金武教委がNIE研修 小中教員、新聞活用法学ぶ

 金武町教育委員会は30日、町内の小中学校教師63人を対象にしたNIE研修会を金武中学校で開いた。日本新聞協会公認NIEアドバイザー4氏がそれぞれワークショップをした。市町村教委が県NIE推進協議会と連携してNIE研修会を開くのは初めて。

ワークショップで、各自が選んだ記事の順位を話し合う参加者=30日、金武町の金武中学校

 4人グループで各自が気になった記事を選んで大きな紙に貼り、ほかのグループの作品に付箋紙でコメントを付け合う「新聞ツイッター」は、記事に順位を付けることで話し合う力を養うのも目的。講師の佐久間洋伊平屋小教諭は「話す力もつき、多様な考え方に触れられる」と効果を説明した。金武小の金城律子教諭(40)は「遊び感覚でできる。クラスでも取り入れたい」と感想を話した。
 道徳の教材になる記事を児童・生徒に選ばせる兼松力大里中教諭のワークショップに参加した島袋京子教諭(28)=金武中=は「自分で記事を選んで発表するのが楽しかった。子どもたちにも楽しさを感じてもらえると思う」と話した。
 甲斐崇県立教育センター研究主事が主に写真を使った実践、仲程俊浩教諭(城北中若夏分校)が慰霊の日の地元紙、全国紙の読み比べを紹介した。

好きな記事 切り貼り 比屋根小でスクラップ授業

 沖縄市立比屋根小学校(吉本勝校長)で11日、新聞スクラップの授業があった。3年生105人が新聞から気になった記事や写真を切り抜いて台紙に貼り、紹介し合った。

紙面をめくって切り抜く記事を探す3年生=沖縄市立比屋根小学校

 宮城圭矢君は、大好きなディズニー映画のデザイナーが沖縄国際大で講演したという記事を選んだ。「子どものころペンでカーテンや壁に落書きしても、お母さんは怒らず応援してくれたという話がおもしろかった。お母さんは偉いと思った」と感想を述べた。
 宮里彰吾君は早々と完成させると、別に数種類の記事を切り抜き、紙面の日付を付箋に書いて張り付けた。
 「スクラップしたい記事がいっぱいあった。いろいろな記事に出合えたのがよかった」と授業の感想を話した。
 沖縄タイムス読者局員が授業の冒頭、夏休み明けに募集する新聞スクラップコンテストの内容や、切り取った記事に日付を書いておくことなど作業のこつを説明した。

好きな記事選び各自の視点比較 喜瀬武原小中で授業

 NIE実践指定校の恩納村立喜瀬武原小中学校(西野朗校長)は3日、新聞から好きな記事を選ぶ授業を始めた。小学5年生から中学3年生までの26人が学年を交ぜて7グループに分かれ、上級生と下級生が話し合いながら記事を選んでいった。

小学生と中学生が一緒に好きな記事を選んだ授業=3日、恩納村立喜瀬武原小中学校

 県警が登下校の見守り活動を始めた記事を選んだ與儀美羽さん(中学3年)は「小学生を狙った事件がいろんな所で起きているので、この活動が広がってほしいと思った。新聞は(国際面に)外国の記事が集まっているので比較して読めた」と話した。比嘉一人君(小学5年)は「新聞には見出しがたくさんあって、読みやすいと思った」と感想を述べた。選んだ記事は4日、画用紙に貼り付け、要約や感想を書き添えてグループ作品を完成させる。
 新垣和哉教諭は「記事を選ぶ視点がそれぞれで違うのが子どもたちにも分かったと思う。いろいろな種類の記事が載っている新聞の特徴に気付けた」と手応えを語った。

[出前記者] 新聞授業 児童に熱気 美東小で本紙社員が解説

 沖縄市立美東小学校で6月28日、新聞の仕組みを学ぶ本紙の出前授業があり、5年生約160人がクラスごとにワークシートに取り組んだ。

真剣な表情で見出しなど新聞の仕組みの説明を聞く児童たち=沖縄市立美東小学校

 質問が休み時間に食い込むほど熱気にあふれた授業で児童たちは新聞への理解を深めた。
 新聞委員の児童からは「どうやったら記事が早く書けますか」という質問があった。記者経験がある読者局の平良吉弥局員は「メモを取るときから大事な言葉には線を引いたり、囲んだりしておくといい。書くときもいつ、どこで、誰がといった大事なことは先に書くと早く書けるよ」と助言した。
 新聞の形ができて印刷に回る時間を3択で問うクイズに半数の子は正解の「夜中12時ごろ」と回答。平良将梧君は「僕は12時まで働くのはたぶんできないけど、新聞ができたら達成感があるんだろうなと思った」と授業の感想を話した。

[出前記者] 戦争体験者の気持ち思う 本紙記者が講話 嘉手納小で平和授業

 嘉手納町立嘉手納小学校(新垣聡子校長)の6年生117人は30日、本紙記者を招いて平和授業をした。戦争体験を聞き書きした本紙連載「語れども語れども」を事前に読み、記事を書いた沖縄タイムス中部支社編集部の石底辰野記者(32)の講話を聞いた後、印象に残った場面などを発表した。

記事を読んで印象に残ったことなどを発表する6年生=30日、嘉手納町立嘉手納小学校

 石底記者は取材相手が言葉に詰まったり、絞り出すような声で語ったりする様子を話しながら「戦争体験者の話を聞けるのはみなさんが最後の世代かもしれない。話を聞いて戦争の悲惨さを語り継いでほしい」と訴えた。
 6年生は連載記事2本を事前に読み(1)家族に伝えたい場面(2)そう思った理由(3)記者になったつもりで記事の登場人物に質問したいこと-を考えた。
 重傷の日本兵が「お母さん、助けて」とつぶやいた場面を挙げた吉田達郎君は「読んで泣きそうになった。お母さんを愛していたんだなと思ったから」と発表。杉浦百香さんは「戦争が終わったときにどう思ったのか聞きたいと思った」と体験者の気持ちを想像した。

【追加情報・授業について】
 授業の3週間前に講話で取り上げる人物の記事を配布して、ワークシートに答えながら読むようにしました。ワークシートの設問は(1)記事を読んで家族に伝えたいと思ったところに線を引く(2)なぜそう思ったか文章で書く(3)自分が新聞記者になったつもりで記事に出てくる人への質問を考える--の3点。授業は日曜参観として行われるため、家族と結びつけた設問にし、講話と児童の発表を授業時間の半分ずつとしました。最後は出前授業の礼として全員で「月桃」を歌っていただきました。 

[実践 わたしの活用術](9)新聞に慣れ親しむ(小学5年・国語)

興味の幅 広げる機会 5W1Hで伝わる文章

新聞に慣れ親しむ

宜野湾小学校 西田美香先生

対象 小学5年生
教科 国語
指導時間 1時間

【授業の様子】
 宜野湾小学校5年3組の子どもたちが、新聞に慣れ親しむ授業に取り組んでいた。
  「トップ記事」「面」などの説明を受けた後、新聞をめくり見出しをチェックする。担任の西田美香先生の問い掛けに次々と声が上がる。
 「新聞にはどんなものが載っていましたか」
 「スポーツ」「政治」「天気予報」「本の紹介」
 「どんなところがいいところ?」
 「分かりやすく書かれていた」「写真とかを見ると読みたくなる」「いろんなことが載っている」
 「政治!」と答える子も。「社会のことをもっと知りたいから」「すごい」。教室が沸いた。
 興味を持った記事を隣の席の子と紹介し合う課題で西田先生は、自身が参加したNIE推進協議会のセミナーの記事を紹介。リード部分を読み上げた後、「髪の毛1本も写真に写ってないんだよ。残念」。ユーモアを交え、気軽に感想を発言するよう、うながした。
 「僕は闘牛の記事を選びました。お母さんの友達で闘牛をやっている人がいるからです」。教室中に元気な声が響いた。授業の後、友達が選んだ記事を読む姿があったという。子どもには興味の幅を広げる機会になったようだ。

【授業の手順】
(1)目当てを確認する
 「新聞を読んで興味を持った記事を発表しよう」という目当てを板書して確認する。
(2)クイズを出す
 新聞に関するクイズを出す。答えは三つから一つを選ぶなど簡単なものにする。
(3)新聞を見せる
 新聞を掲げ「面」「トップ」など用語を紹介する。
(4)見出しをチェック
 一人一人に新聞を配り、見出しだけを読ませる。新聞のいいところを発表。選んだ記事を隣同士で紹介し合う。
(5)仕組みを説明
 見出し、リードの役割、記事には5W1Hが含まれ、大事なことから先に書かれていることを説明する。(ゲストティーチャー)
(6)まとめ
 新聞について気付いたことをノートにまとめさせる。

 

【ねらいとポイント】

宜野湾小学校 西田美香先生

■ねらい
 新聞に慣れ親しんでもらい、興味・関心を持ってもらおうと思いました。図書館で新聞を読んだり、テレビでスポーツの結果を見ていた子が、「新聞の方が詳しい」と紙面を開くようになりました。5W1Hを学んだことで、相手に伝わりやすい文章を書こうとする姿勢がみられるようになりました。
■ポイント
 冒頭で3択のクイズを出したのは新聞に対する興味を引き出すためです。見出しを読む時間は5分以上設ければ良かったのかもしれません。

 

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

6月26日付「月刊NIE 遊びながら学ぼ」のワークシート

  6月26日付「月刊NIE」の連載「遊びながら学ぼ」で使用したワークシートはこちらからダウンロードできます(別ウインドウで開く場合はこちら)。 授業でも活用いただける内容です。 これまでに使用したり、ほかのワークシートをまとめたページはこちらです