5月17日(土)第5回おきなわNIEセミナーを開催します

 NIE実践教師と新聞社でつくる沖縄県NIE推進協議会は、下記の内容で教師向け研修会第5回「おきなわNIEセミナー」を開催いたします。新年度最初のセミナーとして、NIEの概論や、無理なく新聞活用に取り組める手法3種類をワークショップ形式でお伝えします。学校に持ち帰ってすぐに生かせる内容になると存じます。

日 時:2014年5月17日(土) 午後1時半~4時(終了予定)
                     (受付開始は午後1時)
場 所:琉球新報社(那覇市天久905)2階多目的ホール
テーマ:「無理なく取り組めるNIE」
 講 師:古波津 聡氏
      (沖縄市立コザ小学校教諭、日本新聞協会公認NIEアドバイザー)
 内 容:新聞を教育に活用するNIEの理論を紹介しながら、校種を問わず、児童生徒とすぐに取り組める実践事例3種類(新聞読み聞かせ、ことばの貯金箱、写真コンテスト等)をワークショップ形式で紹介します。学校現場で取り組む際のポイントや工夫点などもお伝えします。
定 員:20~30人程度
申し込み:別窓で入力フォームが開きます。 

[実践 わたしの活用術](16)記事と生活の関係学ぶ(小学6年・社会)

憲法と暮らし 読み解く 分類して当てはめる

記事と生活の関係学ぶ

天願小学校 比嘉善也先生

対象 小学6年生
教科 社会
指導時間 1時間

【授業の様子】
 天願小学校の6年生3組の児童が1人1枚ずつ新聞記事を貼ったワークシートを持って話し合っていた。
 これまでにも各自が気になる記事を選び「環境」「経済」「地域の話題」など七つに分類してきた。この日は記事の分類名を横軸に、日本国憲法の「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」の3本柱を縦軸に描き、記事がどこに当てはまるかをグループで話し合った。
 グループごとに黒板に記事を張っていく。不発弾発見の記事が「環境」と「平和主義」の交点に張られるのを見て、比嘉善也先生はいったん発表をとめて教科書を開かせた。
 「確かに平和主義にかかわるけど、ふだんの生活が脅かされていることでもありますよね」。人権尊重にもまたがることを確認した。
 消費税増税の記事を選んだ児童は「税金を増やすなら国民の意見を聞いてほしい」とコメントし、記事を国民主権と人権尊重の間に張った。地域スポーツなど、児童が分類できなかった記事は「幸福追求の権利」など人権に集約した。
 比嘉先生は「記事はみんなの生活が書かれている。記事が分類できるのは、みんなの生活が憲法と結びついているから」とまとめた。

【授業の手順】
(0)前時まで
 12月と1月に宿題として気になる記事を選び、毎日の帰りの会で要約と感想を順次発表。社会科では日本国憲法の3本柱を学んだ。
(1)目当てを確認する
 「気になる記事を活用して、暮らしと憲法のつながりを考えよう」を確認。
(2)記事を分類
 8人ほどのグループに分ける。各自が選んだ記事が3本柱(国民主権、基本的人権の尊重、平和主義)のどれに当たるか話し合う。
(3)分類した結果を発表
 グループごとに黒板に記事を張り、分類結果を発表。児童が分けられない記事は教師がヒントを出して分ける。
(4)まとめ
 憲法と暮らしがつながっていることを確認する。

 

【ねらいとポイント】

天願小学校 比嘉善也先生

■ねらい
 ふだんから記事の選択や意見について、理由を付けて発表することを意識しています。
 社会科で学んだことを記事と結びつけることで深め、自分たちの生活と関連させて考えさせたかった。
■ポイント
 多面的に見るためにグループで話し合って分類しました。分類できない記事はみんなで考え、人権の視点からとらえる助言をしました。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

写真を使い 実践例学ぶ 宜野座村松田小学校教師

 県立総合教育センターのNIE出前講座が13日、宜野座村立松田小学校(伊波和子校長)で開かれ、教員9人が写真を使った実践など具体例やNIEの意義を学んだ。

気になった記事を選び、紹介し合う教員ら=宜野座村立松田小学校

 同校は来年度、新聞を使った授業を展開したいと考え、担当の甲斐崇研究主事を招いた。伊波校長は「まずは写真を使うなどいろいろなアイデアが学べた。こんな人になりたいという記事を集めて夢を広げるなどキャリア教育にもつなげていきたい」と抱負を話した。
 センターの出前講座は来年度分の受け付けを開始。校内研修のほか、児童生徒への授業、研究授業の支援などに活用できる。

 教育センターのホームページはこちらから(別窓が開きます)。

継続活用 表現力増す NIE実践指定校 報告会

 NIE実践指定校の報告会(主催・県NIE推進協議会)が4日、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれた。日本新聞協会指定と県推進協指定の計12校が発表、2校が紙面報告した。新聞を授業や朝の活動で継続的に使うことで読解力や意見などの表現力が高まっていることなどが紹介されたほか、教科内容に組み入れた例などが報告された。

知識を吸収し消化 新垣和哉教諭(喜瀬武原小中学校)
 NIEの効果を数字で図るのは難しいが、児童・生徒が変容していくのを体感できる。知識を吸収し、消化し、はき出せるようになる。引っ込み思案な子どもたちが、自分の考えをまとめ発信する機会をつくりたい。
 当校は小学生30人、中学生14人。規模の小ささを生かし、小中合同で取り組んでいるのが特徴だ。関連性のある記事を選ぶ作業をさせると、たとえば小学生は水族館の入場者数と釣りの記事を結びつけることもある。その発想が面白い。逆に中学生のやり方や考え方を見て小学生が学ぶことも多い。
 取り組み内容の掲示は、事務員や図書館司書が大いに動いてくれた。みんなを巻き込むことで、学校全体のNIE理解が深まる。

 

続けるうちに変化 當銘直美教諭(真喜屋小学校)

 3~5年生を中心に、新聞を活用している。3年生では「私が○○と思った写真」をテーマに、新聞から写真を選んでもらう授業をした。最初は「すごいと思ったもの」ばかりだったが、続けるうちに「心配だと思った写真」としてヤンバルクイナの事故記事を切り取ってきたり、「危ないと思ったもの」としてオスプレイが民家上空を飛行しているものを選んだりと、視点が変わってきた。
 1こまずつ切り離した4こま漫画を基に、意見を出し合う授業にも取り組んだ。子どもから、新聞でこんなに面白いことができると思わなかったとの声が出た。
 新聞を身近に感じる児童が増えてきたが、NIEを日常化するため活用法の研究と具体化が不可欠と感じている。

 

学びと社会つながる 宮城良子教諭(右)高良真弓教諭(陽明高校)
 新聞記事を活用することで、教科書で学んでいる単元と、社会とのつながりに気付いてもらうことができた。世界、沖縄の政治や経済を身近に感じ、自分なりの意見を持つこともできた。
 政治経済の授業では、単元ごとに関連する記事を取り入れている。新聞から質問を出したプリントを作成し、意見も書いてもらう。定期試験でも、必ず新聞から出題。切り抜いた記事を基に、生徒それぞれが選ぶ「十大ニュース」も発表してもらった。
 保健体育の授業でも、健康や環境などの分野で興味のある記事を選んでもらった。グループ内で発表し、友人同士で情報を教え合っている。今後は情報が偏らないよう、さまざまな記事を提供していきたい。

意見交換が活発化 石川美穂教諭(興南中学校)
 全学年の国語で、「新聞リレー」に取り組んだ。気になる記事とともになぜその記事を選んだかや、気付いてほしい点を書き、次の生徒がそれに答えていくというもの。生徒間の意見交換が活発になり、想像以上の効果があった。
 毎日の宿題として、四季や伝統行事などへの理解を深める、コラムを使ったワークシートも取り入れた。
 東京五輪の開催が決まった時には、各社が出した号外を読み比べ。見出しの違いを見ながら、読み手に伝わる印象の違いを考えた。
 NIEを始めて、生徒たちの国語力は伸びてきている。一定の成果があるが、今後はさらに効果を見据えた取り組みが必要。NIEを広げる上でも、欠かせないことだと思う。

 

きらりアイデア(ほかの実践校の事例)

小禄南小学校…児童の作品を保管し、異動してきた教師と共有。
伊野田小学校…地域の人も利用できる新聞コーナーを設置。
浜川小学校…全学年で週1回朝のNIEタイム。読み聞かせなど。
中原小学校…3年生が同じ部首の漢字探し。教科書では文字が少ない。
越来小学校…毎週末親子でスクラップ。会話弾む(4年生)。
沖縄アミークスインターナショナル…4こま漫画を壁一面に掲示。まず関心を高める。
宮良小学校…見出しだけ切り抜き。「短くても伝わる」(5年)。
コザ小学校…委員会活動を取材し、伝えたいことを見出しに(5年)。
伊平屋小学校…1年生も授業参観日に親子で切り抜き新聞作り。
沖縄工業高校…琉球・沖縄史を記事で学ぶ。資料集には記述少ない。

新聞の活用例 教員らが紹介 NIE実践報告会

 2013年度県NIE実践報告会(主催・県NIE推進協議会)が4日、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれ=写真、日本新聞協会指定実践校9校と県指定校3校が、新聞の活用事例を発表した。(7日付教育面で詳報)

各校の取り組みに耳を傾ける教諭ら=4日、那覇市久茂地・タイムスホール

 全学年で授業などに新聞を取り入れている沖縄市立コザ小学校は、記事を基に話し合いをしたり、4こま漫画のせりふを考えたりと、無理なく継続できる実践をしている-と紹介。神山英教諭は「新聞は学び合いに適切な教材。子どもたちにさまざまな見方、考え方が広がっている」と手応えを語った。
 石垣市立伊野田小学校は、児童だけでなく、地域の人も自由に新聞を閲覧できるコーナーを設けている。授業参観日にはNIEの授業を実践。保護者の関心も高まってきた-という。
 石田美喜子教諭は新聞に親しむ環境を整えたことで、これから読み書きを学ぶ幼稚園児も新聞を見ることがあるとし、「子どもたちは興味のある情報や必要な情報を探すことができるようになった」と話した。

[実践 わたしの活用術](15)新聞を通じて世界に触れる(小学5年以上・社会)

各国の現状 情報調べる 日本との関わり知る

新聞を通じて世界に触れる

喜瀬武原小学校 玉里真紀先生

対象 小学5年生以上
教科 社会
指導時間 1時間

【授業の様子】
 世界各国について学ぶ単元に5・6年生が取り組んだ。それぞれが国を一つずつ選び、日本との関わりなどを調べて発表した。
 対象となる国は、興味を持った新聞記事の中から選んだ。玉里真紀先生は「新聞には、教科書や本よりも新しい情報が載っている。その国の現在を知ってもらいたかった」と話した。
 5年生の瑞慶山りこさんがフィリピンを選んだきっかけは、台風被害を伝える新聞記事だった。「夏休みが2カ月半ある」「日本はたくさんバナナを輸入している」と本のほか、チラシなども利用して学んだ成果を披露した。
 「米国の学校には制服がない」「オーストラリアは日本にたくさんの石炭や鉄鉱石を輸出している」。どの子も元気よく発表していた。
 米国を取り上げた6年生の伊禮優太郎君は当日14日付のケネディ大使来県の記事について「辺野古のジュゴンやサンゴは沖縄の象徴なのでいなくなってほしくない。青い海が汚れるので(米軍普天間飛行場の)移設はしないほうがいいと思う」と思いを伝えた。

【授業の手順】
(0)前時まで
 1人一つずつ国を選ばせて、調べ学習を行い、B4程度の紙に新聞スタイルでまとめる。(5時間)
(1)目当てを確認する
 目当ての「日本と他国とのかかわりを探し、調べたことを発表しよう」を確認させる。
(2)新聞を調べる
 当日の新聞から選んだ国の記事を探させ読ませる。
(3)発表する
 数人に発表させる。対象国を選ぶきっかけになった記事と当日に選んだ記事を紹介。あらかじめ調べておいた日本と対象国とのかかわりと生活、学校の様子を発表させる。
(4)まとめる
 それぞれの発表を聞いてワークシートに対象国とのかかわりや学校の様子を書き込ませる。

 

【ねらいとポイント】

喜瀬武原小学校 玉里真紀先生

■ねらい
 外国への興味・関心を広げるために、その国の新しい情報を知ることが必要だと思い、新聞を使いました。必要な情報を見つけ出す力も養いたいと考え、インターネットは使いませんでした。
■ポイント
 対象国を決めて調べ学習をさせる際、複数の本を使うよう指示しました。それぞれの内容を理解して要約して比較する力を付けるためです。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

3月4日NIE実践報告会が開かれます(掲載情報を更新)

【追加情報3月7日】
 特集記事を掲載しました(別窓が開きます)。

 3月4日(火)午後4時から6時、NIE実践指定校の報告会が沖縄タイムスホール(那覇市久茂地2-2-2)で開かれます。13の指定校(予定)が1年間の実践を振り返り、成果と課題を共有します。指定校以外の先生方も参加できます。
 会場設営の都合上、参加ご希望の方はこちらから事前に登録ください(別窓が開きます)。必要ならばご案内の文書をお送りしますので、学校名、宛名(学校長か個人)、所在地などの情報をお書き添えください。