2紙読み 違いから学ぶ コザ小、公開授業向け準備

 11月30日のNIE実践フォーラム(主催・県NIE推進協議会)で公開授業を行う沖縄市立コザ小学校で20日、新聞記者を招いて紙面を読み比べる授業があった。授業後は教師らが反省点を出し合い、2か月後に迫ったフォーラムへの準備を進めた。

ヘリ墜落事故を報じる地元2紙を読み比べる児童ら=沖縄市立コザ小学校

 米軍の救難ヘリの墜落事故を報じる8月6日付の地元2紙を5年生が読み比べた。児童からは「写真が、広い範囲が燃えたことが分かるものと、火のアップで違う」「見出しの大きさ」などと挙げていった。
 ゲスト教師で招かれた沖縄タイムスと琉球新報の記者は、大きな事故の取材には大勢の記者が関わることを説明。情報を集める段階と、見出しや写真選びの編集段階で紙面に違いが出ることを話した。
 授業後、教師らは「読み比べで違いを挙げることはこれまでもやっている。なぜ違いが出るのか子どもたちに考えさせる時間がもっと必要だった」などと反省点を挙げていた。

挑戦 切り抜き新聞 小・中・高教員 応用へ手応え

 県NIE推進協議会(山内彰会長)の第3回おきなわNIEセミナーが22日、沖縄市の県立総合教育センターであり、小・中・高校の教員20人が、話し合いながら、切り抜き新聞を作った。

NIEアドバイザーの古波津聡教諭(中央)らの助言をもとに切り抜き新聞を作る参加者=沖縄市の県立総合教育センター

 小学校は「甲子園」などグループごとにテーマを設けて切り抜き新聞を作り、記事に対する意見や感想を書いた付箋を貼り付けた。講師の一人、NIEアドバイザーでコザ小の古波津聡教諭が「テーマに込めた思いが一番伝わる記事をトップに持ってきて」などと助言していた。
 中・高は道徳の教材を作った。世界陸上の記事で切り抜き新聞を作り、それぞれ「自己を見つめ直す」「協力し合うことの大切さ」などのねらいを設定。授業展開などを話し合った。石垣市立宮良小学校の新屋和樹教諭(34)は「子どもに読解力やコミュニケーション力が付くと思う。使い方しだいで、どの教科でも活用できそう」と手応えを話した。
 NIEアドバイザーの城北中若夏分校の仲程俊浩教諭、伊平屋小の佐久間洋教諭、県立総合教育センターの甲斐崇研究主事も講師を務めた。

10年研修でNIE学ぶ 県中頭教育事務所が初

新聞記事を「喜怒哀楽」のテーマに分け、切り抜き新聞を作っていく教員ら=沖縄市美原・中頭教育事務所

 中頭教育事務所(狩俣智所長)は勤務10年目の教師の研修に本年度初めてNIEを取り入れた。13日の研修は日本新聞協会公認NIEアドバイザーの兼松力氏(大里中学校教諭)と佐久間洋氏(伊平屋小学校教諭)が、言語活動を活性化させるNIEの効果をワークショップを通して伝えた。
 NIEは「観光教育」「キャリア教育と食育」と並ぶ選択研修として導入。管内の公立小・中学校教師70人のうち20人がNIEを受講した。
 5分間で全ページの見出しだけを読んで興味ある記事を選ぶワークショップで始まった。兼松教諭は「情報を選ぶ、選んだ記事についてグループで話すことで力が付く」とワークショップの意義を話すと同時に、関心ある記事の隣の記事も目に入る新聞の特性を説明した。
 後半は小学、中学に分かれた。小学校では4人グループで各自が選んだ記事に順位を付けて台紙に貼ってコメントを書いた後、別のグループの作品に付箋紙でコメントをつけていく「新聞ツイッター」を佐久間教諭が紹介。「順位を付けるのも多数決にはせず、話し合いを重視する。続けることで付箋に書くコメントの量が増えていっている」と事例を話した。
 受講した宮里恵教諭(山内小)は「見出しだけで内容が分かるということを知った。NIEは難しいと考えていたが、写真を使うのはいい方法だと思った」と話した。

地元・全国紙 どう違う? 中高教師18人 読み比べ

 新聞を使った授業作りの実践講座が8日、沖縄市与儀の県立総合教育センターであった。中学、高校の社会科教師18人が米軍ヘリコプター墜落事故を報じる地元紙と全国紙を読み比べるワークショップなどに挑んだ。

地元紙と全国紙を読み比べ意見を発表する教師ら=8日、沖縄市の県立総合教育センター

 夏期短期研修の一環。NIE公認アドバイザーで同センターの甲斐崇研究主事が講師を務めた。
 教師らは宜野座村での米軍ヘリ墜落事故を報じた6日付の本紙などの地元紙と全国紙をグループごとに読み比べ発表した。
 「地元紙の方が見出しも大きくて記事の量も多い」「1面に載せていない全国紙がある」「(一部の全国紙には)『住宅地から2キロ』という記述が見当たらなくて、危険性が伝わらない」「扱いの量でも内容でも認識の差を感じた」と互いの評価を交換。
 甲斐主事は「まずは写真、漫画、見出しなどを使って慣れ親しむことから初めて」と助言。見出しをチェックして、気になった記事を選び紹介し合う実践や、朝の10~15分で読み聞かせるNIEタイムなど、新聞を気軽に活用できるメニューを紹介した。
 球陽高の金城篤教諭は「新聞を使えば、物事を主体的に考えたり、批判的に見ることができるようになると思った。センター試験でも表とグラフを読み取る問題が出るので、それにも役立つと思った」と手応えを感じていた。

[出前記者] 新聞活用 生徒目線で 普天間中の教師学ぶ

 宜野湾市立普天間中学校(伊覇行雄校長)は2日、校内研修に本紙記者を招き新聞の活用法を学んだ。20人の教師が記事から要点を抜き出したり、切り抜き新聞にコメントを付け合ったり、生徒の目線でワークショップを体験した。

ほかのグループがつくった切り抜き新聞に付箋紙でコメントをつけていく教師ら=宜野湾市立普天間中学校

 記事の最初の段落から重要な言葉を三つ選ぶ課題に挑んだ比嘉みさき教諭(社会科)は「文章の要点をおさえる練習になる。新聞にはリアルな情報が載っているので、子どもの反応も得やすいと思う」と話した。
 社会部の具志堅学記者が「新しい記事を入れる場所をつくるため、記事は後ろから切れるように大事なことを前に書いている」と解説した。

[出前記者] 「新聞ツイート」体験 屋良小 教員ら意見貼り付け

 嘉手納町立屋良小学校(新里誠校長)は31日、本紙の記者らを招いた校内研修会を開いた。教員17人が切り抜き新聞に互いにコメントを貼り付ける「新聞ツイッター」などを体験し、新聞の活用法を学んだ。

気になった記事のスクラップを手に話し合う教師ら=嘉手納町立屋良小学校

 グループで各自が気になった記事を貼り付けて作った切り抜き新聞に、ほかのグループが感想や意見を書いた付箋紙をつける「新聞ツイッター」は、作品を作る過程でどれをトップにするかを話し合った。
 お気に入りの記事を紹介し、互いに感想や意見を述べ合ったり、記事の1段落目から、見出しになりそうな言葉を選ぶ取り組みも行った。喜友名美順(みより)教諭は「記事に対する一人一人の視点の違いを知ることができた。新聞を通してコミュニケーションすれば、知識や感覚を広げることができそう」と手応えを話した。

[実践 わたしの活用術](10)記事を読み聞かせ 社会に触れる(小学6年・朝の学習)

付せん紙ペタ 意見交換 回重ね表現力アップ

記事を読み聞かせ 社会に触れる

浜川小学校 知念敦子先生

対象 小学6年生
教科 朝の学習
指導時間 10分

【授業の様子】
 知念敦子先生が示した記事の切り抜きには、見出しの一部に付せん紙が貼られていた。「きょうはクイズ! 『ウミガメの巣』ってあるでしょう。続きの文字を隠してあるけど、そこに何て書いてるか当ててほしいわけさ」
  選んだのは、18日付本紙のウミガメの産卵巣に被害が出ているという記事。6年2組の子どもたちは、読み聞かせを食い入るように聞いた。
 「配慮って何?」「気を使って」「遠慮する」。読み上げるのを中断しての問い掛けに声が上がる。
 4月から始まった週1度のNIEタイム。回を重ねるうちに積極的に発言するようになったという。読み聞かせが終わると、付せん紙に見出しや感想を書き込み、記事の周りに次々と貼り付けていく。
 「ほかの生き物も生きているんだということを忘れてはいけない」「地球は人間だけのものじゃない」
 自然を大切さを訴えるコメントが並ぶ。「ウミガメの巣『踏まないで』」と「正解」を出した子もいた。

【授業の手順】
(1)取り組みを説明する
 記事を投影機で映し出す。見出しの一部を隠した意図を説明する。
(2)記事を読み上げる
 記事を読み上げる。理解させたい言葉が出てきたら、読むのを中断して、説明したり問い掛けたりする。
(3)付せん紙に書き込む
 付せん紙に見出しや感想を書いてもらう。その付せん紙を新聞記事を貼ったA3の紙の周りに貼らせる。
(4)見出しや感想を紹介
 貼り付けた見出しや感想の中から、いくつか紹介してクラス全体で意見を共有する。

 

【ねらいとポイント】

浜川小学校 知念敦子先生

■ねらい
 子どもたちには、社会の動きに興味を持ってほしいと思って取り組んでいます。
 回を重ねて、発言が増えてきました。表現力も高まっているのではないでしょうか。
 「きょうは○○の記事でしょ?」と聞いてくる子も出てきました。新聞を開くようになったんだなと感じます。
■ポイント
 スポーツ、動物など子どもにとって身近な話題を選んでいます。台風の記事にも興味を持ってくれました。
 記事を選んだ理由を説明してから始めます。読み上げながら、難しい言葉を、かみ砕いて説明したり、大切なところは問い掛けたりしています。付せん紙を使えば、作文が苦手な子も、気軽に感想を書き込めるようになります。

 

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。