える。それが子どもに興味や関心を持たせるのだろう」
 学校やPTAから本紙の記者が講師を務める出前授業の要請も増え、新聞スクラップの講習会も盛況だ。
 長年、NIEに取り組んできた兼松力教諭(南城市立大里中)は「沖縄の実践例は九州でもトップレベルにある。他府県のように行政との連携が進めば、もっと盛んになる」と話した。

 

NIE実践指定校
県内は5校認定

 日本新聞協会は11日、教育現場で新聞を活用する「NIE」(教育に新聞を)の2012年度実践指定校として、全国554校を決定した。このうち、先進的な取り組みをしている学校などを「奨励枠」とし、県内の那覇市立小禄南小学校、沖縄市立越来小学校を含む20都道府県51校を認定した。
 県内の実践校は奨励枠2校のほかに、沖縄市立コザ小学校、うるま市立中原小学校、沖縄アミークスインターナショナル(うるま市)の3校。
 全国の実践校の内訳は、小学校228校、中学校186校、高校97校、小中併設3校、小中一貫8校、中高一貫25校、特別支援5校、高専2校となった。
 沖縄タイムス、琉球新報の2紙が独自に指定する県指定校には、南城市立大里中学校、豊見城市立豊見城中学校、北谷町立浜川小学校、伊平屋村立伊平屋小学校、石垣市立伊野田小学校の5校が決定している。