[実践 わたしの活用術](2)プロの助言から表現法学ぶ(小学4年・国語)

「伝わる写真」撮ろう 教員と講師 役割分担

プロの助言から表現法学ぶ

コザ小学校 知念正次先生

対象 小学4年生
教科 国語
指導時間 1時間

【授業の様子】

 折り紙を折る子に数人がカメラを向ける。クラスメートを「仕事中の職人さん」に見立てた撮影会だ。
 「どっちから撮ろうかな」「先生、こんな感じでいい?」。被写体の周りを動いてどの角度から撮ればいいのか工夫をする子も、話しかけながら撮影する子も。報道カメラマンの助言をもとに、4年2組の子どもたちは楽しそうにシャッターを切った。働いている人を紹介するリーフレット作りの一環で本紙のカメラマン、下地広也記者を講師に招いた。教員と講師側が前もって打ち合わせをし、授業の流れをつくり上げた。
 下地記者は、作例を示しながら撮影法について助言。「撮る前に、ちゃんとあいさつをしてください」と心構えについても話した。
 光村図書の教科書の単元「アップとルーズで伝える」に合わせた取り組み。前日までに子どもが撮影しておいた教室の風景を鑑賞することから始めた。
 「アップだと字を書いている様子が分かる」「(被写体の周囲も含めて写す)ルーズだと広い範囲の様子が分かるけど、みんなの顔は見えない」。子どもたちは次々と発言していた。

【授業の手順】

(1)目当てを確認する
 「説明のための写真の撮り方を考えよう」という目当てを確認。「アップとルーズで伝える」の項目で学んだことを振り返る。
(2)写真を鑑賞する
 前もって子どもが撮影した授業風景の写真を並べ、撮影者に意図を聞く。他の子どもの意見も聞く。
(3)カメラマンの話を聞く
 子どもの作品の批評や作例を提示してもらい撮影の方法、心構えなどについて聞く。
(4)撮影会
 助言をもとに撮影会を行う。3人を「仕事中の職人さん」に見立てて撮影する。
(5)学習を振り返る
 撮影する際に気をつけることをワークシートに記入させる。

【ねらいとポイント】

コザ小学校 知念正次先生

■ねらい
 リーフレット作りは、話を引き出す力や文章力のほかに、写真で状況を説明する表現力が求められます。
 取材に先立ち、報道カメラマンの話を聞くことで単元にNIEの性格も持たせました。写真の撮り方だけでなく人との接し方も助言してもらいました。仕事の内容を話してもらいキャリア教育にも役立てました。
 プロの話で子どもから興味や関心を引き出すことができました。全員が写真を撮りたいと希望したため、新たに撮影の時間を設けたほどです。

■ポイント
 あらかじめ撮っておいた写真について、撮影した子と鑑賞した子に発言させ、撮影する意図を共有することが大事です。授業に入る前に外部講師側と話し合うことが必要です。こちらの狙いを伝えた上で授業の内容をつくっていきました。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

中原小学校公開授業の指導案

 11月3日に行われたうるま市立中原小学校のNIE公開授業の指導案(PDFファイル)を掲載します。
・1年生 国語「あそびにいこうよ『あきのあそび』」
・2年生 国語「かたかなの広場(2)」
・3年生 総合的な学習「新聞からうるま市をみつけよう」
・4年生 特別活動「新聞の見出しですごろくづくり」
・5年生 国語「季節の言葉 秋の空」
・5年生 社会「くらしを支える情報」
・6年生 総合的な学習「平和について考えよう」
・特別支援 国語「4コマ漫画のお話について考えよう」
・特別支援 国語「絵を見てお話や吹き出しを考えよう」

見出しすごろく遊んだ学んだ  「明るいニュースは『進む』」 中原小でNIE実践フォーラム

新聞の見出しを切り貼りしたすごろくで時事を学ぶ中原小4年1組の児童=3日、うるま市中原小学校

 新聞を教育に活用する方法を紹介する第6回県NIE実践フォーラム(主催・県NIE推進協議会)が3日、うるま市立中原小学校(安里禮子校長)で開かれた。教師や保護者ら多数が参加し、学校現場での取り組みなどを見学した。
 特別支援学級を含めた各学年全クラスに分かれて行われた公開授業では、紙面からカタカナ語を見つけたり、地域のニュースを探すなど、児童らは新聞を教材に使って生き生きと学習に取り組んだ。
 分科会ではNIEアドバイザーの兼松力教諭(大里中)、甲斐崇教諭(浜川小)、佐久間洋教諭(伊平屋小)を講師に、教師や保護者らが新聞の持つ多様性などを学んだ。
 4年生は公開授業で、新聞の見出しを使ったすごろく作りに挑戦した。3日の紙面から「沖尚ナイン堂々凱旋」「オスプレイ飛行」などの記事を選んで紙に貼り、「明るいニュースは『進む』」「暗いニュースは『1回休み』」などのルールを決めながら、手作りのすごろくを完成させた。
 4年1組のクラスでは、「このニュースの方が大きい」「なるべく明るい話題をたくさん使いたいな」などの意見を出し合いながら和気あいあいと作業を進めた。仲松凜君(9)は早速すごろくゲームをした後「グループで話し合って、いい見出しを選ぶことができたのでよかった」と満足そうな表情だった。
 兼松教諭は分科会で、保護者に向けて新聞記事のスクラップの方法を指導。「家族それぞれが気に入った記事を探し、話し合うことでコミュニケーションが広がっていく」と効果を説明した。
 県NIE推進協議会の山内彰会長は「(NIEの)意義を共感できてうれしい。子どもたちのバイタリティーを引き出す一つの方法として、NIEに取り組んでもらえたら。絶対に自信につながる」と話していた。

伊良波っ子“夢”集め

児童が選んだ「夢をかなえた人」の新聞記事をバックに経験を話す金城健さん(奥)=豊見城市立伊良波小学校

 豊見城市立伊良波小学校(神村逸子校長)で10月26日、新聞記事から仕事に打ち込む人や夢をかなえた人に関する記事を集め、職業観を磨く4年生の授業があった。ゲストに沖縄科学技術大学院大学準研究員の金城健さん(26)を招き、夢をかなえるまでの体験も聞いた。
 総合学習の教育課程研究集会の公開授業として行った。それまでの授業で記事を集めて新聞を作成。この日の授業ではグループごとに記事を紹介し、自分の夢と重ね合わせて発表した。
 長く現役で活躍するFC琉球の永井秀樹選手の記事を選び「僕も長く活躍できるプロ野球選手になりたい」と発表する男子児童やシェフを紹介したワラビーの連載記事から「私も修行してシェフになりたい」と話す女子児童もいた。
 ロボットのプログラムを研究する金城さんは「誰かのことを思って行動するロボットがいたら面白い」と高校生のころに研究の道を志した。苦手だった英語も「好きな研究のためなら話せるようになる」と語った。

[実践わたしの活用術](1)新聞記事から四季を感じる(小学1年・生活)

 

沖縄の「秋」見つけた 季節感学び感性豊かに

新聞記事から四季を感じる

中原小学校 宜保まきえ先生

対象 小学1年生
教科 生活
指導時間 1時間

【授業の様子】
 「食欲の~」「あきーぃ!」「スポーツの~」「あきーぃ!」。宜保まきえ先生の問いかけに答える子どもたちの声が響く。新聞から秋の風物を感じさせる写真探しに取り組む子どもたちの姿があった。
 春は「暖かい」。夏は「暑い」。秋は「涼しい」。冬は「寒い」。漢字の筆順を確かめながら四季の特徴を書き出していく。子どもは問いかけに答えながらあらためて季節感を学んでいく。この日までに子どもたちは「秋らしいもの」を探す課題を与えられていた。仲里朝陽君(7)が選んだのは落ち葉だった。「落ち葉が茶色くなってきた」と胸を張って答えた。
 子どもたちが、2人に1部ずつ配られた新聞をめくっていく。「秋の字、見つけた!」「秋じゃない。『私』だよ」。あちこちで広がる笑顔。隣の席の子と話し合いながら「秋」を探そうと懸命だ。
 発表の段階になると次々と手が挙がり、全員が発表することができずチャイムがなった。「先生、この新聞持って帰っていい?」。お気に入りの写真をたくさん見つけたのだろう。多くの子が笑顔で宜保先生に話しかけてきた。

【授業の手順】
(1)秋の風物を確認する
 子どもに発言を促しながら、秋の風物を思い出させる。
(2)目当てを確認する
 新聞から秋の写真を見つけて紹介することを確認する。
(3)切り抜きを例示
 選んでおいた記事・写真の切り抜きをプロジェクターに映し子どもに紹介する。
(4)新聞から写真を探す
 新聞を2人に1部ずつ配る。それぞれ写真を選ばせる。写真を切り抜いたらワークシートに貼り、コメントを書き込ませる。活動時間は25分。
(5)発表させる
 ワークシートを掲示し、一人一人にコメントを発表させる。自然、行事、食べ物などに分類できることを伝え、秋の風物を知ってもらう。できれば貼った作品を分類する。

【ねらいとポイント】

中原小学校 宜保まきえ先生

■ねらい
 「沖縄に秋はない」と言う子もいますが、新聞を広げてみると、秋の風物をたくさん見つけることができます。子どもたちに季節感を知ってもらい、感性を豊かに育てたいと考えています。夏、冬、春も同じように取り組めます。
 話し合いながら記事を選んだり、選んだ記事を文章や発表の形で紹介させることで、言語活動の充実を目指しました。
 11月3日のフォーラムではこの授業を基に、秋をテーマにしたスクラップ新聞を作ります。
■ポイント
 季節感を知ってもらうために「寒い」「涼しい」の違いなどを考えさせます。前もって地域や学校の行事などを、本や図鑑、保護者のアドバイスなどから調べさせて、授業につなげました。
 新聞を2人で1部としたのは、話し合いながら写真を探してもらいたかったからです。机の間を回りながら「なぜこれを選んだの?」と問いかけたり、ヒントを与えるなど子どもと話し合うことを心掛けています。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

新聞づくり 活発議論 五輪記事を再構成 越来小学校 

 沖縄市立越来小学校(久場明子校長)で16日、新聞記事を切り貼りして再構成する切り抜き新聞づくりの授業があった。NIEアドバイザーの甲斐崇浜川小教諭が招かれ、5年生に指導した。3人グループで1作品を作成する形式。甲斐教諭は「こうすればもっと(テーマが)伝わると意見を言い合って『もめる』ことが大事」と新聞づくりを通して議論する大切さを説いた。  

切り抜き新聞づくりの授業で甲斐崇教諭(右から2人目)の助言を聞く越来小の児童たち=沖縄市越来

 ロンドン五輪の記事を集め、グループごとに「感動」「喜び」などキーワードを決めて記事を配置したり、見出しを付けたりした。「内村選手が1枚もないのはおかしいよ」などと記事・写真の選択や配置で活発な意見が飛び交った。
 越来小の福地正雄教諭は「レイアウトについて話し合っている姿に驚いた」と、身近に感じた記事を再構成する取り組みが活発な意見を引き出す様子に感心した。
 「歓喜の瞬間」の見出しで喜ぶ写真などを早々と配置した小浜俊君と親川裕也君は「難しいと思ったけど、やってみたら簡単だった」と得意げに話していた。

久辺小6年生の新聞が届きました

 先日授業に記者を呼んでいただいた名護市立久辺小学校から「新聞ができました」と連絡がありました。
 授業では新聞の見出しの役割として(1)内容が短い言葉で伝わるようにまとめる(2)文字の大きさでニュースの大きさを表す--という点を伝えました。
 6年生がつくった新聞は校内の平和学習で聞いた講演や、キャリア教育の一環として行った企業見学などが題材。一人が見出し、本文、写真で1セットにした記事をまとめ、5人ほどで合体させてグループごとの新聞にしました。
 学習の成果を新聞にするという取り組みを前にして、読者に伝えるという新聞の原点に立ち返って身が引き締まる思いでした。