各校の新聞活用例を発表 NIE実践で指定校が報告会

 2012年度県NIE実践報告会(主催・県NIE推進協議会)が6日、琉球新報社で開かれ、日本新聞協会指定実践校5校、県指定校4校が各学校での新聞の活用事例を発表した。
 各学校とも壁に新聞切り抜きを項目別に張り付けたり、新聞スクラップに読後の感想を書き込んだりするなど、授業で新聞に親しむためのアイデアを紹介。
 コザ小学校の古波津聡教諭は朝の1分間スピーチで気に入った記事を紹介したり、記事について生徒が自由に意見を書き込む「新聞ツイッター」などの事例をあげ「無理なく継続できる取り組みから始めた結果、スクラップなど盛りだくさんの実践に広げることができた」と強調した。
 県NIE推進協議会の山内彰会長は「多くの学校の取り組みをみんなで共有できればいい。今後も文字文化の良さを活動に取り入れたい」と話した。

 新聞協会指定校の発表内容はこちらの記事で。(別ウインドウで開きたい場合はこちら

 

島袋さんちのNIE (59)読み聞かせ/ユンジチ根拠 実は謎

「ユンヂチ」って何だろう

墓や仏壇の買い替え時期

 ユンヂチって何だろう? 島袋敦也君(14)と父親の久仁人さん(49)が沖縄の伝統について語り合います。2人はその謎に迫れたのでしょうか?

ユンジチ根拠 実は謎

■2013年2月26日第2社会面 旧暦の閏月を指す「ユンヂチ」。沖縄では墓の購入や仏壇などの取り換えに良い時期とされるが、伝統文化に詳しい専門家も僧侶も「なぜいい時期なのか、本当の理由はよく分からない」という。本来は1カ月だが、年間を通して仏壇セールなどが展開されている。

久仁人さん▶敦也、「ユンヂチ」知ってる?
敦也君▶うん。聞いたことがあるよ。
久仁人さん▶1年は365日。これは太陽暦。旧暦は1年が太陽暦に11日足りない。この日数がたまって1年が13カ月になって、同じ月を繰り返すのがユンヂチというそうだよ。
敦也君▶あっ、沖縄で旧暦の正月を祝うというのを聞いたことがあるよ。で、このユンヂチには何するの。
久仁人さん▶お墓建てたり、仏壇を買い替えたり…。なぜか沖縄では、昔から伝わっているからということで。みんな、そうしているんだよ。
敦也君▶お父さん、なんでこういうのがあるのかな。
久仁人さん▶専門家もよくわからないそうだ。
敦也君▶みんながそれを守っているんだな。スゴイ。

[出前記者]絶妙見出しに歓声 読谷高で新聞づくり体験

 読谷高校(與那覇健勇校長)は2月22日、沖縄タイムスの記者を招いた出前講座を開いた。1年7組40人が、記事を読んで見出しを付けるなどの課題に挑んだ。講師を務めた社会部の具志堅学記者は「新聞で、いろいろなニュースに出合うことができる。これで視野を広げてほしい」と話した。

新聞を読み、興味を持った記事をクラスメートに紹介する男子生徒=読谷高校

 講座では、生徒それぞれが興味を持った記事をグループ内で紹介し合った。具志堅記者は「まずは見出しだけを眺め、その後に興味をもった記事を読めばいい」と助言した。
 見出しをつける取り組みでは、イカの群れが海中から飛び出した場面の撮影に成功した記事(8日付第2社会面)に見出しを付け発表。「イカフライゲット」などプロをうならせるものや珍回答などもあり、笑い声が絶えなかった。

[遊びながら学ぼ]カタカナ探し 田中友啓君(小学6年)・英仁さん親子

辞書引いて意味調べ

 那覇市立高良小学校6年の田中友啓(ともひろ)君(11)と父親の英仁(えいじ)さん(42)が、外来語などの片仮名の意味調べに取り組みました。挑戦したのは電子書籍についての連載(2月22日付文化面)。分からない言葉を抜き出し、電子辞書や現代用語辞典を引いて学びました。

電子辞書や外来語辞典を使って分からない外来語の意味を調べた田中友啓君と英仁さん親子

 友啓君 「シフト」が分からないなー。パソコンのキーにはあるけど。
 英仁さん お父さんは、車の(ギアの)シフトを思い出すな。分かんないよね?
 友啓君 「ソーシャルリーディング」は、この言葉の前に「フェイスブックなどで読書体験を共有し合う」って書いてある。意味が分かった。
 英仁さん スゴイね。
 友啓君 「レコード」って何だろう。「記録。特に競技成績の記録…」
 英仁さん さっきのように前の文章を読んでごらん。
 友啓君 「音楽業界」か。じゃあ「音声を記録したもの」だね。「シフト」は「移動、移行、転換…」か。記事には「レコードからCD、そしてネット配信へとシフトした」とあるから「移りゆくこと」だ。これは「移行」だね。
 英仁さん 学習が深まっていくのが分かる。頼もしいな。
 友啓君 言葉の意味を追究するのが楽しかったよ。

 使用したワークシート「外来語調べ」はこちらからダウンロードできます。

 「遊びながら学ぼ」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」ページで連載します。

[実践 わたしの活用術](5)記事・映像から被災地を考える(小学4年・道徳)

支え合いの心引き出す 「助けたい」発言次々

記事・映像から被災地を考える

浜川小学校 安里真一先生

対象 小学4年生
教科 道徳
指導時間 1時間

【授業の様子】
 東日本大震災を通じて周りの人を大切にすることを学ぼうと安里真一先生は、3日付本紙子ども新聞ワラビーの記事を取り上げた。
  冒頭、テレビ画面に映し出されたのは2年前の東日本大震災の様子だった。地面が揺れ動き、津波が街をのみ込む映像に教室は静まり返った。「うわー…」「あーっ」。子どもたちが悲しげな声を漏らす。
 福島で子どもの支援にあたる女性2人のインタビューを読み上げ「子どもを助ける理由は何だろう」「見習いたいのはどんなところ?」と問いかける。
 「また死なせたくないから」「大切だから」「未来で活躍してほしいから」「進んで人を助ける」「だれかのために一生懸命」。家を失い、原発事故の影響に苦しむ子どもたちを助ける2人の気持ちを思いやる声が上がった。
 「まだ、こんなに苦しんでいる人(子ども)がいるんだと分かった」「募金とかやったけど、まだ足りないんだな」「できることは、何でもやってあげたい」。授業を終えた子どもたちが、次々と感想を口にする。被災地の人々の気持ちに寄り添うこともできたようだ。

【授業の手順】
(1)大震災の写真・映像を見せる
 最初は地震や津波の情報を出さず、2人の女性の写真を見せる。子どもたちの「何だろう」という気持ちを引き出す。東日本大震災の写真や映像を見せて、現地の苦しさを思い出してもらう。
(2)記事を読み上げる
 記事を読み上げる。大事だと思うところに、蛍光ペンなどで印を付けさせる。
(3)内容を読み解く
 「2人が悩んでいること、不安に思っていること」「子どもたちのために頑張っていること」を考えさせた上で発言させる。
(4)思いやりに気づく
 2人が被災地で子どもを助けている理由、見習いたい点を発言させる。

 

【ねらいとポイント】

浜川小学校 安里真一先生

■ねらい
 思いやりが欠けていたため児童の間でトラブルが起こることがたまにあります。そこで「他人のために何かをする」という気持ちを考え、人が支え合う大切さを伝えたいと考えました。
 学校生活は、部活のコーチや学習ボランティアなど多くの大人に支えられています。大人が子どものために何をしているか、事例を示すと分かりやすいと思いました。
 被災地で子どもを支援している2人の気持ちを読み解きながら、児童から思いやりの気持ちを引き出そうと取り組みました。
■ポイント
 大人の活動を読み取って、自分にあてはめることができるか。45分間の短い時間で、ボランティアの気持ちに迫れるかが大切です。子どもたちに興味を持たせ、子どもの心を引き出すような発問をするように心がけました。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

NIE普及へ連携確認 県推進協と県教育長

大城浩県教育長(左)に協力の礼を述べる山内彰県NIE推進協議会長(右から3人目)ら=20日、県庁

 沖縄県NIE推進協議会の山内彰会長らは20日、県庁に大城浩県教育長を訪ね、教員研修にNIEを組み込むなど教育行政の取り組みに礼を述べ、さらなる連携強化を求めた。
 2012年度は県立総合教育センターの研修にNIEが取り入れられたり、7月の全国大会に県教育委員会の職員が初めて参加するなど行政の取り組みが広がった。山内会長は「教育長のリーダーシップで行政の取り組みが形になって表れた」と感謝した。
 大城教育長は「言語活動の充実が指導要領にうたわれた。新聞はクリティカルシンキング(批判的思考)に絶好の素材。これからも連携を深めたい」と話した。
 推進協議会と日本新聞協会から(1)教員向け研修プログラムへの新聞教育導入(2)新聞教育活動・研究会の公務扱いと参加促進(3)学校図書館への新聞配備の促進-などを求める要請書も手渡した。