挑戦 切り抜き新聞 小・中・高教員 応用へ手応え

 県NIE推進協議会(山内彰会長)の第3回おきなわNIEセミナーが22日、沖縄市の県立総合教育センターであり、小・中・高校の教員20人が、話し合いながら、切り抜き新聞を作った。

NIEアドバイザーの古波津聡教諭(中央)らの助言をもとに切り抜き新聞を作る参加者=沖縄市の県立総合教育センター

 小学校は「甲子園」などグループごとにテーマを設けて切り抜き新聞を作り、記事に対する意見や感想を書いた付箋を貼り付けた。講師の一人、NIEアドバイザーでコザ小の古波津聡教諭が「テーマに込めた思いが一番伝わる記事をトップに持ってきて」などと助言していた。
 中・高は道徳の教材を作った。世界陸上の記事で切り抜き新聞を作り、それぞれ「自己を見つめ直す」「協力し合うことの大切さ」などのねらいを設定。授業展開などを話し合った。石垣市立宮良小学校の新屋和樹教諭(34)は「子どもに読解力やコミュニケーション力が付くと思う。使い方しだいで、どの教科でも活用できそう」と手応えを話した。
 NIEアドバイザーの城北中若夏分校の仲程俊浩教諭、伊平屋小の佐久間洋教諭、県立総合教育センターの甲斐崇研究主事も講師を務めた。

10年研修でNIE学ぶ 県中頭教育事務所が初

新聞記事を「喜怒哀楽」のテーマに分け、切り抜き新聞を作っていく教員ら=沖縄市美原・中頭教育事務所

 中頭教育事務所(狩俣智所長)は勤務10年目の教師の研修に本年度初めてNIEを取り入れた。13日の研修は日本新聞協会公認NIEアドバイザーの兼松力氏(大里中学校教諭)と佐久間洋氏(伊平屋小学校教諭)が、言語活動を活性化させるNIEの効果をワークショップを通して伝えた。
 NIEは「観光教育」「キャリア教育と食育」と並ぶ選択研修として導入。管内の公立小・中学校教師70人のうち20人がNIEを受講した。
 5分間で全ページの見出しだけを読んで興味ある記事を選ぶワークショップで始まった。兼松教諭は「情報を選ぶ、選んだ記事についてグループで話すことで力が付く」とワークショップの意義を話すと同時に、関心ある記事の隣の記事も目に入る新聞の特性を説明した。
 後半は小学、中学に分かれた。小学校では4人グループで各自が選んだ記事に順位を付けて台紙に貼ってコメントを書いた後、別のグループの作品に付箋紙でコメントをつけていく「新聞ツイッター」を佐久間教諭が紹介。「順位を付けるのも多数決にはせず、話し合いを重視する。続けることで付箋に書くコメントの量が増えていっている」と事例を話した。
 受講した宮里恵教諭(山内小)は「見出しだけで内容が分かるということを知った。NIEは難しいと考えていたが、写真を使うのはいい方法だと思った」と話した。

金武教委がNIE研修 小中教員、新聞活用法学ぶ

 金武町教育委員会は30日、町内の小中学校教師63人を対象にしたNIE研修会を金武中学校で開いた。日本新聞協会公認NIEアドバイザー4氏がそれぞれワークショップをした。市町村教委が県NIE推進協議会と連携してNIE研修会を開くのは初めて。

ワークショップで、各自が選んだ記事の順位を話し合う参加者=30日、金武町の金武中学校

 4人グループで各自が気になった記事を選んで大きな紙に貼り、ほかのグループの作品に付箋紙でコメントを付け合う「新聞ツイッター」は、記事に順位を付けることで話し合う力を養うのも目的。講師の佐久間洋伊平屋小教諭は「話す力もつき、多様な考え方に触れられる」と効果を説明した。金武小の金城律子教諭(40)は「遊び感覚でできる。クラスでも取り入れたい」と感想を話した。
 道徳の教材になる記事を児童・生徒に選ばせる兼松力大里中教諭のワークショップに参加した島袋京子教諭(28)=金武中=は「自分で記事を選んで発表するのが楽しかった。子どもたちにも楽しさを感じてもらえると思う」と話した。
 甲斐崇県立教育センター研究主事が主に写真を使った実践、仲程俊浩教諭(城北中若夏分校)が慰霊の日の地元紙、全国紙の読み比べを紹介した。

「教科書より楽しい」新聞 静岡でNIE全国大会開幕

 【静岡市で具志堅学】第18回NIE全国大会静岡大会(主催・
新聞協会)が25日、静岡市内で開幕した。教育の現場で新聞活用
を進める教員や研究者ら1300人余が全国から集い、NIE活動
の裾野を広げようと討議する。シンポジウムでは教員と小中高生が
登壇。「子ども同士で新聞の良さを伝えていきたい」「教科書で授
業するよりも楽しい」など子どもの視点で提言があった。

全国から教員や研究者ら1321人が集い新聞活用に ついて話し合ったNIE全国大会=25日、静岡県コンベンション アーツセンター

 静岡市は新聞協会が1985年、初めてNIEを提唱した発祥の
地。
 大会では原点に戻り、誰もが無理なく取り組むことができる「や
さしいNIE」を目標にした。最終日の26日は公開授業や実践発
表がある。
 シンポでは、教員が記事の活用で戸惑う現状が紹介された。子ど
もの関心を引き出すために記者が授業することや、分かりやすい表
現で記事を書いてほしいなどの要望もあった。
 清水東高2年生で校内新聞を作っている山内花緒(かお)さんは
「新聞は、どんな授業でも朝の会でも帰りの会でも使うことができ
る。学校で面白さに気付けば、家でも読みたいと思うはずだ」と報
告。
 浜松市立積志(せきし)中教諭の高塚陽子さんは「3人の子ども
たちが、大勢の大人の前で堂々と話せるように育ったということが
(NIEの)成果」と感激していた。

【サイト追加情報】8月3日(土)付の特集紙面で詳しくお伝えします。

【作品募集中】「いっしょに読もう!新聞コンクール」

 日本新聞協会は「第4回いっしょに読もう!新聞コンクール」の作品を募集している。
 コンクールは小学生から高校、高等専門学校生徒までが対象。新聞記事を読んで(1)自分が考えたことを書き(2)家族や友人の記事に対する意見を書き取り(3)話し合った後の意見・提言を書く-もの。学校の授業でも活用できる。
 締め切りは9月3日。応募用紙は日本新聞協会のホームページからダウンロードできる。
 問い合わせ・応募先は沖縄県NIE推進協議会事務局(沖縄タイムス社内)、問い合わせフォームはこちらから

6月29日第2回おきなわNIEセミナー開催

第2回おきなわNIEセミナーのご案内

沖縄県NIE推進協議会

会長 山内 彰

(主管社・琉球新報社)

 

 平素からNIE(教育に新聞を)活動にご理解ご協力いただき誠にありがとうございます。
 NIE実践教師と新聞社でつくる当協議会では、下記の内容で教師向け研修会「おきなわNIEセミナー」を開催いたします。慰霊の日のある6月、地元紙や全国紙を読み比べるワークショップなどを通して、教師のメディアリテラシーを鍛える内容となっております。校内での周知方・ご参加よろしくお願い申し上げます。

 

 日 時:6月29日(土)午後1時~4時
 場 所:琉球新報社(那覇市天久905)
 テーマ:「読み比べの視点~慰霊の日の紙面から」
 講 師:仲程 俊浩氏
(城北中学校若夏分校教諭、日本新聞協会公認NIEアドバイザー)
 内 容:社説読み比べなどワークショップ2題
 定 員:20~30人程度

 申し込み・問い合わせはこちらから。学校名をお書き添えください。

 

気軽に実践 読み聞かせ 学年ごとに記事選び助言 第1回おきなわNIEセミナー

 おきなわNIEセミナーが11日、那覇市の沖縄タイムス社であった。教員らと各新聞社でつくる県NIE推進協(山内彰会長)が取り組んだ初のセミナーに教員や保護者32人が参加。NIEアドバイザー3人が、読み聞かせや意見交換などの実践を通して、児童・生徒の発達段階に応じて記事を選ぶ大切さを強調した。

)NIEセミナーで先生役と生徒役に分かれ「新聞読み聞かせ」を実践する教員ら=那覇市久茂地のタイムスビル

 メーン講師を務めた県立総合教育センター研究主事でアドバイザーの甲斐崇さんは、朝の時間で気軽に取り組めるメニューとして「新聞読み聞かせ」を紹介した。
 (1)紙面の紹介(2)出典を明らかにする(3)読み聞かせをする(4)教員が感想を伝える(5)児童・生徒に感想を発表させる-と手順を示し、「教科に関係なくできるので、中学・高校でも取り組みやすい」と説明した。
 4~5人のグループに分かれたワークショップでは、教師役と生徒役に分かれて新聞の読み聞かせを体験。教師が、記事で使われた語句などの意味を生徒に問い掛けて反応を引き出し、記事の内容を理解させる手法を学んだ。
 伊平屋小の佐久間洋教諭は、発達段階に応じて記事を選ぶ重要性について助言した。小学生に対しては、「低学年は写真で引き付けるのが大事。動物などの話題が親しみやすい。高学年なら身近な地域の話題。どの学年も同世代の子が活躍している記事には興味を持つ」と指摘した。
 城北中若夏分校の仲程俊浩教諭は「授業の導入では、中学生も写真や身近な話題がある市町村面の記事を使うといい。3年生になれば自分の意見を述べられるようになる。高校生は、大学生の就職などの進路についての記事を題材にするといい」と強調した。
 また甲斐さんは、経済協力開発機構(OECD)の学力調査で、児童・生徒の新聞への接触率の高い国・地域の成績が良かったことを紹介。「子どもたちには、必要な情報を選び、自分の言葉として発信する力が求められている」とし、新聞を通した言語活動の大切さを示した。