[NIE・実践しんぶん活用](10)宜野湾小学校・佐久間洋先生 家族と意見交換をしよう 自分の考えを深める 関心広げる手助けに

対象 小学校5年~
教科 国語・総合学習
指導時間 2時間

【ねらい】

家庭の教育に新聞を活用するファミリーフォーカスの取り組みです。話し合い活動を通して言語活動の能力を高めるのが狙いです。
あらかじめ家庭でスクラップをつくり 、記事を通して意見交換してもらいます。児童と 保護者がそれぞれの考えを聞くことができるので、家庭のコミュニケーションを深める機会にもなります。
児童だけで選ぶとスポーツ記事を切り抜くことが多いですが、保護者が記事を選ぶ作業を手伝うことで、子どもの関心を広げることができます。

【ポイント】

必ず保護者に関わってもらうよう、1時間目で指導します。前もって保護者に通知するのも大事です。家庭で取り組むよう課題を与えてから、授業を行うまで1週間くらいの期間を持ちました。
月に1度くらいのペースなら保護者も取り組みやすいと思います。
グループでの話し合い活動では、全員が発言できるように指導してください。机の間を積極的に回って助言し、議論を促すようにします。深みのある話し合いをしているグループがあれば、その都度、紹介してあげてください。
全体の意見発表では代表を2人にして内容説明と意見・感想の発表を分担させてもいいでしょう。

 

【実践を終えて】

児童からは「親と話すことができてうれしかった」。保護者からは「子の成長が実感できた」「子どもの視点が分かった」などの声が寄せられました。

授業の手順

〈1時間目〉

(1)手順を説明する
保護者と一緒に新聞をめくって記事を選ぶこと、自分の意見、保護者の意見、さらに自分の感想を書くことを説明する。
〈2時間目〉
(1)グループ内で紹介
4~5人グループになって、全員が自分の選んだ記事を紹介し、自分の意見を述べる。
(2)グループで意見交換
どの記事をテーマに話し合い活動をするか選ぶ。その記事に対する感想を述べ合い意見をまとめる。

 

(3)全体で発表

グループの代表が、記事の内容説明と、まとめた意見・感想を発表する。
新聞記事のスクラップ(左)と児童 と保護者がそれぞれの意見を書き込んだワークシート

[NIE・実践しんぶん活用](9)越来小学校・古波津聡先生 米須奈々先生 スクラップ新聞を作ろう 情報を分類し理解する 好みのテーマで再構成

対象 小学校5年~
教科 総合学習
指導時間 5時間

【ねらい】

スクラップ新聞を作ることで、情報を(1)選ぶ(2)比較する(3)分類する(4)再構成する―などの力をつけます。本年度、取り組んできたNIEの授業のまとめと位置付けました。

【ポイント】

NIEの授業は、写真を切り抜いて感想を書かせることから始めました。児童は、それぞれが切り抜いた記事をストックするようになっています。
新聞は古くても構いません。足りなければ、家庭から持ち寄ってもらうなどして集めておき、購読していない家庭の子に提供しました。
作品作りは、2校時連続で作業させたのでスムーズに運びました。授業の冒頭で、その日の作業の目当てを確認します。視野を広げてもらうため、スポーツ記事は対象外としました。感想を100字程度に絞れば、書きやすくなります。児童の個性を生かしたかったので、助言は最低限にとどめることを心掛けました。
今回は、記事のレイアウトを再構成したり、色画用紙を使うなど作品の見栄えも重視しました。

【実践を終えて】

同じ題材の記事でも、新聞社によって書き方や扱いが違うことに気付いた生徒もいました。自分なりの意見を持つためのステップになったと思います。友達の興味・関心を知る機会にもなりました。

授業の手順

〈1・2時間目〉

(1)テーマを決める
これまでに集めた記事の切り抜きから、テーマを一つ決めて集める。

(2)レイアウトする
記事を色画用紙に貼り付ける。記事のレイアウトが四角形になっていなければ、貼りやすくするために記事の形を整えて貼り付ける。記事を貼った色画用紙を台紙に貼り付け、レイアウトする。

〈3・4時間目〉

(1)感想を書く
選んだ記事を読み込んで要約と感想を書く。

(2)完成させる
作品を飾り付けて完成させる。

〈5時間目〉

(1)発表会
全体で発表を行う。テーマを決めた理由、作品のトップに配置した記事について、それを選んだ理由を述べ、最後に感想を述べる。

[NIE・実践しんぶん活用](8)小禄南小学校・村吉博勝先生 チラシから「割合」探ろう 算数と生活をつなぐ 値と意味を読み取る

対象 小学校5年
教科 算数
指導時間 1時間

【ねらい】

新聞やチラシから「割合」にかんする言葉を見つけ出し、その意味と値について考えてもらいます。算数の学習が何の役に立つのか、児童はあまり意識していません。「3割引」「10%オフ」など、割合の表示を読み取る授業を通じて学習したことが実生活で活用できることを知ってもらいたいと思います。

【ポイント】

 

児童に前もって割合が記された記事やチラシを切り抜いておいてもらいます。家庭で新聞をとっていない生徒には、先生が渡してあげてください。古い新聞・チラシでもかまいません。
割引後の値段が載っているものを選ばないようチェックが必要です。
台紙に分かったことなどを書き込ませるときには、積極的に机の間を歩いて支援してください。
全体の場での発表の際、一人でみんなの前に立つと、うまく話せない児童もいます。でもペアを組んでいる子に手伝ってもらうとうまくいく場合があります。授業を通じて分かったことを、自分の言葉で友達に伝えることを大事にしたいと思います。

 

 

【実践を終えて】

チラシなどを切り抜いて台紙に貼り、割引後の値段がどれくらいか計算する5年生=小禄南小学校

ドーナツの割引を例に「136円が20%オフなら109円になる。でも一律100円のときに買った方が安い」などの発表がありました。
多くの児童が楽しんで取り組んでいました。「算数が役に立つところがある」という感想が寄せられています。

授業の手順

(1)「割合」を探す
チラシや記事から「割合」にかんする言葉を2種類探し、切り抜いて台紙に貼る。「5%」「10%オフ」「3割引き」など違う種類の言葉を選んでもらう。

(2)いくらになるのか計算
元の値段と割引率を使って、いくらになるのか計算させる。関係図、線分図を利用し計算方法を考えさせる。状況に応じて電卓を使わせてもいい。

(3)分かったことを書く
「定価○円の品が□%引きなので、値段は△円になる」「税込み105円のお菓子の税抜き価格は○円」「消費税が10%に上がると現在○円のお菓子は△円」など分かったことを文章化して書き込む。

(4)発表する
学んだことを隣の子に発表させる。次に全体で発表させる。

[NIE・実践しんぶん活用](7)北中城小学校・甲斐崇先生 記事を友達に紹介しよう スクラップを作る 「自分の意見」育てる

 

 

 

 

 

 

 

対象 小学校2年~ 教科

 国語・総合学習・生活科

 指導時間 1~2時間

【ねらい】

 新聞スクラップを通じて、ニュースに対して自分の考えを持つ力を養います。簡単に新聞の仕組みを説明します。低学年は新聞に慣れ親しむことも目的ですので2時間費やします。最後までページをめくることで「いろいろな情報が載っている」ことを学びます。

【ポイント】

 配る新聞は、古いものでもかまいません。足りなければ家庭から持ってきてもらいましょう。気になる記事や写真を選んでもらいます。広告などはなるべく選ばせないようにします。 低学年では内容を正確に把握するのは難しいかもしれません。見出しや写真を手がかりにして、大まかに理解できれば十分です。感想(思ったこと)から、意見(私はこうしたい)まで考えを深めさせたいと思います。これらは先生が書き方のお手本を示してください。児童が台紙に書き込む前に、付箋(ふせん)紙に下書きをさせてもいいですね。

【実践を終えて】

 児童は懸命に新聞をめくっていました。「難しいけど、いろいろ教えてもらって楽しかった」という声がありました。

授業の手順

(1時間目)

 (1)目当てを確認する 全員に新聞を1部ずつ配る。「お友達に選んだ記事を紹介しよう」と全体で確認する。

(2)新聞の仕組みを説明 「題字」「1面」「日付」「見出し」「写真」「本文」などは児童に問いかけながら説明する。

(3)新聞をめくる 5~10分程度で全ページの見出しや写真をチェックさせる。

(4)記事を選び切り抜く 気になった記事を選ばせて、切り抜いて台紙に貼ってもらう。

(2時間目)

 (1)記事を読む 目当てを確認して、台紙に貼った記事を読んでもらう。

 (2)選んだ理由を書く 書き方を例示し、選んだ理由を考え台紙に記入させる。

(3)友達に紹介する 机を向かい合わせて記事を紹介しながら選んだ理由を伝えさせる。できれば意見交換させる。数人の子に発表させるとなおいい。 ワークシートは下記からダウンロードできます。 スクラップ低学年用 スクラップ高学年用

[NIE・実践しんぶん活用](6)越来小学校・兼本聖子先生 八重尾サチ子先生 この写真、どう伝える? 様子を表す表現学ぶ 言葉探し みんなで文に

対象 小学校2年
教科 国語
指導時間 1時間

【ねらい】

 児童にとって親しみやすい写真を使います。擬態語・擬声語・比喩表現といった「様子を表す言葉」を理解させます。日記や作文、詩など文章を作る力を身につけてほしいと思います。児童同士で話し合うことでコミュニケーションに必要な表現力も育てます。

【ポイント】

 これまでの授業で写真や、音を消した動画(雨・火事)などを使い、様子を表す言葉について学んできました。
 今回は、クリスマスが迫りクリスマスツリーなどの電飾が話題になっており、興味を引くかと思い、新聞に掲載されていた中国上海の夜景の写真を大きく扱った記事を選びました。
 短文を作る前に付せん紙に書き込んでもらうのは、写真の中の言葉で表す対象となる部分に、貼れるからです。
 短文の内容をグループで確認する際、3人一組として一人に司会役を担わせます。二人だと意見の強い人に引きずられ、4、5人だと話し合いに加わらない児童が出てくるためです。
 完成した短文を短冊に書き込んだあとは「主語」に赤、「述語」に青、「様子を表す言葉」に黄色で傍線を引き、言葉の役割について色で印象付けることを狙いました。

【実践を終えて】

 大部分が授業を楽しみました。文を書くことを苦手にしていた児童が、短文を書くことができました。家庭での復習に取り組んでくれた児童が半数に上ったことが、うれしかったです。

授業の手順

(1)めあてを確認する

 擬音語・擬態語・比喩表現を例示したあと「様子を表す言葉を見つけて文を作ろう」というめあてを確認する。

(2)ワークシートを配る

 題材に選んだ写真が掲載されている紙面を紹介する。写真を貼ったワークシートを配る。

(3)言葉を考えさせる

 写真から思い浮かべた様子を表す言葉を付せん紙に書き込ませる。

(4)文章をつくる

 集めた言葉を使って短文をつくる。主語・様子を表す言葉・述語が入っているか確認させる。グループ内でも確認させる。

(5)短冊に書いて黒板へ

 短文を短冊に書いて黒板に掲示し発表会を行う。挙手させ他の児童の短文でいいと思ったところと、その理由を述べさせる。

 

 

 

 

[NIE・実践しんぶん活用](5)北中城小学校 甲斐崇先生 知らない言葉調べよう 新聞に慣れ親しむ 意味を読み解く力に

対象 小学校3年~
教科 国語・総合的な学習
指導時間 1時間

 

 

 

 

【ねらい】

「写真の人 何て言ってる?」「記事がバラバラ! 助けて」(11月1日付NIE特集)に続いて、新聞に慣れ親しむ取り組みです。「分からないことがあれば調べる」という習慣をつけると同時に、文脈から意味を推測して読み進める力をつけてもらいたいと思います。一人で新聞を読めるようになるきっかけづくりです。スクラップや意見発表などの実践へつなげます。

【ポイント】

あらかじめ台紙に新聞を貼り付けておきます。全員が同じ記事で学習するので印刷しておくと便利です。コメントを書き込む余白ができるよう30行程度の記事を選んでください。台紙には、新聞の名前、日付、ページ名を書き込ませてください。
ワラビーなどの子ども新聞を使えば低学年も活用できます。
記事の内容を把握させることが大事なので言葉の意味を調べさせることを優先しましょう。習っていない漢字の読み仮名を調べるのに時間がかかってしまうのなら、先生が教えてあげてもいいと思います。前もって読み仮名を書き込んでおくのも一つの方法です。
例に挙げた記事中の「NPO」「抱卵」「環境省」などのように、新聞記事には小学生用の辞典に取り上げられていない言葉が使われています。見出しの言葉遣いにも特色があります。子どもたちとやりとりをする中で意味を考えさせて、必要なら先生が教えてあげてください。

【実践を終えて】

子どもたちは「意味が分かるようになると新聞の内容がたくさん分かるようになった」「辞典や人の意見を聞いたら分かった」と感想を寄せています。

授業の手順

(1)台紙を生徒に配る

あらかじめ切り抜いた記事を貼った台紙を生徒に配る。

(2)記事を読ませる

5分間くらい記事を読ませる。意味が分からなかったり、読めなかったりする漢字や言葉を国語辞典や漢字辞典で調べさせる。

(3)意味を書き出す

余白に吹き出しをつけて、その中に調べた言葉の意味を書き込ませる。辞典にない言葉については、ヒントを与えながら全体で確認し、意味を書き込ませる。

(4)記事の内容を確認

全体に問い掛けて記事の内容を確認する。挙手させて発表させてもいい。最後に学んだことを台紙に書き込ませる。

[NIE・実践しんぶん活用](4)小禄南小学校 上原久仁子先生 習った漢字がいっぱい 漢字へ興味・関心高める 活字拾って熟語作る

 

対象 小学4年生
教科 国語
指導時間 1時間

【ねらい】

新聞は大人が読むものと思っている児童たちに、開いてみれば「習った漢字がたくさんあるんだ」ということを分かってもらいます。学習したことが、実社会で生きて使われていることを実感すれば、漢字を学ぶことへの大きな動機づけになると考えています。
切り抜いた活字を組み合わせて言葉を作る作業を通じて、熟語の定義を楽しみながら習得させます。

【ポイント】

気軽に読めて、切り抜きやすい「見出し」を対象にしました。
あらかじめ宿題を出し、新聞の見出しを一文字ごとに切り抜き、集めてきてもらいます。授業に先立って、朝の活動の時間などにグループで一つの台紙に切り抜いた文字を貼ってもらう作業を行えば予行演習になります。
授業で使った台紙を、もう一度利用して熟語を書き加えてもらう作業をさせたり、熟語を書き込んだ後で似た意味、反対の意味の熟語を探してもらうと学習効果を高めることができると思います。
漢字辞典・国語辞典を自由に使わせることで、日ごろから積極的に使うきっかけになるかもしれません。

【実践を終えて】

グループ内で協力して楽しく学習することで、熟語作りへの意欲が高まりました。

授業の手順

(1)台紙に漢字を貼る

見出しを一文字単位で切り取っておき、4、5人のグループで一つの台紙に貼り付けていく。

(2)熟語の定義を伝える

「熟語は二つ以上の漢字が結び付いてできた言葉」と伝え、熟語を作ろうと呼び掛ける。

(3)必要に応じ辞書を使う

熟語が思い浮かばなければ、漢字辞典で用法を調べさせる。漢字を組み合わせたら、国語辞典で正しいかどうか調べさせる。

(4)台紙に熟語を書き込む

正しい熟語ができあがったことを確認したら、ワークシートに書き込ませる。

(5)感想を書く・発表する

「振り返りカード」に感想を記入、発表させる。新聞を活用することで楽しく学習できたことを共有し、家庭でも同じように取り組むように勧める。