[出前記者] テーマに沿い記事選び 沖縄中央学園 学生ら切り抜き

 専門学校沖縄中央学園(沖縄市胡屋)で16、21の両日、沖縄タイムス出前授業の切り抜き新聞づくりがあった。保育士や幼稚園教諭を目指す学生合わせて80人余りがグループワークでコミュニケーション力を高めた。

テーマに合わせて切り抜く新聞記事を選ぶ学生=21日、沖縄市胡屋・沖縄中央学園

 1日かけた夏のスクーリングの一部。16日は福祉保育科、21日は夜間で学ぶ幼児教育科の学生が受講した。
 「勇気」「びっくり」など抽象的なテーマに沿って各自が記事を選び、グループでトップ記事を話し合いで決める。同じ記事でも「勇気」や「元気」など別のテーマに当てはめるなどとらえ方の違いも実感した。
 スクーリングを担当する非常勤講師の今秀子さんは「メールなどで言葉が簡略化されている中で、トップ記事の理由を一緒に考えることで力がつく」と切り抜き新聞づくりの効用を分析した。

教員ら、記事選び意見交換 佐久間教諭が実践紹介

 教師向け講座「おきなわNIEセミナー」(主催・県NIE推進協議会)が28日、那覇市久茂地の沖縄タイムス社であり、教員ら16人が受講した。印象に残った記事について、3~4人のグループで意見を出し合うワークショップを体験。参加者は、視点の違いを実感しながら、ニュースへの理解を深めていた。

選んだ記事を基に意見を出し合う参加者=28日、那覇市久茂地・沖縄タイムス社

 記事を選んだ理由と感想を表現することに加え、ほかの人がその記事を読んでどう思ったかも聞き取り、さらに考えをまとめた。多角的に考える力や、話す・聞く力などを養おうという狙いだ。
 NIEアドバイザーの佐久間洋比屋根小教諭は、6年生での実践を紹介。1回の授業だけでなく、取り組みを継続することが大切、と呼び掛けた。
 「子どもたちはスポーツの記事を選びがちなので、(さまざまな意見が出るよう)こちらである程度テーマを設ける必要がある」と感じていたという赤道小学校の嘉陽哲子教諭は「友人同士だけでなく、家族で話し合うことも有効。早速実践したい」と話した。

[出前記者]新聞活用法探る 児童の表現力向上へ 豊見城・伊良波小

 豊見城市立伊良波小学校は18日、沖縄タイムスの具志堅学記者を招き、NIE出前講座を開いた。新聞を授業に活用する目的で教師25人を対象に見出しや記事の書き方の特徴、利用法を学んだ。

新聞の授業への活用法について学んだNIE出前講座=18日、豊見城市立伊良波小学校

 4人1組に分かれて「喜」「怒」「楽」などのテーマごとに記事を選ぶ作業に挑戦。島尻千賀子教諭らは、読み聞かせや、写真から思いを読み取るといった方法で「新聞が授業に使えるのでは」と手応えを感じた様子だった。
 平良正栄校長が前任校で児童の表現力の高まりを実感したことから校内研修として企画。児童は「5W1H」を心掛けて文章を書くようになったという。
 平良校長は、NIEを南部に広げるきっかけにしたいと意欲。具志堅記者は「新聞が、授業に気軽に使えることを知ってほしい」と話した。

[実践 わたしの活用術](19)コンクールを授業に活用(小学6年・総合的な学習)

友の意見 考えるヒント ペアよりグループで

コンクールを授業に活用

比屋根小学校 佐久間洋先生

対象 小学6年生
教科 総合的な学習
指導時間 1時間

【授業の様子】
 比屋根小学校の6年1組の児童が、新聞記事を貼り付けて自分の感想を書いた「いっしょに読もう!新聞コンクール」の応募用紙を取り出した。4人で向かい合ってグループ活動の開始だ。
 佐久間洋先生が「グループ活動で大事なことは何ですか」と問いかけると、「お客さんにならないこと」と大きな返事が返ってきた。主体的に取り組むことを声に出して確認した。
 1人が記事の説明と感想を述べるとほかの3人が記事に対する意見を言う。記事を提示した児童は一生懸命メモを取っている。
 「いつも言っているようにメモを取るときは文で書くと間に合わないよ。大切な言葉だけでいいんだよ」。佐久間先生の助言が響く。ふだんからスピーチなどでメモを取りながら聞くのを習慣にしているだけあって、メモ帳を取り出して友達が発する言葉を書き留めていく。
 障がいのある人の要望で那覇空港新国際線ターミナルに優先席ができるなど改善があったとの記事について「もっと点字板が増えたらいい」「優しい施設を増やしてほしい」などの意見が出て、記事を選んだ子がその意見を受け止めて文章にしていった。

【授業の手順】
(0)宿題
 コンクール応募用紙に新聞記事を貼り、感想を書くことを宿題にする。
(1)目当て、手順の確認
 「世の中の出来事に関心をもとう」という目当てを確認する。次のグループ活動の手順を確認する。
(2)グループで話し合い
 1人が選んだ記事を紹介して感想を言う。ほかの3人はその記事への感想を言う。記事を提示した児童は友人の意見をメモする。以上を全員分繰り返す。
(3)友人の意見を書く
 応募用紙に友人の意見を要約して書く(150字以内)。
(4)自分の考えを書く
 友人の意見を踏まえて考えたことを書く(300~400字)。

 【ねらいとポイント】

比屋根小学校 佐久間洋先生

■ねらい
 社会の出来事に関心を持つこと、さらに友達と話し合うことで出来事への考えを深めることができます。
■ポイント
 45分でやるには話し合いを中心にし、前後にある自分の考えを書く活動は宿題にします。友達の話を聞くときにメモを取るのが不可欠です。
 ペアよりも多くの意見が出て多角的な深まりが出るので4人グループで意見交換しました。

 

 

【関連記事】

いっしょに読もう!新聞コンクール 読み解き 解決策探る

 「いっしょに読もう!新聞コンクール」は日本新聞協会が募集する全国規模の新聞感想文コンクール。友人や家族の意見を聞き取って書き、それを踏まえた自分の意見を書くのが特徴だ。他者の意見を読み解いたり、文章にまとめたりする過程が「言語活動の充実」を具体化する実践といえる。
 国語的な活動であると同時に社会科の授業にもつながるとの指摘がある。福岡県・飯塚市立小中一貫校頴田(かいた)校の柴田康弘教諭は「社会科では判断の分かれる社会問題等について他者との議論を通じて、その解決策や代替策を探るといった授業が求められている」(日本新聞協会発行『NIEニュース75号』から)として、コンクールの仕組みが社会科の授業に援用できるという。
 過去の応募作を見ると、スポーツ記事では応募者の感想以上に議論が深まることはまれで、授業の際には記事の選択に助言が必要となりそうだ。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

[出前記者]家族自慢 文章に 真喜屋小 児童が親取材

 名護市立真喜屋小学校(伊礼正二校長)の日曜授業参観で15日、4年生が親にインタビューして文章をまとめる授業があった。「私の家族自慢」がテーマで、家族の結びつきを再確認した。

親子でインタビューした真喜屋小4年生の授業=名護市真喜屋

 沖縄タイムス新聞活用出前授業を利用した。安里努NIE事業推進室記者が伊礼校長に模擬インタビュー、メモの取り方などを伝えた。
 児童18人は参観に来た親に家族一人一人の紹介や家族全体で自慢に思うことを尋ねて付せん紙にメモを取り、次の授業で200字の作文にまとめた。
 比嘉海広(みひろ)君は母親をインタビュー。母はバレーやバスケットに励む娘や息子を挙げて「仲が良くてみんなで大会(試合)の応援に行くのが自慢」とまとめた。
 担任の山城理乃教諭は「ふだん書く作文より温かさが感じられた。保護者の家族を思う温かな気持ちが、子どもたちに伝わったようだ」と感心していた。

[出前記者]チームで新聞作り 仲井真小5年の115人

 那覇市立仲井真小学校(安里恒男校長)で12日、沖縄タイムスの新聞活用出前授業があり、5年生115人が体育館で4、5人のグループに分かれ、2時間かけて切り抜き新聞を作った。

切り抜き新聞をグループでつくった5年生=那覇市立仲井真小学校

 「びっくり」などをテーマにこの日の新聞から記事を選び、一番伝えたい記事を話し合いで決めた。発行者名を書き加えたり、オリジナルキャラクターを作るなど工夫を凝らした。
 「ハッピー新聞」と題して「うれしい」記事を選んだ金城星来(せいら)さん(10)は「事件でもスポーツでもすごいと思うことがいろいろある」と全ページをめくった感想を話した。
 新垣清教諭は「同じ日の新聞でも選ぶ記事が違うのが面白い。子どもたちにも個々の見方の違いが実感できたのではないか」と視野を広げる活動と評価した。

新聞記事の特徴学ぶ 沖縄市美里でスクラップ教室

 沖縄市の美里自治会(喜納康則会長)は14日、同自治会館ホールで新聞のスクラップ教室を開いた。地域住民ら30人が紙面を切り抜きながら記事の特徴を学んだ。沖縄タイムス美越販売店の久高清美店主らが指導した。

新聞記事のスクラップに取り組む子どもたち=14日、沖縄市の美里自治会事務所ホール

 サッカー・ワールドカップ日本代表の記事を切り抜きした永本悠樹(はるき)君=美里小2年=は「本田圭佑選手の記事を探すのが楽しかった」と笑顔。「STAP細胞」の論文問題を選んだ松林聖和(せな)さん=同小3年=は「難しい漢字がいっぱいあった。新聞でたくさん漢字を覚えたい」と話した。
 自慢のスクラップ集を紹介するコーナーもあり、10年以上、スクラップを続ける諸見里安勝さん(69)が、沖縄の歴史や医療、孫の絵画コンクール入賞などをまとめたノートを披露した。諸見里さんは「いろんな記事が詰まっていて読み返すと感動する。子どもたちも楽しみながら取り組んでみて」と呼び掛けた。