「ことばの貯金箱」を体験 第5回おきなわNIEセミナー

 教員向け研修会「第5回おきなわNIEセミナー」が17日、那覇市の琉球新報社で開かれ、23人がワークショップを通して学んだ。

新聞から選んだ言葉を紹介し合う教員=那覇市天久・琉球新報社

 メーンのワークショップは新聞から好きな言葉を集めていく「ことばの貯金箱」。元中学校教諭の渡辺裕子さんが東日本大震災の後、被災地の学校や地域で始めた。
 セミナーではNIEアドバイザーの古波津聡コザ小教諭が講師を務めた。新聞を1人1部ずつ配り、参加者は「大切にしたい言葉」「わくわくする言葉」などを切り抜いていった。グループに一つの箱に紙片を入れるときに「チャリーン」と合言葉を言うのが「貯金箱」らしい。
 集めた言葉を箱から出してグループの中で分け合い、各自が色画用紙に貼り付けて作品にする。紙片をつないで言葉にしたり、ペンでハート形に囲んだり、補足の文字を書き足したりした。
 グループで発表し合った後、古波津教諭が「言葉で人に優しさを与えることができる」など九つのキャッチフレーズを紹介。そんな言葉の力をたくさん持っている「ことばの億万長者」はどんな人だろうかと問い掛けると、参加者からは「人と自分に奇跡を起こすことができる」と名言が飛び出した。

各自が切り抜いた言葉を集め、分け合う。ほかの人が選んだ言葉とも出合う

 参加した寄宮中教諭の安次嶺勝江さんは「言葉から発想が広がっていくのに感動した。小学校の先生方が気軽に取り組んでいるのが分かってよかった」と感想を話した。
 この日はほかに写真に吹き出しを付けたり、記事を読み聞かせるワークショップを実施。中学校や高校での応用について、兼松力アドバイザー(大里中教諭)は「教科には組み入れにくいが、学活などでアレンジしてほしい。個々に対応でき、正解を求めないので能力差があっても取り組め、相互理解を深められる」と助言した。

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新聞から言葉集め作品に 教師向けNIE講座

 教師向け講座おきなわNIEセミナー(主催・県NIE推進協議会)が17日、那覇市の琉球新報社で開かれた。新聞から好きな言葉を切り抜いて集める「ことばの貯金箱」では生徒へのメッセージや家族への感謝などを思い思いの言葉を選んで作品にした。(28日付「月刊NIE」で詳報

新聞から心に残った言葉を切り抜いて集め、紹介し合う参加者=17日、那覇市天久・琉球新報社

 NIEアドバイザーの古波津聡コザ小学校教諭が「気軽に取り組めるNIE」をテーマに3つの実践を紹介、23人が受講した。
 「ことばの貯金箱」を児童と実践した古波津教諭は「児童の言葉遣いが乱暴と感じていた。きれいな言葉には元気を与えるなどの力があると伝えたかった」と取り組んだ意図を話した。
 糸満中学校の内山直美教諭は自分のクラスの子に贈る言葉として「自立」「目標高く」「飛躍」などの見出しを切り抜いて台紙に貼った。「学活で取り組むと、言葉を通してクラスが仲間意識を持てるのではないか」と感想を話した。

5月17日(土)第5回おきなわNIEセミナーを開催します

 NIE実践教師と新聞社でつくる沖縄県NIE推進協議会は、下記の内容で教師向け研修会第5回「おきなわNIEセミナー」を開催いたします。新年度最初のセミナーとして、NIEの概論や、無理なく新聞活用に取り組める手法3種類をワークショップ形式でお伝えします。学校に持ち帰ってすぐに生かせる内容になると存じます。

日 時:2014年5月17日(土) 午後1時半~4時(終了予定)
                     (受付開始は午後1時)
場 所:琉球新報社(那覇市天久905)2階多目的ホール
テーマ:「無理なく取り組めるNIE」
 講 師:古波津 聡氏
      (沖縄市立コザ小学校教諭、日本新聞協会公認NIEアドバイザー)
 内 容:新聞を教育に活用するNIEの理論を紹介しながら、校種を問わず、児童生徒とすぐに取り組める実践事例3種類(新聞読み聞かせ、ことばの貯金箱、写真コンテスト等)をワークショップ形式で紹介します。学校現場で取り組む際のポイントや工夫点などもお伝えします。
定 員:20~30人程度
申し込み:別窓で入力フォームが開きます。 

継続活用 表現力増す NIE実践指定校 報告会

 NIE実践指定校の報告会(主催・県NIE推進協議会)が4日、那覇市久茂地のタイムスホールで開かれた。日本新聞協会指定と県推進協指定の計12校が発表、2校が紙面報告した。新聞を授業や朝の活動で継続的に使うことで読解力や意見などの表現力が高まっていることなどが紹介されたほか、教科内容に組み入れた例などが報告された。

知識を吸収し消化 新垣和哉教諭(喜瀬武原小中学校)
 NIEの効果を数字で図るのは難しいが、児童・生徒が変容していくのを体感できる。知識を吸収し、消化し、はき出せるようになる。引っ込み思案な子どもたちが、自分の考えをまとめ発信する機会をつくりたい。
 当校は小学生30人、中学生14人。規模の小ささを生かし、小中合同で取り組んでいるのが特徴だ。関連性のある記事を選ぶ作業をさせると、たとえば小学生は水族館の入場者数と釣りの記事を結びつけることもある。その発想が面白い。逆に中学生のやり方や考え方を見て小学生が学ぶことも多い。
 取り組み内容の掲示は、事務員や図書館司書が大いに動いてくれた。みんなを巻き込むことで、学校全体のNIE理解が深まる。

 

続けるうちに変化 當銘直美教諭(真喜屋小学校)

 3~5年生を中心に、新聞を活用している。3年生では「私が○○と思った写真」をテーマに、新聞から写真を選んでもらう授業をした。最初は「すごいと思ったもの」ばかりだったが、続けるうちに「心配だと思った写真」としてヤンバルクイナの事故記事を切り取ってきたり、「危ないと思ったもの」としてオスプレイが民家上空を飛行しているものを選んだりと、視点が変わってきた。
 1こまずつ切り離した4こま漫画を基に、意見を出し合う授業にも取り組んだ。子どもから、新聞でこんなに面白いことができると思わなかったとの声が出た。
 新聞を身近に感じる児童が増えてきたが、NIEを日常化するため活用法の研究と具体化が不可欠と感じている。

 

学びと社会つながる 宮城良子教諭(右)高良真弓教諭(陽明高校)
 新聞記事を活用することで、教科書で学んでいる単元と、社会とのつながりに気付いてもらうことができた。世界、沖縄の政治や経済を身近に感じ、自分なりの意見を持つこともできた。
 政治経済の授業では、単元ごとに関連する記事を取り入れている。新聞から質問を出したプリントを作成し、意見も書いてもらう。定期試験でも、必ず新聞から出題。切り抜いた記事を基に、生徒それぞれが選ぶ「十大ニュース」も発表してもらった。
 保健体育の授業でも、健康や環境などの分野で興味のある記事を選んでもらった。グループ内で発表し、友人同士で情報を教え合っている。今後は情報が偏らないよう、さまざまな記事を提供していきたい。

意見交換が活発化 石川美穂教諭(興南中学校)
 全学年の国語で、「新聞リレー」に取り組んだ。気になる記事とともになぜその記事を選んだかや、気付いてほしい点を書き、次の生徒がそれに答えていくというもの。生徒間の意見交換が活発になり、想像以上の効果があった。
 毎日の宿題として、四季や伝統行事などへの理解を深める、コラムを使ったワークシートも取り入れた。
 東京五輪の開催が決まった時には、各社が出した号外を読み比べ。見出しの違いを見ながら、読み手に伝わる印象の違いを考えた。
 NIEを始めて、生徒たちの国語力は伸びてきている。一定の成果があるが、今後はさらに効果を見据えた取り組みが必要。NIEを広げる上でも、欠かせないことだと思う。

 

きらりアイデア(ほかの実践校の事例)

小禄南小学校…児童の作品を保管し、異動してきた教師と共有。
伊野田小学校…地域の人も利用できる新聞コーナーを設置。
浜川小学校…全学年で週1回朝のNIEタイム。読み聞かせなど。
中原小学校…3年生が同じ部首の漢字探し。教科書では文字が少ない。
越来小学校…毎週末親子でスクラップ。会話弾む(4年生)。
沖縄アミークスインターナショナル…4こま漫画を壁一面に掲示。まず関心を高める。
宮良小学校…見出しだけ切り抜き。「短くても伝わる」(5年)。
コザ小学校…委員会活動を取材し、伝えたいことを見出しに(5年)。
伊平屋小学校…1年生も授業参観日に親子で切り抜き新聞作り。
沖縄工業高校…琉球・沖縄史を記事で学ぶ。資料集には記述少ない。

3月4日NIE実践報告会が開かれます(掲載情報を更新)

【追加情報3月7日】
 特集記事を掲載しました(別窓が開きます)。

 3月4日(火)午後4時から6時、NIE実践指定校の報告会が沖縄タイムスホール(那覇市久茂地2-2-2)で開かれます。13の指定校(予定)が1年間の実践を振り返り、成果と課題を共有します。指定校以外の先生方も参加できます。
 会場設営の都合上、参加ご希望の方はこちらから事前に登録ください(別窓が開きます)。必要ならばご案内の文書をお送りしますので、学校名、宛名(学校長か個人)、所在地などの情報をお書き添えください。

NIE支援に謝意 推進協が県教育長訪問

 県NIE推進協議会の山内彰会長らは6日、県教育庁に諸見里明教育長を訪ね、新聞を教育に活用するNIE活動への行政の支援に謝意を述べ、教員向け研修のさらなる充実などを求める要望書を手渡した。

諸見里明県教育長(右)に要請文を手渡す山内彰県NIE推進協議会長(左端)ら=県教育長室

 山内会長は「かつては『お願い』で訪れていたが、ここ数年は子どもたち、教師、父母の生き生きした姿を報告できるのがうれしい」と活動の充実ぶりを話した。
 諸見里教育長は「新聞は、現実と学校の懸け橋ですべてが教材となる。NIEを通して生きる力を構築していきたい」と述べた。
 推進協議会副会長の武富和彦沖縄タイムス社取締役編集局長、玻名城泰山琉球新報社取締役編集局長とNIEアドバイザーの甲斐崇県立総合教育センター研究主事、古波津聡コザ小学校教諭も同席し、授業やフォーラムで児童生徒が新聞を活用する姿を報告した。

来年度のNIE実践校を募集中

平成26年度NIE実践校募集のお知らせ

実践校のメリット
【新聞提供事業】
 地元紙に加え、朝日、毎日、読売、日本経済の各紙を、1紙当たり2か月または4か月(実践者の人数による)提供します。実践開始前に簡単な年間購読計画書を提出していただきます。新聞が身近にある環境をつくり、児童生徒の関心を高めます。
【全国大会参加に助成等】
 夏休みに開かれるNIE全国大会に参加する際、一定額を助成します。その他、現場教員であるNIEアドバイザー、新聞社の担当者がサポートします。

実践校に求められること
【実践報告書の提出】
 年度末に実践をまとめた報告書(A4で4枚程度)を提出し、報告会(3月)で発表をお願いします。
【授業公開】
 新聞を使った授業を推進協議会役員に公開していただくか、地元紙の取材を受けていただきます。紙面掲載を通じて学校内外に紹介する機会にできます。
【NIE実践フォーラム等への参加】
 上記の報告会、11月の実践フォーラムに参加していただきます。また、原則隔月で開催する教員向け研修会「おきなわNIEセミナー」にも可能なかぎり参加をお願いします。実践上の課題やヒントを話し合う場にもなります。

詳しくは
 過去の実践をまとめた報告書や新聞提供に関するマニュアルをお送りします。以下の連絡先に請求ください。
【注】実践校の申し込み期限は2月21日(金)、5月9日(金)です。
 沖縄県NIE推進協議会事務局長 安里努(沖縄タイムス社)
   ファクス098(860)3664
   問い合わせフォームはこちらから(別窓で開きます)
<参考情報>日本新聞協会NIEウェブサイト(別窓で開きます)