「スクラップ 勉強になる」 小禄南小でクラブ活動

 那覇市立小禄南小学校は4~6年生のクラブ活動に、新聞スクラップを取り入れている。5月から9月にかけて自然や平和、スポーツなど関心のあるテーマで記事を集め、感想や気づいた点、イラストも書き添えたスクラップ作品を完成させた。児童たちは活動を通して「新聞に興味を持った」「いろいろな記事を読んで勉強になった」と話している。

テーマを決めて集めた記事に感想なども添えて作品を仕上げる児童たち=9月20日、那覇市立小禄南小学校

 子どもたちは3、4人のグループでテーマを決め、スクラップに取り組んだ。6年の兼島上総(かずさ)君(12)らは「地域のことをあまり知らないな」と感じ、(1)地元で頑張っている人(2)自然に関する活動-を柱に、記事を集めた。
 夏はハーリーの記事を多めにした。「中学生とかいろいろな人がハーリーを頑張っていると知って、いっぱい集めようと思った」と振り返る。続けるうちに面白さを感じた兼島君はスクラップを「宿題にも取り入れるようになった」。
 瀬底美結さん(11)=6年=ら4人は、平和をテーマにした。まとめる際は、記事のポイントにマーカーを引いたり、要約文を載せたりして分かりやすくした。
 週1回のクラブ活動の時間以外にも作業を進め、夏休みも記事を収集。大きな模造紙に多様な記事が載った作品ができ、「頑張った」と満足そうだった。
 県NIE推進協議会によると、クラブ活動で新聞スクラップに取り組むのは珍しいという。同クラブは9月で終了したが、奥間ナリ子教諭は「テーマを決めて自由に取り組んだことで、積極的に新聞を読むきっかけになった」と手応えを語った。

[実践 わたしの活用術](11)異字同訓 探して調べる(小学4年・国語)

同じ読みでも違う意味 使い分け 身に付ける

異字同訓 探して調べる

小禄南小学校 石原陽子先生

対象 小学4年生
教科 国語
指導時間 1時間

【授業の様子】
 新聞記事と国語辞典を使って、同じ読み方でも漢字や熟語の意味が違うことを小禄南小学校4年3組の子どもたちが学んだ。
 「夏休み中に、面白い記事を見つけたよ」。石原陽子先生が8月12日付本紙のコピーを配る。甲子園で1勝を挙げた沖尚高の記事には「熱っ」、最高気温が連日40度を超えた山梨と高知の記事には「暑っ」と見出しが付けられている。
 「どこが面白いと思う?」と石原先生が聞くと、「どっちも、あついって読む」「でも漢字が違う」と、子どもたちから声が上がる。
 「熱い」と「暑い」の意味を辞典で調べた。熱いには「ものの温度が高い様子」「感情が高ぶっている様子」の二つの意味があることに先生が触れると、「野球のことだから、感情が高ぶっている様子が当てはまる」と答える子に、「本当に意味が違うんだ」と驚く子もいた。
 今度は隣の席の子同士でペアを組んで、記事の中から音読みの「ショウ」がつく熟語を拾った。
 「決勝もショウがつくんじゃない?」「商品もそうだ」。ペアの子同士で話し合いながら、拾い出した熟語を次々とノートに書き出す。話し合いが、前後の席に広がる所もあった。
 子どもたちには、楽しく学べる教材が身近にあることを知る機会となったようだ。

【授業の手順】
(1)目当てを確認する
 「漢字の読み方は同じでも、意味は違うことを確かめよう」という目当てを確認する。
(2)記事を見せる
 異字同訓が使われている記事のコピーを子どもたちに配り、概要を理解させる。
(3)国語辞典を引く
 国語辞典を引いて、意味の違いに気付かせる。
(4)新聞から熟語を探す
 漢字の読み方には音訓があることを確認。隣の子同士ペアを組み、音読みの「ショウ」がつく漢字を新聞から拾い、ノートに書き出す。
(5)発表
 数人に発表させる。

 

【ねらいとポイント】

小禄南小学校 石原陽子先生

■ねらい
 新聞を教材にすることで、漢字は身近なものだと、子どもたちに伝わると考えました。自宅で新聞を広げて、意味が分からない熟語を見つけたら、辞典を引いて調べる。そうすることで、文脈に合わせて漢字が使い分けられるようになればと思います。
■ポイント
 冒頭に、読みやすい異字同訓の漢字を、見出しで目立たせた記事を出したのは、子どもたちの関心を引くため。熟語をノートに書き出す時間がもう少しほしかったですね。

 

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

2紙読み 違いから学ぶ コザ小、公開授業向け準備

 11月30日のNIE実践フォーラム(主催・県NIE推進協議会)で公開授業を行う沖縄市立コザ小学校で20日、新聞記者を招いて紙面を読み比べる授業があった。授業後は教師らが反省点を出し合い、2か月後に迫ったフォーラムへの準備を進めた。

ヘリ墜落事故を報じる地元2紙を読み比べる児童ら=沖縄市立コザ小学校

 米軍の救難ヘリの墜落事故を報じる8月6日付の地元2紙を5年生が読み比べた。児童からは「写真が、広い範囲が燃えたことが分かるものと、火のアップで違う」「見出しの大きさ」などと挙げていった。
 ゲスト教師で招かれた沖縄タイムスと琉球新報の記者は、大きな事故の取材には大勢の記者が関わることを説明。情報を集める段階と、見出しや写真選びの編集段階で紙面に違いが出ることを話した。
 授業後、教師らは「読み比べで違いを挙げることはこれまでもやっている。なぜ違いが出るのか子どもたちに考えさせる時間がもっと必要だった」などと反省点を挙げていた。

[出前記者]写真集めて新聞身近に 越来小で親子体験

 日本新聞協会NIE実践指定校の沖縄市立越来小学校(高江洲実校長)で18日、沖縄タイムス記者の出前授業があり、1年生34人が授業参観に来た保護者と一緒に新聞から好きな写真を集めた。

新聞から好きな写真を切り抜いて集める1年生と保護者=沖縄市立越来小学校

 親子でテーマを決め、紙面から写真やイラストを選んで画用紙に貼り付けた。社会部の具志堅学記者は「1年生でも写真を使って情報を選ぶ力がつき、新聞に慣れることになる」と意義を話した。
 1年生は、題字を貼り付けたり、「かわいい」とテーマの文字を記事で切り抜いたり、自由な発想で作品にした。我謝誠君はかっこいいもの、すごいものをテーマにエイサーやサッカーの写真を収集。母親の愛実さんは「すらすらと写真を選べるものだなと思った。自分で選ぶので手伝いは要らないと集中していた」と感心していた。

見出しになるほど 越来小で新聞教室

 日本新聞協会NIE実践指定校の沖縄市立越来小学校(高江洲実校長)で4日、4年生対象の新聞の授業があった。沖縄タイムス社会部の具志堅学記者が見出しとリード文を読むことで記事の大意が分かるなどとワークシートを使って伝えた。

記事の大事なところを探す子どもたち=沖縄市立越来小学校

 2クラス48人が参加。実際の紙面をコピーしたワークシートを使い、「見出し」「リード文(最初の段落)」などの用語と役割を記入した。具志堅記者は「見出しは記事の要点。記事は大事なことから先に書くので見出しとリード文を読めばニュースのほとんどが分かる」と話した。
 ワラビーの「ニュースアラカルト」の記事リード文から、大事な言葉を選ぶ実践では、児童が「はだしのゲン」「閉架」「制限」「取りやめ」などを選択。具志堅記者は「『ゲン』制限取りやめ」という紙面で掲載された見出しを示し、見出しは大事な言葉の組み合わせで作られると説明した。

記事読み 絵に描こう うるま・中原小デッサンクラブ

 うるま市立中原小学校(安里禮子校長)で2日、新聞記事を読んで絵として表現するクラブ活動があった。4~6年生の18人が記事の内容を絵で説明したり、想像したことを描いた。

上阪あゆみさん(右)の指導で新聞記事を読んで絵を描く子どもたち=うるま市立中原小学校

 活動は月に1回。保護者の上阪あゆみさん(37)が指導するデッサンクラブは、夏休み明け初めの活動で新聞を題材にした。
 上阪さんは「記事を読んで絵を描くと、記事の内容や読んだときの気持ちを忘れず、定着する。新聞は読むだけじゃなくて、工夫したら楽しいと伝えたかった」と狙いを話した。
 6年の上江洲海(かい)君は、奄美大島でマングースの駆除が進み、アマミノクロウサギの生息数が回復した記事を選択。ウサギが増えて列をつくる一方で、1匹のマングースが仲間の昇天を思い出している様子を描いた。
 「本物のように描こうと工夫した。最初は絵にできる記事が探せなかったけど、やってみたら思った以上に楽しかった」と新たな発見を喜んだ。

新規NIE実践校4校に認定書伝達 言語活動充実に校長ら期待

 日本新聞協会が本年度新たにNIE実践校に指定した県内の4校に認定書が手渡された。県NIE推進協議会の山内彰会長らが8月26日までに各校を回って伝達した。校長らは読解力向上など自校の課題を挙げながらNIEの成果に期待した。
 認定書を受けたのは名護市立真喜屋小学校(平良正栄校長)恩納村立喜瀬武原小中学校(西野朗校長)興南中学校(我喜屋優校長)県立陽明高校(盛山泰秀校長)の4校。
 真喜屋小は平良校長自らが児童の読む力を課題に掲げて実践校に応募した。喜瀬武原小中は併置校であることを生かして、小学校高学年から中学生までの異年齢集団で新聞を使った授業に取り組む。
 興南中の我喜屋校長は甲子園春夏連覇した高校野球部の選手が1分間スピーチで新聞を取り上げた例を話し「(有名になった)朝の散歩でも記者になったつもりで見聞きしなさいと言っていた」と振り返った。
 陽明高の盛山校長は進路指導の経験から「人とぶつかるのを嫌がる世代だが、新聞記事を間に挟んで意見交換するのは効果がある」とコミュニケーション力の向上に期待した。

名護市立真喜屋小学校

恩納村立喜瀬武原小中学校

興南中学校

陽明高等学校