言い換え考え 違い吟味 熟語探し 語彙増やす
コラムで言葉を磨く
興南高校 石川美穂先生
対象 高校3年生
教科 国語演習
指導時間 2時間
【授業の様子】
興南高校3年生の国語演習の授業。拡大された本紙5月19日付のコラム大弦小弦が黒板に10枚張られている。2人一組で読み、いい表現だと思う部分に青、言い換えた方がいいと思う部分には赤印が付いている。赤と青の評価が分かれている表現がある。
コラムは沖縄の梅雨がテーマ。屋敷や道路が舗装された今、「地面に染み込まない水」が一気に海に流れるという部分に赤印を付けたペアは「地面に染み込まない」の代案に「地面からあふれた」を挙げた。理由は「あふれた」の方が水が多く感じるという。青印(原文支持)のペアは「あふれたは容器に使う表現」との意見。
石川美穂教諭は「文章は対比構造になっていることが多い。『染み込まない』が今のことだから対比する部分を探してみよう」と呼び掛けた。前の段落で舗装されない昔は雨が土や石積みの間に「染み込んだ」とあり、原文のままがふさわしいという結論になった。
主語を表す助詞は「が」がよいか「は」がよいかという議論も出た。
要旨を100字で、自分の考えを150字で書く定型の宿題を出して授業が終わった。
【授業の手順】
(0)準備
コラムを拡大コピーし、透明のカバーの間に挟む教具にセットする。
(1)コラムを読む
2人一組でコラムを読む。ぴったりだと思う表現に青、もっとよい表現があると思う文には赤で印を付ける。
(2)語彙(ごい)を増やす
コラムに出てくる漢字を使った別の熟語を電子辞書で探させる。挙がった熟語を解説したり、あまり知られていない熟語を紹介したりする。
(3)言葉を吟味する
(1)で印を付けたコラムを黒板に張る。青、赤それぞれの根拠を挙げさせ、言葉の意味、受けるイメージを共通理解にする。
【ねらいとポイント】
興南高校 石川美穂先生
■ねらい
言い換えを考えることは原文の意味を読み取り、ほかの言葉との意味の違いを吟味することになります。生徒は辞書にある意味以外の意味を思い込んでいることがあるので、頻繁に辞書を引いて確かめます。
また5分の1の分量に要約するには熟語に置き換えることが必要で、語彙(ごい)を増やすことにつながり、同じ言葉を使わないように小論文対策にも役立ちます。
記事にある言葉と関連する別の言葉を探させることでも語彙を増やします。
■ポイント
地元紙のコラムは身近なことが書いてあり、分量も適当です。社会問題を書いたものはその問題を理解する方に思考がいってしまうので、言葉に注目する今回は季節の話題を選びました。
「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。