新聞読むこつ学んだよ 嘉手納小で教師向けワークショップ

 新聞を教育に活用するNIEの出前講座が19日、嘉手納町立嘉手納小学校(新垣聡子校長)で開かれた。沖縄タイムス社会部の具志堅学記者が見出しの役割や新聞を読むこつなどを話し、授業に生かせるワークショップを紹介した。

新聞記事を題材に意見交換する教員=嘉手納町立嘉手納小学校

 同校は全学年で説明文を書く力を付けることをテーマに掲げている。ワークショップでは「いつ」「どこで」など文章の骨組みを学ぶのに適した記事を探した。「○○と思った写真」という課題で写真を選ぶワークショップでは、教師自身が楽しみ「授業で使えそう」との声も上がった。新垣校長は「記事を選んだら、ほかの先生に話したくなった。子どもたちも同じだろう。今後の授業に新聞を活用していきたい」と話した。

 

【追加情報】
 講座で使ったワークシート「いつ、どこで…を探そう」「私が…と思った写真

授業で新聞活用 先生も学ぶ うるま市中原小

NIEをテーマにした校内研で、教員らは切り抜き新聞をつくる実践を行った=うるま市立中原小学校

 新聞を教育に活用するNIEをテーマに、うるま市立中原小学校(安里禮子校長)が10日、教員らを対象にした校内研修を開いた。講師を務めたNIEアドバイザーの兼松力・大里中教諭は「新聞を論理的な能力を身に付ける道具として使って」と話し、実践例を紹介した。
 兼松教諭は新聞の活用法について、新聞記事の内容そのものを教材として使う「内容論」から、新聞ですごろくを作るなど道具として使う「方法論」が主流になり、より気軽に授業に取り入れられるようになった現状を説明した。
 ワークショップでは、グループで切り抜いた記事に順位を付け、新聞1ページ大の紙に、実際の新聞のようにレイアウトしてスクラップ新聞を作り上げた。
 兼松教諭は、作業の中で児童が話し合うことを重視するよう助言。新聞を使い「言語活動を充実させることが大事」と強調した。

新聞活用 行政も本腰 関心高まる現場に活気

 新聞を教育に活用するNIEに、県教育庁も本腰を入れ始めた。所管する県総合教育センターで教員向けの研修講座を実施し、NIE全国大会にも教育庁職員2人を派遣。どちらも初めての取り組みだ。一方、現場では、この夏休みに小中高合わせて15校がNIEアドバイザーや新聞記者を講師に招き校内で研修している。関心が高まる現場を行政が後押しする格好で、今後、NIE活動に弾みがつきそうだ。(具志堅学)

NIEアドバイザーの佐久間洋・伊平屋小教諭(右から4人目)の指導で新聞を活用した実践に取り組む小学校の教員=7月27日、沖縄市与儀の県立総合教育センター

 県教育庁の総合教育センターは7月末に小学校、8月初めに中学・高校の教員向けの講習会を開いた。それぞれ40人、24人が参加した。新聞記事に見出しを付けたり、切り離した記事を再構成する作業などを実践し、言語活動を重視するNIEの実践を体感。記事をもとに、にぎやかに意見交換する場面もあった。
 参加者から「子どもに新聞に親しんでもらう方法が分かった」「楽しんで取り組むことができた」などの意見が寄せられた。
 福井県で7月に開かれたNIE全国大会には最多の1780人が参加した。学校教育課の真栄田義光指導主事は「生徒の思考力・判断力を育むために新聞をうまく使っている。高校現場で取り組んできたことの教育効果も確認できた」と評価。生涯学習振興課は田畑武正班長を派遣し、ともに全国レベルの盛り上がりを体感したようだった。
 中頭教育事務所は来年度、採用10年目の教員研修に取り入れたい考えで対象は70~80人を想定。学校現場に指導・助言する指導主事の研修に取り入れることも検討している。北谷町教委も研修を検討している。
 一方、現場の取り組みも広がりを見せている。NIEアドバイザーは10校、本紙記者は5校の校内研にそれぞれ招かれた。本紙読者局・販売店が進める新聞スクラップ教室の参加者は、親子合わせて千人近くに上った。
 大城浩教育長は、高校の教員として新聞を活用してきた自身の体験を踏まえ「子どもの社会性・感性を育むための最良の教材。学校・家庭・地域と連携して協力に取り組みたい」と新聞活用の効果を重視する。
 行政主導で進められてきた全国と異なり、沖縄ではこれまで、教員が先行して取り組み、それに新聞社が協力する形だった。それだけに県教育庁などの動きは現場に活気を与えそうだ。

石嶺小でNIE研修 本紙記者 教員に実践例紹介

NIEのワークショップで気になった記事を紹介しながら意見交換する教員=那覇市立石嶺小学校

 新聞を教育現場で活用するNIEの校内研修が24日、那覇市立石嶺小学校(平良瑞枝校長)であった。講師として招かれた本紙社会部の具志堅学記者が実践例を紹介し「写真や漫画を使った簡単な取り組みから始めて、子どもが新聞に親しめるようにしてほしい」と話した。

 研修には教員20人が参加した。具志堅記者は、新聞から人物の写真を切り抜き、その人物が考えていそうなことを吹き出しに書き込む実践や、気になった記事について意見交換をする実践をワークショップ形式で紹介。バラバラにした4こま漫画を正しく並べ替える授業例なども示した。

 新聞を通じて話し合い活動を重ねていくことで、子どもに読解力や表現力などを付けることが期待できるとして「興味・関心を広げ社会とつながるきっかけになる。継続的に取り組んでほしい」と話した。

NIE「継続が大切」  宜野湾小で教員研修

記事を読んで、自分なりにつけた見出しを発表し合う宜野湾小の教師たち=同校

 宜野湾市立宜野湾小学校で20日、新聞の活用方法を学ぶ校内研修が開かれた。参加した教員約30人に、NIEアドバイザーの佐久間洋教諭(伊平屋小)が、日ごろの実践を紹介。記事の要点をまとめたり、感想を発表したりといった取り組みを「続けることが大切。社会性が育つ」と呼び掛けた。
 佐久間教諭は、低学年と高学年に対する新聞の活用方法を説明。低学年の場合は好きな写真を選ばせ、コメントを考えてもらう方法が有効で「対話しながら取り組むと徐々に書く力が身に付く。楽しむこともできる」と語った。
 高学年対象の取り組みとして、記事の見出しをそれぞれに考えてもらうことも提案。効果的な言葉を考え、話し合うことに加え、自分の意見を発表することがポイント、と話した。
 実際に体験しながら、アイデアを練った1年生担任の大神田(おおかんだ)光代教諭は「子どもたちに記事を紹介すると、興味を示す。教師が続けることで、子どもも取り組むようになる」と実感した様子。5年生を受け持つ小浜司教諭は、日ごろのNIEに「保護者のコメント、意見も交えたりしながら、深めていきたい」と抱負を語った。

「見出しに多くの情報」兼松さんNIE指導  県立教育センターで

 新聞を使った授業作りの実践講座が8月3日、沖縄市与儀の県立総合教育センターで開かれた=写真。NIE公認アドバイザーで大里中教諭の兼松力さんが中高校の社会科教師24人を対象に新聞の読み方や使い方をアドバイスした。夏期短期研修講座の一環で、新聞を教育に活用する「NIE」活動を紹介する目的。
 兼松さんは新聞の利点として、紙面を開くことで多くのニュースに触れられる点や、容易に切り貼りできることなどを強調。「見出しを読むだけでも多くの情報に触れることができる。まず、新聞メディアを授業にどう取り込むかを考えてはどうか」と提案した。
 教師らはグループに分かれて記事を選び、バラバラになった三つの記事を再構築して紙に貼る作業に取り組んだ。
 余白を活用するなどの工夫をこらした美里工業高校の岸本拓馬教諭(27)は「実践方法は初めて知ることが多かったが、楽しんで取り組むことができた」と感想を話した。

「親しませること大事」佐久間教諭が助言 県立教育センターで研修

佐久間洋教諭の指導で新聞の活用法について学ぶ小学校の教員=沖縄市与儀の県立総合教育センター

 新聞を教育の現場で活用するNIEの研修会が27日、沖縄市の県立総合教育センターで行われた。講師を務めたNIEアドバイザーの佐久間洋教諭(伊平屋小)は「子どもが親しみやすい題材を扱った記事や写真、マンガなどを使って、新聞に親しませることから始めて」と助言した。
 同センター主催の短期研修講座の一環。小学校教員ら40人が参加した。新聞記事の切り抜きに見出しをつけるワークショップでは、アイドルグループAKB48の沖縄初公演が題材に。グループで話し合い完成させた見出しにはヒット曲「会いたかった」を取り入れた作品があり、拍手が起こる場面もあった。
 佐久間教諭は、正解を探すのではなく、見出しをまとめるまでの意見交換が大事だとして「表現することが苦手な子でも、教員が支援して意見を言ってもらい、それを話し合い活動で深めさせて」。NIEで読解力や社会性、表現力などを育てられると強調した。