教師ら新聞活用法学ぶ 第1回おきなわNIEセミナー

 県NIE推進協議会(山内彰会長)の第1回おきなわNIEセミナーが11日、那覇市久茂地のタイムスビルであった。教員ら32人がNIEアドバイザーの助言を受け、学校での新聞の活用法を体験した。

ワークショップで紙面を手に、読み聞かせをする受講者=11日、那覇市久茂地のタイムスビル

 メーン講師を務めた県立総合教育センター研究主事の甲斐崇アドバイザーは、毎週木曜日の朝の始業前に「NIEタイム」を始めた北谷町立浜川小学校が取り組む「新聞読み聞かせ」を紹介した。甲斐教諭は「発達段階に応じて記事を選ぶことが大事。朝の時間を使えば、教科に関係なくできる」と話した。
 写真を選びコメントするワークショップもあり、知識を活用する力を育てるための道具として新聞を使い、継続して取り組むことの大切さを強調した。受講した読谷高校の齋藤綾教諭は「先生方と意見を交わして楽しかった。生徒たちにとっても新聞に興味を持ってもらう、良いきっかけになると思った」と話した。

浜川小5年生 新聞の読み方・特徴学ぶ 教育センターのNIE出前講座

 県立総合教育センターのNIE出前講座が9日、北谷町立浜川小学校(伊良波聰校長)の5年生向けに行われた。本年度から始まったもので、児童・生徒向けと教師向け合わせて6月までの2か月間にすでに5件の依頼があり、NIEへの関心の高まりがうかがえる。

児童の間を回り、新聞記事の特徴を聞き出す甲斐崇研究主任

 甲斐崇研究主事が講師を担当。この日は国語「新聞を読もう」単元の最初の授業として、新聞の仕組みや記事の特徴を学んだ。
 1人1部ずつ持った新聞を全ページめくり、どんな情報が載っているか児童に挙げさせた。新聞の良さとして「読み返せる」「詳しく書いてある」などの声が上がった。教科書の物語文と比べることで、結論を先に書く新聞記事の特徴を確認した。
 3組の城間あいさんは1〜3面の総合面に国内外のニュースが載っていることに気づいて発表した。「新聞のよいところが分かってよかった」と授業の感想を話した。
 2組担任の伊元隆教諭は「家で新聞を取っている子もいない子も新聞の特徴を探していてよかった。昨年度から取り組んで子どもたちに新聞への抵抗感がなくなっているのを感じる」と話した。

[実践 わたしの活用術](7)専門家の助言読み取る(小学6年・道徳)

いじめについて考えよう 勇気持ち 自分で告白

専門家の助言読み取る

糸満南小学校 上原勝先生

対象 小学6年生
教科 道徳
指導時間 1時間

【授業の様子】
 糸満南小学校6年2組の子どもたちは、子ども新聞ワラビーに連載中の「いじめと戦おう!」の筆者・玉聞伸啓さんのインタビュー記事(2012年8月19日付)から、いじめの問題について考えた。
  記事を上原勝先生が読み上げたあと、グループで話し合いながら要点をまとめた。
 黒板に張った短冊には「あなたの笑い声は、いじめっ子を助けています」「誰も傷つけずに笑いを取ることが、あなたにはできるはずですよ」「先生や親に相談する」など子どもたちが読み取った内容が記されていた。
 発表と意見交換では、「友達にあだ名をつけて、みんなでからかっていた。でも、もうしていません」と男の子が、いじめにかかわっていたことをみんなの前で告白した。
 「言葉に出すのは、しっかり反省しているということだね。よく頑張ってくれた。ありがとう」。上原先生が声を掛ける。
 「意地悪しているのを見て一緒に笑っていた」「友達をたたいたことがある」。触発されたように次々と反省の声が上がった。
 上原先生は「自分を振り返らせることが大事だった。口火を切って発言した子の勇気に感謝したい」と話した。

【授業の手順】
(1)いじめの定義を考える
 前回を振り返り、いじめとは、どんなものか考える。
(2)記事を読む
 いじめ防止に取り組む専門家の記事を張り付けたワークシートを配り読み上げる。
(3)内容を読み取る
 話し合い活動をさせる。「いじめられている子へ」「いじめている子へ」「周りで笑っている子へ」の三つの章を各グループに一つずつ担当させ、要点を書き出させる。
(4)発表と意見交換
 要点を短冊に書き込み、黒板に張る。グループの代表者に発表させ、意見交換する。
(5)自分を振り返る
 いじめにかかわった経験がないか問いかけ発表させる。
(6)これからについて話す
 「一日一善」を掲げ、いいことをしたらメモや掲示物で取り上げ「認め合い、高め合う」学級づくりを目指す。

 

【ねらいとポイント】

糸満南小学校 上原勝先生

■ねらい
 前回の授業でイラストから「いじめている」「いじめられている」「傍観している」人がいることを学びました。今回は専門家の発言を読み取り、いじめについての見方、考え方を広げてもらいたいと思いました。その上で「いじめはよくない」という道徳的心情を育てることがねらいです。
■ポイント
 子どもが理解しやすい記事を選ぶことが重要です。今回使った記事は、子どもたちが体験しているような場面を紹介しながら助言しています。特にいじめている子を責めずに、諭しながら励ましているところが、いいと思いました。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

浜川小、記事読み聞かせスタート 朝の10分活用 授業意欲的に

 北谷町立浜川小学校(伊良波聰校長)で朝の10分間を使った週1回のNIEタイムが始まった。記事を教師が読み聞かせ、新聞に慣れ親しみ社会に関心を持たせることを狙いに全学年で取り組む。
 読み聞かせは全学年共通で、児童に感想を書かせたり、意見を話し合うなどの展開は学級の実情に合わせて行う。
 初日の18日、5年の安里真一教諭はボストンマラソンでの爆破事件の記事を読んだ。分からない言葉があると児童が手を挙げ、教諭がかみくだいて説明。安里教諭は「暴力が当たり前になるとここまでいってしまう。こういうことをする大人になりたいかどうか、頭の中に置いていてほしい」と感想を話し問いかけ、NIEタイムを結んだ。
 安里教諭は、その日の社会科の授業で、児童が積極的になるなど効果を感じたという。「国土」の単元で国と国の関係を学ぶ授業で「以前の授業では受け身だったが、今日は質問が多く出て意欲的に取り組んでいた」と話した。

[実践 わたしの活用術](6)コラム読んで友達の良い行い紹介(小学5年・道徳)

優しさ発見 自信持たせる 新入生のお手本に

コラム読んで友達の良い行い紹介

沖縄アミークスインターナショナル 上江洲ジョアナかおる先生

対象 小学5年生
教科 道徳
指導時間 1時間

【授業の様子】
 「輝之は、見た目は騒がしいけど人の手伝いをしてくれる」。秋友一寿君(11)の発言に島袋輝之君(11)が、照れたように笑う。笑顔が5年A組のみんなに広がった。
  上江洲ジョアナかおる先生は優しさをテーマにした。4月に6年生になる子どもたちに、新入生のお手本になってほしいという思いを込めた。
 本紙2日付教育面の連載「たんぽぽのタネ」を読み上げる。体育の授業でべそをかいている男の子の背中を優しくさする女の子の話題だった。
 「この女の子みたいに優しい行動をした人は誰? ほんの小さなことでいいんだよ」「足をねんざしたときに助けてくれた」「ケガをして泣いていたときも、ずっとそばにいてくれた」。問い掛けに次々と発言が上がる。
 島袋君は「少しでも人に優しくすればけんかにならないと思う。自分は短気で、おばぁからも注意されるので6年生になったら直したい」と反省を込めた。
 上江洲先生は「5Aのみんなが優しさを持っています。4月から最上級生になりますね。まず身近な人から優しく接してください」と授業を締めくくった。

【授業の手順】
(1)前の授業を振り返る
 東日本大震災で兄を亡くした男性を取り上げた記事を振り返り、優しさについてあらためて考える。「もうすぐ6年生。学校の『顔』としてどんなことが必要だろう」と投げ掛ける。
(2)コラムを読み上げる
 「たんぽぽのタネ」(3月9日付)を使ったワークシートを配り、ゆっくり読み上げる。
(3)見出しを付ける
 あらかじめコラムの見出しを伏せておき、子どもに考えさせる。
(4)優しい子はだれ?
 優しい行動をした子を挙げさせ、その理由を書いてもらう。感想も書き込ませる。
(5)発表
 指名したり挙手させるなど発表をうながす。できるだけ多くの子に機会を与える。

 

【ねらいとポイント】

沖縄アミークスインターナショナル 上江洲ジョアナかおる先生

■ねらい
 4月から6年生になる彼らに、最上級生としての自覚を持たせるため、新入生や周りに対し丁寧な言葉遣いはもちろん優しい心遣いや気遣い、思いやりが重要になることを考えさせます。今回は「優しさ」をテーマに選び、日常の小さな良い行いを指摘し合うことで、個々が自己肯定感を高め、自信を持たせたいと思います。
■ポイント
 多くの子どもが積極的に発言しやすいように、身近にありそうなエピソードを扱った記事を選ぶことが必要です。
 良い行いを発表させる前には「ちょっとしたことでもいいから」と強調しました。できるだけ多くの子の名前が挙がるようにヒントを与えてください。
 机の間を回って、クラスで共有したい良い行いや意外性のある内容をなるべくたくさん見つけ、紹介してあげることを心掛けました。

「実践わたしの活用術」は毎月最終水曜日の「月刊NIE」のページで連載します。

記事で学んだ新石垣空港 伊野田小の3~6年生9人

 7日に開港した新石垣空港について学ぼうと、伊野田小学校(西原貴和子校長)の3~6年生9人が13日、新聞記事を活用した学習に取り組んだ。

切り抜いた新聞記事を手に開港に期待を膨らませる子どもたち=石垣市・伊野田小学校

 同校は県内2紙が指定するNIE実践の指定校で、日ごろから新聞の読み聞かせや「仕事」「平和」などテーマを決めた調べもの学習を実施している。
 同日は、県内2紙と八重山地域の地元2紙の計4紙から新石垣空港に関連する記事を抜粋。各グループが興味のある記事を切り抜きして再構成し、感じたことを発表した。
 高橋萌空(もく)さん(6年)は、旧空港に愛着を感じている住民と新空港の開港に沸く記事を取り上げた。「みんなの思いがどう変化していったか感じることができた」と満足そうに話した。
 金城綾玖(りく)君(3年)も旧空港を取り上げ、「今までみんなを乗せてくれたので新聞でも取り上げたかった。新空港はきれいと聞いたので、早く行ってみたい」と笑顔を浮かべた。

多角活用 読解力養う 県NIE実践報告会

 2012年度県NIE実践報告会(主催・県NIE推進協議会)が6日、那覇市の琉球新報社で開かれ、日本新聞協会指定実践校5校、県指定校4校が各学校の新聞活用方法を発表した。新聞記事に親しみながら読解力や文章の構成力を身につけたり、気に入った記事の内容を発表することで表現力を養うなどの効果が報告された。主な発表内容を報告する。

意見を書き情報理解 仲地エリ子教諭・中原小

 本年度は特に11月の県NIE実践フォーラムの開催に向けて、児童の情報活用や判断力、表現力を身につけることに力を置いた。
 年間計画として、新聞スクラップを活用した朝の1分間スピーチ、記事に意見を書き込む新聞ツイッターをはじめ、空き教室に新聞コーナーを設け、新聞に親しむことから始めた。
 保護者向けのワークショップで新聞スクラップ教室を行い、家庭での関心を高めるようにした。その結果、児童は新聞を身近に感じるようになり、必要な記事を自分で探し、資料を読み取って理解する力が付き始めた。
 読解力など児童の間に個人差があるが、今後も取り組みを深めることで可能性を伸ばしていきたい。

朝のスピーチで自信 古波津聡教諭・コザ小

 3年生以上の児童を対象に、全職員で新聞を活用した実践に取り組んだ。教科を限定せず、新聞の良さを十分生かして授業で活用することを全職員で確認した。
 NIEを進めるキーワードは「無理なく、継続できる取り組みを」。NIEを意識せず、自然な形で取り組むことを強調した。
 朝の1分間スピーチで気に入った記事を紹介するなどの活動に取り入れた。その結果、児童から「長い文章が読めるようになった」「みんなの前で発表するのは緊張したが頑張れた」などの意見があがった。
 新聞が社会の窓口になり児童の興味や関心が多様になったほか、キャリア教育の一環として学習を進めることができた。

意欲高まる投稿掲載 上江洲ジョアナかおる教諭・沖縄アミークス

 年間を通して新聞スクラップを行った。はさみやのり、スクラップブックなどの3点セットを準備。児童らは慣れると、自分の気に入った記事を選んで内容を要約するようになった。
 作文を新聞に投稿し、掲載されると児童らのモチベーションは高くなる。掲載された作文をクラスのみんなで内容を共有し「このように書けばいい」などの意見をあげることで文章力のレベルアップにつなげた。
 新聞記事を項目ごとに分けて壁に張り付けた。昨年は「復帰40年」を紹介するために新聞を活用。「昭和の時代」を新聞記事から探して当時のことを考えた。新聞も張りっぱなしではなく、頻繁に更新することで、児童らの興味を引きつけることができた。

記事書写し文章上達 子安緑教諭・小禄南小

 毎週月曜日朝の15分間に「NIEタイム」を設け、新聞を使った言語活動の充実に取り組んだ。毎週各学級分提供してもらった「ワラビー」紙面を活用することも多かった。
 例えば2年生の活動では3色ペンを使い、記事の「いつ」「どこで」「だれが」などの部分を色分けして理解する作業を行った。5年生では、毎週指定された記事の要点を100~150字の範囲で書写した。この活動を通して児童は簡潔な文の書き方や語彙(ごい)を身につけることができた。
 NIEの成果として、これまで記事の感想を書くことが多かった児童が見出しを付けるなど、内容をよく読み取るようになった。続けるうちに疑問や意見を書く児童が増えた。

動物テーマに親しむ 福地正雄教諭・越来小

 本年度は全学年でNIE実施計画を作り、新聞を活用した授業に取り組んだ。校内研修での実践活動はもちろん、NIEアドバイザーや現場記者との連携などを目標に掲げた。
 1年生が新聞記事からカタカナ語を探した。2年生は国語の単元「どうぶつ園のじゅうい」をテーマに、動物について書かれた記事を探しながら新聞に親しんだ。6年生は「復帰40年」をテーマに、特集記事から当時の様子を読み取り、今後の沖縄について考えをまとめた。
 家庭学習で、新聞を切り抜いて感想を書き、時事問題に関心を持つ児童が増えてきた。日常的に授業に取り組むためには、学校で新聞の部数を確保することも必要だと感じた。