NIE実践例 教員学ぶ 大里南小で30人研修

 日本新聞協会指定のNIE実践指定校、南城市立大里南小学校(宮城末義校長)で15日、県立教育センターから講師を招いたNIE研修があり、教員約30人が意義と実践例を学んだ。

選んだ記事について意見交換する教員ら=15日、南城市立大里南小学校

 NIEアドバイザーでもある甲斐崇研究主事が講師。好きな写真を選んで吹き出しにせりふを付ける実践で45分かかった経験を話し「写真を選ぶのに時間がかかる。たくさんの情報から選ぶことは実は難易度が高い。興味関心が薄い子には特に視点を持たせる言葉掛けが必要」と呼び掛けた。
 受講した教員からは「難しそうと思っていたが、早く子どもたちとやってみたいと思った」などの声が上がった。

テーマ別に記事再構成 切り抜き新聞で授業 読谷・古堅中

 読谷村立古堅中学校で29日、新聞記事をテーマごとに集めて再構成する切り抜き新聞の授業があった。社会科を受け持つ宮城美律教諭が夏休みに中頭教育事務所で行われた10年経験者研修で新聞活用を学び、現場で生かした。宮城教諭は「新聞を読んだことがない生徒が多かったが、取り組むと記事を読むこと自体が楽しそうだった」と半年間の取り組みを振り返った。

宮城美律教諭の助言を得ながら切り抜き新聞をつくる3年生=読谷村立古堅中学校

 3年3組の社会科公民の授業。5、6人のグループに分かれ、名護市長選挙の結果を報じた1月20日付の紙面を使い、グループに与えられた「喜」「怒」「哀」「楽」のテーマで記事を集め、訴えたいことを見出しにした。生徒たちは授業で学んだ地方自治と関連させて「地方の声形に」、「命が大事 市民喜ぶ」などとまとめて発表した。
 宮城教諭は月に1度、司法や自治など授業で学んだ事柄と関連する記事を生徒に探させ、意見を書く取り組みを続けている。その経験を土台に切り抜き新聞を3度作成した。宮城教諭は「月1度の取り組みで、なぜそう考えるかを書けるようになってきた。同じ日の紙面でも喜怒哀楽で選ぶと違った視点で読める」と新聞活用授業の手応えを話した。
 中頭教育事務所の10年研修は、日本新聞協会公認のNIEアドバイザー兼松力教諭、佐久間洋教諭の2人が講師を務めた。

[実践 わたしの活用術](14)記事を使って壁新聞(中学2年・社会)

テーマ設定 思考力養う 切り口分かるまで辛抱

記事を使って壁新聞

大里中学校 兼松力先生

対象 中学2年生
教科 社会
指導時間 5時間

【授業の様子】
 大里中の2年生が壁新聞のテーマ設定やレイアウトに取り組んでいた。兼松力先生に助言を求めたり、記事とにらめっこしながら仲間と話し合ったりするなどテーマを決めることに四苦八苦していた。
 男子二人組は米軍の新型輸送機オスプレイをテーマに選んだ。新聞2ページ分ほどの大きさの台紙には、社説やインタビューなどが並ぶ。「どこかにオスプレイ(そのものが中心になった)の記事が必要じゃないか」と兼松先生が言う。
 生徒は「オスプレイって(見出しに)大きく書かれている記事を探そう」「なるほど」と会話を交わし、記事のチェックを始めた。どのグループも活発に話し合いながら作業していた。
 同校には、沖縄戦体験を語る体験者と体験を受け継ごうとする子どもたちの取り組みを対比させたものや各地の綱引きを題材にした作品など壁新聞作りを通して地域を学んだ成果が張り出されている。

【授業の手順】
(1)夏休み 記事を集める
 興味を持った記事の切り抜きを30枚以上、集めてもらう。
(2)1時間目 記事の整理
 持ち寄った記事の数が同じくらいになるよう2、3人のグループを作る。ジャンルごとに分類させて壁新聞のテーマを考えさせる。
(3)2時間目 テーマ決め
 集めた記事を読ませてテーマを決める。
(4)3・4時間目 記事選び
 テーマに沿った記事を読み、どの記事を使うか考えさせる。記事の形を整えたり配置を考えたりする。
(5)5時間目 意見を書く
 記事の意見感想を書き込む。見栄えがよくなるように、色を付けたりする。
(6)放課後・家庭 仕上げ
 放課後や家庭学習の時間を使って仕上げさせる。

 

【ねらいとポイント】

大里中学校 兼松力先生

■ねらい
 「身近な地域の調査」の単元で壁新聞を作りました。新聞を素材に選んだのは、ある程度信頼できて使いやすいからです。
 記事を分類しテーマを設定することで、深い読解力や論理的思考力を養います。グループの作業でコミュニケーション力、協調性、責任感も求められるなど多角的な力を付けることができます。
■ポイント
 グループを3人までとしたのは、全員に役割を与えたいからです。テーマごとに記事を集めるだけではなく、そこから何を訴えるのか考えさせることが大切です。生徒なりの切り口を見つけるまで教員は辛抱強く見守る必要があります。難しそうなら少しずつヒントを与えます。

各地で行われた綱引きの話題を集めた作品

沖縄戦を語る体験者とそれを受け継ごうとする子どもの取り組みを対比させた作品

沖縄の伝統芸能に世界各地の人が取り組んでいる話題を集めた作品

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

[NIE・実践しんぶん活用](9)越来小学校・古波津聡先生 米須奈々先生 スクラップ新聞を作ろう 情報を分類し理解する 好みのテーマで再構成

対象 小学校5年~
教科 総合学習
指導時間 5時間

【ねらい】

スクラップ新聞を作ることで、情報を(1)選ぶ(2)比較する(3)分類する(4)再構成する―などの力をつけます。本年度、取り組んできたNIEの授業のまとめと位置付けました。

【ポイント】

NIEの授業は、写真を切り抜いて感想を書かせることから始めました。児童は、それぞれが切り抜いた記事をストックするようになっています。
新聞は古くても構いません。足りなければ、家庭から持ち寄ってもらうなどして集めておき、購読していない家庭の子に提供しました。
作品作りは、2校時連続で作業させたのでスムーズに運びました。授業の冒頭で、その日の作業の目当てを確認します。視野を広げてもらうため、スポーツ記事は対象外としました。感想を100字程度に絞れば、書きやすくなります。児童の個性を生かしたかったので、助言は最低限にとどめることを心掛けました。
今回は、記事のレイアウトを再構成したり、色画用紙を使うなど作品の見栄えも重視しました。

【実践を終えて】

同じ題材の記事でも、新聞社によって書き方や扱いが違うことに気付いた生徒もいました。自分なりの意見を持つためのステップになったと思います。友達の興味・関心を知る機会にもなりました。

授業の手順

〈1・2時間目〉

(1)テーマを決める
これまでに集めた記事の切り抜きから、テーマを一つ決めて集める。

(2)レイアウトする
記事を色画用紙に貼り付ける。記事のレイアウトが四角形になっていなければ、貼りやすくするために記事の形を整えて貼り付ける。記事を貼った色画用紙を台紙に貼り付け、レイアウトする。

〈3・4時間目〉

(1)感想を書く
選んだ記事を読み込んで要約と感想を書く。

(2)完成させる
作品を飾り付けて完成させる。

〈5時間目〉

(1)発表会
全体で発表を行う。テーマを決めた理由、作品のトップに配置した記事について、それを選んだ理由を述べ、最後に感想を述べる。

[NIE・実践しんぶん活用](7)北中城小学校・甲斐崇先生 記事を友達に紹介しよう スクラップを作る 「自分の意見」育てる

 

 

 

 

 

 

 

対象 小学校2年~ 教科

 国語・総合学習・生活科

 指導時間 1~2時間

【ねらい】

 新聞スクラップを通じて、ニュースに対して自分の考えを持つ力を養います。簡単に新聞の仕組みを説明します。低学年は新聞に慣れ親しむことも目的ですので2時間費やします。最後までページをめくることで「いろいろな情報が載っている」ことを学びます。

【ポイント】

 配る新聞は、古いものでもかまいません。足りなければ家庭から持ってきてもらいましょう。気になる記事や写真を選んでもらいます。広告などはなるべく選ばせないようにします。 低学年では内容を正確に把握するのは難しいかもしれません。見出しや写真を手がかりにして、大まかに理解できれば十分です。感想(思ったこと)から、意見(私はこうしたい)まで考えを深めさせたいと思います。これらは先生が書き方のお手本を示してください。児童が台紙に書き込む前に、付箋(ふせん)紙に下書きをさせてもいいですね。

【実践を終えて】

 児童は懸命に新聞をめくっていました。「難しいけど、いろいろ教えてもらって楽しかった」という声がありました。

授業の手順

(1時間目)

 (1)目当てを確認する 全員に新聞を1部ずつ配る。「お友達に選んだ記事を紹介しよう」と全体で確認する。

(2)新聞の仕組みを説明 「題字」「1面」「日付」「見出し」「写真」「本文」などは児童に問いかけながら説明する。

(3)新聞をめくる 5~10分程度で全ページの見出しや写真をチェックさせる。

(4)記事を選び切り抜く 気になった記事を選ばせて、切り抜いて台紙に貼ってもらう。

(2時間目)

 (1)記事を読む 目当てを確認して、台紙に貼った記事を読んでもらう。

 (2)選んだ理由を書く 書き方を例示し、選んだ理由を考え台紙に記入させる。

(3)友達に紹介する 机を向かい合わせて記事を紹介しながら選んだ理由を伝えさせる。できれば意見交換させる。数人の子に発表させるとなおいい。 ワークシートは下記からダウンロードできます。 スクラップ低学年用 スクラップ高学年用

[NIE・実践しんぶん活用](5)北中城小学校 甲斐崇先生 知らない言葉調べよう 新聞に慣れ親しむ 意味を読み解く力に

対象 小学校3年~
教科 国語・総合的な学習
指導時間 1時間

 

 

 

 

【ねらい】

「写真の人 何て言ってる?」「記事がバラバラ! 助けて」(11月1日付NIE特集)に続いて、新聞に慣れ親しむ取り組みです。「分からないことがあれば調べる」という習慣をつけると同時に、文脈から意味を推測して読み進める力をつけてもらいたいと思います。一人で新聞を読めるようになるきっかけづくりです。スクラップや意見発表などの実践へつなげます。

【ポイント】

あらかじめ台紙に新聞を貼り付けておきます。全員が同じ記事で学習するので印刷しておくと便利です。コメントを書き込む余白ができるよう30行程度の記事を選んでください。台紙には、新聞の名前、日付、ページ名を書き込ませてください。
ワラビーなどの子ども新聞を使えば低学年も活用できます。
記事の内容を把握させることが大事なので言葉の意味を調べさせることを優先しましょう。習っていない漢字の読み仮名を調べるのに時間がかかってしまうのなら、先生が教えてあげてもいいと思います。前もって読み仮名を書き込んでおくのも一つの方法です。
例に挙げた記事中の「NPO」「抱卵」「環境省」などのように、新聞記事には小学生用の辞典に取り上げられていない言葉が使われています。見出しの言葉遣いにも特色があります。子どもたちとやりとりをする中で意味を考えさせて、必要なら先生が教えてあげてください。

【実践を終えて】

子どもたちは「意味が分かるようになると新聞の内容がたくさん分かるようになった」「辞典や人の意見を聞いたら分かった」と感想を寄せています。

授業の手順

(1)台紙を生徒に配る

あらかじめ切り抜いた記事を貼った台紙を生徒に配る。

(2)記事を読ませる

5分間くらい記事を読ませる。意味が分からなかったり、読めなかったりする漢字や言葉を国語辞典や漢字辞典で調べさせる。

(3)意味を書き出す

余白に吹き出しをつけて、その中に調べた言葉の意味を書き込ませる。辞典にない言葉については、ヒントを与えながら全体で確認し、意味を書き込ませる。

(4)記事の内容を確認

全体に問い掛けて記事の内容を確認する。挙手させて発表させてもいい。最後に学んだことを台紙に書き込ませる。

[NIE・実践しんぶん活用](3)宜野湾小学校 佐久間洋先生 最後のせりふ何だろな 読解・文章構成力を付ける 答えの理由考えよう

 

対象 小学校5年~
教科 国語・総合的な学習
指導時間 1時間

【ねらい】

前回に続き子どもたちが好きな漫画を使います。文章から考えて4こま漫画を並べ直すのは同じですが、最後のこまの吹き出しのせりふを考えさせる作業を加えることで、前回より高度な取り組みになります。
答えを導き出す話し合い活動を通して、思考力、判断力、表現力を育てます。

【ポイント】

「せりふを読み、4こま漫画を完成させよう」というめあては同じです。文章から考えることを強調します。「1こまずつ配る」「1こま目と4こま目は先に配らない」も同じです。
児童が考えた並べ方や、せりふについて、そう判断した理由を考えさせることが大事です。
グループや全体で答え合わせをする際、周りと違う答えが出たら「なぜ、その答えが間違っているのか」という理由を話し合います。その際、間違った児童に「あなたのおかげで、みんなで考えを深める機会が持てた」ということを常に伝えてください。
漫画のせりふと一言一句、同じものを引き出さなくても、重要な要素が入っていればOKです。今回は「赤」がはいっていれば正解としました。
この授業は、児童が気軽に意見を発表できる雰囲気づくりに役立つかもしれません。

【実践を終えて】

「言語活動」というテーマはハードルが高いように感じてしまいますが、漫画を通して気軽に取り組むことができました。

授業の手順

(1)漫画を配る

あらかじめ切り離しておいた漫画を1こまずつ、全員に配る。答え合わせのために各こまにA、B、C、Dなどの番号を付けておく。

(2)並べ直す

各こまの文章のつながりを意識しながら、正しく並べ直させる。2~3分でできるはず。

(3)セリフを考える

時間をたっぷりとります。うまく考えられない子には、積極的に助言する。

(4)4、5人で答え合わせ

グループで答えを合わせる。異なる答えがあれば、話し合ってもらい考えをまとめる。

(5)全体で答え合わせ

グループごとに答えとそう判断した理由を発表させる。正解を発表し、異なる答えについて、意見を求めるなど考えを深める。